京都SFフェスティバル2013レポート

大野万紀


 第32回となる今年の京都SFフェスティバルは、10月12日(土)〜10月13日(日)、いつもと同様に本会は京都教育文化センター、合宿は旅館さわや本店で開催された。
 朝9時頃に家を出て京都へ向かう。今日もいい天気。暑くも寒くもない。会場に着いたのが10時45分くらいで、ちょうどいい時間。もう少し早く出てもよかった。
 以下、なぐり書きのメモと記憶に頼って記述しているので、もし間違いや勘違いがあれば、訂正しますので連絡してくださいね。

  本会企画の最初は、円城塔さんと福永信さんの対談で「小説とコミュニケーション」というタイトル。実は福永さんの本は読んだことがなかったのだが、いかにも尖った現代小説を書く感じの人だ。
 対談というか、円城さんと福永さんが互いにネタを出し合い、相手が話している間に原稿用紙で筆談をする(あとで参加者にコピーが配られた。円城さんの書くマンガが可愛い)。その間、プロジェクターに、円城さんのPCに入っている謎の画像がずっとスライドショーされるという、何とも不思議な対談だった。ネットで拾ったっぽいスライドの画像がやけに面白く、対談者もついそっちに気を取られる。
 対談の内容は取りとめもなく、小学生の頃はSF好きだったというような話から。図書館にあった筒井康隆全集を5年生の頃から読んでいたという福永さんに、円城さんは、「筒井さんから入るのは正統派。純文学の方では、子どもの頃ドストエフスキーを読んでいたという人がいるけれど、ごめん、ぼくは『ロードス島戦記』といってしまう」
 福永さんのベストSFは筒井さんのジュブナイル「宇宙をどんどんどこまでも」。夜の博物館に忍び込んでロケットで宇宙へ行く話。なぜか自分も体験した気になる。絵ではなく、活字で想像させる。円城さんは、筒井さんにはまだ到達していない。近すぎて読めない。やろうとしていることが、すでにやられている感。そして自分の方がきっとうまくできる感がある、という。
 福永さんは、円城さんの本にはしてやられたと思う、という。これやろうとしていたのにとか。『オブザベースボール』の矢印でやられたと思った。「次の著者へ続く」というところ。円城さんは、それラファティです。ところで、雑誌と単行本でタイポグラフィを合わせるために文章を変更する。それって、本末転倒だが。『烏有此譚』の注も本文より長くなる。すでにある技法だが、何度も再発見される。車輪の再発見はなぜ繰り返されるのか。その周辺が気になる。はたして小説に人間は必要なのか。
 福永さんは、読者が人間なので仕方がない。どうしてもそこに人間が読み取られてしまう。読者が人間でなければ、違うものもあり得る。それに対し円城さんは、宇宙人向けの小説を書くのを今考えている。Google検索のボットさん向けの小説も面白い。Googleさんが読みやすく、検索しやすいように最初にあらすじがまとめてあるような小説。
 そして二人とも、新刊の予定については、「しばらく遠い目をさせてください」
 確かにとりとめはないが、とても知的で面白い対談だった。

