第431号 (24/04/07 登録 24/04/15 更新)
目次
[編集後記]
- 2024年4月号、オンライン版309号をお送りします。
- 木口まこと(菊池誠)さんが3月31日付で定年となり、大阪大学理学部物理学科教授を退官されました。最終講義の内容がYoutubeで視聴可能です。理解出来たかどうかは別にして大変面白かったです。車の渋滞が相転移だというビデオも面白かったですが、ランダムでは出せない非常にレアなケースをシミュレーションする手法「レアイベントサンプリング」によってタンパク質の進化をシミュレーションし、生命の進化、そして普遍生物学へという流れにはしびれました。
- 今後はフリーランスの物理学者として研究を続けるとともに、ミュージシャン、そして作家としてもがんばりたいとのこと。さっそく本誌に創元SF短編賞1次選考通過作「君がいる世界」を寄稿していただきました。またこの次もよろしくね。
- 堺三保さんのSF映画「長編版『オービタル・クリスマス』」開発資金募集クラウドファンディングが5月7日までの期限で実施されています。ぼくも少額ですが応援してきました。短編版も素晴らしかったのですが、やはり描ききれなかったところがあったのではないかと思います。本格的な長編SF映画の完成をめざして、みんなで応援しましょう。
- 定期検査に病院へ行ったら「ロボット手術センターを開設しました」というポスターがありました。しかし「ロボット手術センター」という言葉、なかなかのパワーワードですね。こんなロボットが手術してくれるそうです。何かすごい。
- 3月も訃報が続きました。何といっても衝撃だったのは鳥山明さん。3月1日、急性硬膜下血腫により68歳で永眠されたとのことです。自分より年下の方の訃報には本当にショックを受けます。鳥山さんといえばアラレちゃんにドラゴンボールですが、ぼくはドラクエの可愛いモンスターたちも大好きで、特にスライムはずっとアイコンに使っているほど好きです。心よりご冥福をお祈りいたします。
- 3月20日には、アメリカのSF作家で計算機科学者のヴァーナー・ヴィンジさんが79歳で亡くなられました。ヒューゴー賞受賞作の『遠き神々の炎』と『最果ての銀河船団』も印象に残っていますが、ぼくのようなSFじいさんには81年に書かれた『マイクロチップの魔術師』が衝撃的でした。当時コンピュータ・ネットワークの描写にわくわくしながら読んだのを覚えています。またある意味悪名高い〈シンギュラリティ〉の概念を広めた一人としても有名ですね。慎んでお悔やみを申し上げます。
- そして今度は山本弘さんの訃報。3月29日に68歳で亡くなられたとのこと。もしかしたらと思っていたことが現実になってしまいました。山本さんといえばややマイナーなオールド海外SFへの愛着と、日本のホーガンとも言うべきトンデモと科学を微妙に融合させた視点が魅力的でしたが、近年の作品におけるフィクションの中における自意識の問題へのアプローチがとりわけ印象に残っています。慎んで故人のご冥福をお祈りいたします。
- 次号は5月5日ごろに登録の予定です。
24/04/07(大野万紀)