 昼はからふね屋でカレーを食べる。しばらく行かない内にからふね屋が改装されていて、軽食中心の全然違う雰囲気の店になっていた。

これが掘骨さんの手書きハヤカワSF文庫リストだ

 午後一は小川一水さんとアダルトマンガ家の掘骨砕三による「SFの中のセックス、セックスの中のSF〜私たちは何をエロいと思うのか」
 小川さんはこのために自らポルノ的と思う短編小説を書いて、コピーを配っていた。でも対談で掘骨さんもいっていたが、全然ポルノチックじゃない。エロシーンはあるが、普通にSFだった。
 アバターじゃなく感覚をリンクしたロボットのような外部人格を使って、現実とは別の人格となってセックスする話だが、エロというより、そうまでして性の世界を探求したいという心理とその技術、社会や文化の方に主軸がある(ように読めてしまう)。『天冥』の4でも思ったが、小川さんのセックスへの視点って、どこか思春期っぽいというか、結婚もして子どももいるのに、何だか純粋っぽいのはなぜなんだろう。対談でもエロ業界のプロといえる掘骨さんからさんざんに、それはもう可哀想なくらい突っ込まれていた。
 二人はもともと面識があったわけではなく、この企画のために紹介してもらったということだ。、なぜ小川一水は対談者を紹介してもらうまでして、それほどセックスについて語りたかったのか、結局はすれ違ったように思えるのだが、そこが一番気になった対談だった。
 以下、印象に残った発言から。
 小川:エロが好きなので、いつかそんな話がしたいと思った。薄い本も作ってしまった(コピーを配布)。
 掘骨:これはSF小説であってポルノとしては成立していない。ポルノは実用のもので、そのための長さが必要。
 小川:ポルノのつもりだったのでそう言われてショックを受けた。エロについてのスタンスが違う。『天冥4』の帯の(編集者が書いたのだが)「ごめんね、恥ずかしいね」が好き。書く人としての恥ずかしさがある。
 掘骨:この前ついにハヤカワSF文庫を全巻コンプリートした。その1/3は読んでいる(手書きのリストを見せる。会場からどよめき)。
 小川:読んでいなかったので、ファーマーの『恋人たち』と『太陽神降臨』を読んだ。古いせいか、エッチはあまり良くないものとして描かれていた。「セックスは良いものだ」と、マイナスではなくプラスのものとして描きたい。他の人がどんなものを書いていようが、自分の好きなものを書きたい。お仕事ものと同様、ハードSFと同様に、よく調べて、本当のものを書きたいと思う。
 掘骨:知識のある人向けには、多少間違っていても大丈夫、問題ない。でも知識のない人に向けては、間違ったことも信じてしまうので、自分が何を知らないのか自覚して書かないといけない。
 (客席より、「注目しているジャンルは?」という質問に対して)
 小川:ふたなり、女装、何よりも艦コレ「ガチレズ大井bot最高です」。
 掘骨:女装マニア。
 というわけで、プロ対アマという感じの対談でした。

 本会企画その3は「近未来都市のフロンティア」と題して、『パンツァークラウンフェイセズ』の吉上亮さん、『スワロウテイル』の籐真千歳さん、そして予定されていた蒼井亜璃夏さんが体調不良で欠席となったため、急遽早川書房編集者の井出さんが加わっての対談である。
 未来の都市についてというテーマだったが、作品と作者の関わりについての話が中心となったのは少し残念だった。
 自己紹介で籐真さんは、新作の執筆中です。艦コレは夕立にはまってます。吉上さんは、電撃の1次で落選したが、東浩紀さんの小説を書く授業で書き直しを見てもらい、ハヤカワへ紹介してもらってデビューしたとのこと。
 吉上さんから、『スワロウテイル』で日本語の古語が使われているとの指摘に、籐真さんは、季節の言葉や古い月の言葉を、読者が読んで物語の季節を感じられるように意図して使った、とのこと。また、『スワロウテイル』の東京自治区は東京というより沖縄が独立したように思えたという吉上さんに、籐真さんは、母が沖縄人で、ヤマトへ行くときは気をつけなさいといわれた。日本人全体としてのアイデンティティから見て、沖縄がどうなっているのかを考えたい。本土が日本でなくなるときに、自治区が日本となる。消極的独立。4巻ではそれを意識した、とのこと。
 吉上さんの『パンツァークラウン』ではローカリティは「最適化」されているので、どこにいても変わらない。最適化した上にさらにARで覆い隠すイメージ。籐真さんとは10歳くらい違うが、サイバーパンクの影響がある。サイバーパンクそのものというより、攻殻機動隊など、サイバーパンクのアニメ化やゲーム化されたものの影響、との話。
 籐真さんは、サイバーパンクの退廃と猥雑さは『ブレードランナー』の都市に現れている、という。ところが『パンツァークラウン』では、整理され最適化され、欲しいものが先回りして用意されるので、そんな猥雑さは見えなくなっている。サイバーパンクの次の都市だといえる、との指摘に、吉上さんも、ブレードランナーの広告が氾濫している都市から、それが一人一人に最適化され、効率化された都市へ、との思いを述べた。
 籐真さんはさらに、『ハーモニー』の世界では人類は悩まなくなる。『パンツァークラウン』の最適化でも、人々の悩みやエゴが無くされる。「食っていくためには仕方がない」というのはイヤだが、食べるのに困らなければ果たして良いことができるのか。『スワロウテイル』では、性別すら無くなる、そんな何もかも平等な世界を描いてみた、とのこと。
 吉上さんから、『スワロウテイル』の都市には元となるイメージがあるのかという質問に、籐真さんは、モン・サン=ミシェルが元となっていると、答える。海面下の都市については、編集の井出さんとの苦心の作だった。山岸真さんが指摘していたが、『スワロウテイル』も『パンツァークラウン』も、水没した東京という共通点がある。なぜ東京を沈めたのかというと、東京という日本人みんなにとってシンボリックな都市を沈めることで、危機感を共有できると思った、とのことだった。

 本格企画その4は、大森望さんと中村融さんの、「奇想コレクションの舞台裏」。『たんぽぽ娘』で全20巻が完結した河出書房の奇想コレクションについて、企画・編集・翻訳に関わった中村さんに、シオドア・スタージョンやコニー・ウィリスの翻訳をした大森さんが聞くという内容。TV放映のその日に『たんぽぽ娘』の新刊予告が新聞に載ったというのは奇跡的だった。
 奇想コレクションを企画したのは中村さん。河出の編集者の伊藤さんが、河出文庫『20世紀SF』でイーガンを読んでSFを出そうと思い、中村さんが2つの案を出した。ひとつは文庫で、SFよりの短篇集。もうひとつはハードカバーで異色作家短篇集のようなもの。
 そのころたまたま異色作家短篇集が各社でいっせいに出た。ほとんど入手不可能だったスタージョンが晶文社から出たり、短篇集ブームとなった。案は奇想コレクションとなって実現した。
 大森さんのスタージョン『不思議のひと触れ』は、1971年以前の作品ばかりなので、初めは無版権だったが、スタージョンの娘が日本に来たとき見つけ、それがエージェントのバージニア・キッドに伝わって、途中から契約することになった。だから版権表示のある版とない版が存在している。
 奇想コレクションは全体としては良く売れたが、デザインを統一したこともその要因である。松尾たいこさんには、『夜更けのエントロピー』から全部やってもらうことに決め、統一的なイメージができあがった。松尾さんはSFをよく知らないので、かえって思いがけない表紙になった。
 普通なら売れない本も奇想コレクションに混ぜて売った。マーゴ・ラナガン『ブラックジュース』などだ。もともと異色作家短篇集のつもりだったのだが、その名で出すわけにはいかず、奇想小説叢書となり、奇想小説コレクションで決まっていた。ところが長いということで奇想コレクションになった。それがうまくいったので、『NOVA』の叢書もNOVAコレクションとなる。
 編集者の伊藤さんはちょっと変わった人で、中村さんとは喧嘩もした。伊藤さんは奇想コレクション、書き下ろし日本SFコレクション(NOVA)、屍者の帝国などを編集した優秀な編集者だが(奇想コレクションは、途中から松尾亜紀子さんに交代)、ゲラを抱えたまま連絡が取れなくなる編集者でもあるとのこと。大森さんによれば日本の4大「ゲラを抱えたまま連絡が取れなくなる編集者」は、早川のS澤さん(でも最後には何とかする)、創元のK浜さん(結局出なくなる)、国書のT本さん(所在不明になる)と、河出の伊藤さんだそうだ。
 河出からはもう短篇集は出さないといわれ、長編で同様な叢書としてストレンジフィクションを出した。全5冊の予定だが、スラデックの『ロデリック』がまだ出ていない。でも『ドクター・ラット』は増刷したが、他は壊滅的。『エステルハージ博士の事件簿』があまり売れなかったのは残念だ。ともあれ、短篇集が出せるようになったのは奇想コレクションのおかげである。
 最後に国書刊行会のジャック・ヴァンスの話。酒井さんはもう全部原稿をあげているが、白石さんはまだ手つかず(だけど、やるとなったらあっという間にできる)とのことだった。後日、白石さんからはちゃんと手はつけていますとの発言があった。
 本が出ないのは版権の問題もある。版権のオファーを出しても返事が無く、どこで止まっているかもわからないものがある。ベイリーの版権もよくわからなくなっている、といった話もあり、面白い対談だった。

大広間でサイン会をする酉島伝法さん

 本会の後、いつものように十両で夕食。昔ほどすごい量ではないが、食いでがある。食事しながら、本の雑誌のサンリオSF文庫の話題。山野インタビューは、SFファンの一般的な認識と違うものがあるけど、編集者が面白いからそのまま載せろというので載せた、と大森望。

 夕食後、さわやへ。オープニングでの合宿企画紹介で、担当者がいない間、京大SF研の女性会員が、代理ではきはきと答えていた。彼女、次の会長でもいいんじゃないの。
 細美遙子さんが娘さんと現れる。青心社の本を売るのだと。士郎政宗の画集はほとんど即時に完売した。ラファティとヤングも最後は完売。
 細美さんの次の翻訳は、マーセデス・ラッキーの2冊と、アンナ・カヴァンもやることになったのだそうだ。
 参加者紹介で、小川一水さんは、『天冥』の続きは3章ぶんが80%くらいできたと発言。でも全部で5〜6章になるのだそうな。
 大森望さんは『皆勤の徒』の解説は「自分理論」じゃなく、ちゃんと作者から資料をもらって書いたものだと話す。
 『皆勤の徒』のサイン会が盛況な大広間で、しばらく皆とだべっていたが、それから合宿企画の方へ。

 まずは、その『皆勤の徒』の企画、作者の酉島伝法さんと大森望さんによる「魅惑の社長室」だ。
 「皆勤の徒」がなぜ書かれたのかという裏話。仕事がつらく、残業で小説も書けない日が続いた。定時で帰れるということでコンピュータ印刷の会社へ転職したが、そこも以前に増してしんどい仕事で、一人で何でもしないといけないところだった。社長は2m近い大男で、それが仕事中なのに酒に酔って帰ってくる。「皆勤の徒」はまさにそんな仕事のしんどさをそのまま書いた実話小説なのだ。
 創元の小浜さんによれば、最初の応募原稿はこんなものではなかった。遙かに読みにくく、まずは改行を入れるところから改稿してもらった。もっと設定がわかるようにして、といったら、それが断章になった。これは最初の従業者が(勾玉から記録された言葉を上書きされた後で)書いているものだ。ミドリノオバが出て、帰れなくなってしまったのだ。
 酉島さんはくどくどと説明をしたくない人で、ここから先を言うたら白けるやろと思ってしまう。しかし裏設定はみっちりとあるのだ(その一部を資料にしたものを回覧していた)。
 降着円盤が出てくるところでSFになる。「百々似隊商」でいきなり「久内」という名前が出て、ひさびさに普通の言葉を読んでこれでいいのかとドキドキした。
 百々似(ももんじ)や泥海(なずみ)は細かく計算して書いている。再生知性と非再生知性はキリスト教からきている。年表もある。「洞(うつお)の街」を読んで宮沢賢治だと思ったという読者の声も紹介。また、クローネンバーグは好きですかという質問に、大好きとの答え。
 酉島さんに、わからない言葉について、これは何ですかと聞くと、必ず答えが返ってくるとのこと。それだけ(後からかも知れないが)細かく考えてあるということだ。
 百々似がいっぱい並んでいるシーンで、これ王蟲や!と思ってしまい、「ナウシカ」といわれないよう、外すようにがんばった。山尾悠子「夢の棲む街」は大好きな作品とのこと。
 次回作はあの世界からとりあえず離れて心機一転する。正直、小浜さんもあの世界を編集するのはしんどいとのこと。
 部屋にいた円城塔さんの、執筆にどんなシステムを使っているのか、一つ単語を替えようと思ったらどうするのか、という質問に、テキストエディタで書いていて、単語を替えるのは一括変換を使っているというごく普通の答えだった。
 小説を書き始めて3〜4年は「群像」などの純文学を目指していたとのこと。創元の次作が長編で、某社の短篇はゾンビものだとか。
 創元のいしがめさんが、面白がって『皆勤の徒』の一部を英訳しているとのこと。造語が難しいが、文章や構造はとてもしっかりしていてわかりやすく、英語に翻訳しやすいのだそうだ。造語も、「皆勤の徒」ではビジネス用語風にするとぴったり合って、英訳しやすい。日本SFは世界水準なのだ!
 たった1時間の企画だったが、盛りだくさんで興味深い話が多く、ちょっと物足りない感が残った。どこかで続きをやらないのかな。

 その次の合宿企画は、橋本輝幸さんの「ヒューゴー賞をとるには&グラフィックノベルの部屋」へ。ヒューゴー賞の各賞をそれぞれ裏話を交えて、会場にいる詳しい人たちと共に語る企画だ。
 今はヒューゴー賞候補作の9割が電子書籍で読め、3、4千円出せば短篇部門は候補作が全部読めるようになっているそうだ。
 マイナーな部門の話が面白い。
 関連書籍部門 (Hugo Award for Best Related Book) は本来ノンフィクション部門のはずだが、今はWEBが強い。
 グラフィックストーリー部門 (Hugo Award for Best Graphic Story) は要するにコミック部門。今回はここで強みを発揮している「Saga」などの現物を回覧していた。
 Best Dramatic Presentationはlongとshortに別れているが、longは映画でshortはテレビドラマと思えばいい。shortはずっとドクター・フーの独占だったが、今回はドクター・フーを追い抜いて「七王国シリーズ」の“Blackwater”が取った。
 Best Semiprozineは要するに「Locus」を隔離するための枠なのだが、この5年間は上位は5つとも無料のオンラインマガジンが取っている。今年はドゾアなどベテラン編集者を使う新興オンラインマガジンのClarkesworldが取った。
 Best Fanzineも無料のオンラインマガジンが取っている。ファンジンとセミプロジンの違いは主に長さだとのこと(有料・無料ではない)。
 Best Fancast部門はポッドキャストが対象。
 非英語圏の作家が英語でヒューゴー賞を取るようになってきているが、翻訳はダメで、初めから英語の本として出版されないといけない。菅浩江さんの「そばかすのフィギュア」はスティーヴン・バクスターに自費で英訳してもらったとのこと。
 ニッチを狙うならインターゾーンの新人賞がいい。インド人のSFブロガーがポイントかも。
 後半は眠かったので、ちょっと記憶があいまいだ。

森見登美彦×京都観光地図を作ろう 日本SF短篇の部屋

 それからSFファン交の京フェス企画である「『有頂天家族』アニメ化記念 森見登美彦×京都観光地図を作ろう」の部屋へ。
 プロジェクターへ京都のGoogleマップを表示して、有頂天家族を始めとする森見作品のリアル案内図を作ろうというもの。大森望さん、舟戸一人さん、魚さんをはじめ、ほとんど京大SF研の同窓会みたいな雰囲気だ。大澤夫妻が撮影した現地の写真なども交えつつ、まずはさわやからスタート。
 ぼくも京都へはよく来ているのに、ほとんど観光はしないので、三条・四条と京大の周辺しか知らない。でも今回のマップはほぼその領域に重なるのだ。
 森見作品に出てくる飲食店は、普段京大生があまり行かないような、わりと小じゃれた店が多い。鴨川デルタの花火は本当に普通にやっているのだとか、川向こうは同志社・立命のエリアになるとか、色々と面白かった。

 深夜になって、「日本SF短篇の部屋」へ。いつもの京フェスだと、大森望のアンソロジーの部屋なのだが、そこからスピンアウトし、独り立ちした企画だそうだ。詳細なリストを作った夏木立さんと、ヒューゴー賞の部屋につづき橋本さんが、そのリストから色々と紹介するというもの。
 今年はNOVAその他のアンソロジー+SF作家クラブ50周年+連作短篇ブームということで、また大量の作品が出ている。二人の選んだベストは伴名練「かみ☆ふぁみ!」と小田雅久仁「11階」と決まった。しかし、途中でぼくは眠気に耐えられず、1時半ごろには中座して寝部屋を探し、空いていた布団にもぐり込んで朝まで寝ていたのだった。

SF作家クイズ結果発表

 朝7時に起こされ、大広間へ。忘れ物の話のあと、ずいぶんあっさりと解散かと思ったら、やっぱり各合宿企画のまとめ発表を忘れていたのだった。急遽、各担当者が状況報告。
 若者部屋で、今年は25歳以下の若者が50人ほどもいたと聞き、確かに若返っているなあと実感する。
 細井さんが超難しいSF作家クイズを作ってきていて、その採点結果が掲示されていたが、yama_gatさんがぶっちぎりで1位。Twitterでは「SFはかせ」を名乗っている。2位は東茅子さんで3位が理山貞二さんだった。
 クロージングの後、いつものように鴨川沿いに三条の方へぞろぞろと歩いていく。喫茶店でみんなでモーニングを食べて雑談後、解散。帰宅は昼過ぎだった。

 今年もいつもながらの楽しい京フェスを堪能しました。実行委員長はじめ、スタッフのみんな、ありがとうございました。また来年もよろしくね。 

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