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ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。


ファクトリー

最後のネットブックVAIO-Wシリーズ
最後のネットブックVAIO-Wシリーズ

シンクライアントfutro
シンクライアントfutro

ハイエンドVAIO-Zシリーズ
ハイエンドVAIO-Zシリーズ

 7月です。梅雨、明けですか??気温が着実に上がり、蒸し暑さも加わっていよいよ夏。クチナシやキキョウが咲きました。ねむの木のピンクの花も咲き始めています。ただ、この木は一つ一つは可憐な花なのですが、次から次へと咲いて、落ちる花弁を掃除するのが結構大変。

今月のお仕事

 SFマガジン8月号に山尾悠子『飛ぶ孔雀』のブックレビューを書きました。毎日(東京版夕刊)、朝日、ダ・ヴィンチと相次いでインタビューが載るなど大きな反響を呼び、古くからのファンを喜ばせたレジェンド作家の長編です。そういう方々を差し置いて、私が書かせてもらったので怒られそうですね。

今月の小説

 創作の35作目は「ファクトリー」です。ニッチ商品を作っていた専門メーカに勤める主人公は、ライバルメーカのローコストの秘密を探るべく、大陸の工場に赴くのですが……。

(左の写真、またはこちらをクリックすると別ウィンドウが開き本文が読めます。今月から横書きsway版では、段落時の1文字下げを省略しました。困ったことにsway自体にそういう機能がなく、勝手に省かれてしまうのです。縦書きPDFはこちら

 いつもと同様、これら作品はMicrosoftのswayを用いて作られています。すべてフィクションです。特定のモデルは存在しません。

今月のちょっと長いおまけ記事

 今年になってからジャンク品を含む中古PCを複数購入したので、水鏡子ではありませんが購入日記です。売価が安く、外観がひどく損なわれておらず、比較的珍しい機種を選んで買っています。興味のない方は読み飛ばしてください。

 最初のVAIO-Wは、ネットブック世代のパソコンです。ネットブックは2007年末頃から始まった廉価PCの俗称で、これを契機に台湾ASUSが台頭、高コスト体質の日系ノートメーカは衰退していきます。2018年のいまでは、日系生き残りは、もはやパナとVAIOだけになりました(ビジネスユースに的を絞っています)。そのネットブックブーム末期に、後追いで発売されたのが本PCです。

  2010年1月発売の法人向けモデル。10.1型のHD液晶、メモリ2Gbyte、CPUはAtom N450(製造プロセス45nm、1コア2スレッド、動作周波数1.66GHz、PASSMARKのCPUベンチマーク値は299)を備えていました。ネットブックとしては豪華なデザインとスペックです。ネットブック独特の、体積より面積のコンパクトさを追求したスタイル(ずんぐりむっくり)。ローコスト機種で高級路線という、日系にありがちな矛盾したコンセプトが味わい深い。富士通、東芝、NECも続きましたが、売れたようには思えません。中古価格は、発売当時比で0.1

 さて8年前のPC、しかも当時のAtomとなると、最新OSやアプリでは実用が難しくなります。10年前のウィルコムD4やVAIO TYPE-P、LOOKSで使われた最初期AtomチップセットのGMA500は、もはやOSサポート外(WIndows8.1以降)です。VAIO-Wでは、Windows10はぎりぎりインストール可能(最低要件は満たす)なのですが、かなり遅い。最近はlinuxもGUIリソースを喰うので、休眠PCにlinuxを!とか思っても、稼働条件には注意が必要です。軽量のZorin OS core lite32bit(Xfce版ubuntuベース)あたりなら、ネットブックでも快適に動くことが分かっています。

 次は富士通のシンクライアントPCです。シンクライアントとはディスクを持たないPCで、Windows Embeddedなど特殊なOSで動きます。ホストであるサーバと一体で使う、企業向けのターミナル(端末)です。データはすべてホストに保管され、個人は持ち出せません。会社ではふつうですけど、管理社会的パソコンともいえますね。そのまま単体では使えませんが、ノート型の場合ノートPCと中身は変わりません(デスクトップ型は、特殊なCPUが使われているものがある)。ディスクを取り付け、OSをインストールすれば使用可能です。OSが付属しないシンクライアントは、捨て値のジャンク扱いなのでお得です。

 2012年6月発売、12.1型のWSVGA液晶、メモリ2Gbyte、CPUはCeleron877(製造プロセス32nm、2コア2スレッド、動作周波数1.44GHz、PASSMARKのCPUベンチマーク値は1288)。上記のVAIO-Wで使われている組み込み機器用のAtomと、同じ廉価版でもPCメインストリームのCorei系Celeronとでは性能差が大きく出ます。これくらいの性能ならば、Windows10は問題なく動きます。太くて丸っこいスタイル、ワイド液晶が主流になる前のB5ビジネスノートはこんな外観が多かったですね。中古価格は、発売当時比で0.01

 最後はVAIO-Z-フリップです。メーカーアウトレット品。アウトレットにはいろいろあって、売れなかった新古品やユーザ返品までさまざまです。出荷後開封されるか、未開封でも箱にキズがついたりすると、返品されても中古扱いになります。新品には戻らないし、倉庫に寝かせておいても在庫扱いで課税されたりで良いことなし。再整備してリファービッシュ品とするか、そのまま中古業者に売られたりします(リファービッシュするメーカは少ない)。このVAIO-Zはユーザ返品で、無線LANの不具合とありましたが、設定を変えれば直る問題です。納品直後だと、販売店も修理扱いせず、返金や交換を簡単に認めるのでこういう品もでてきます。どちらにしてもシール痕があったので、明確な中古品ですがね。

 2015年2月発売、13.3型のWQHD液晶、メモリ16Gbyte、CPUはCorei7-5557U(製造プロセス14nm、2コア4スレッド、動作周波数3.1GHz、PASSMARKのCPUベンチマーク値は4938)。液晶部分だけが180度回るフリップスタイルでデジタイザペン対応、しかもRetina。SSDはノート用では珍しかった高速のM.2 NVMeタイプです。当時としては、ハイエンドといえるスペックを備えています。売価も30万円近く、SONYがPC事業を切り離し、VAIO社として独立した際の記念モデル扱いでした(現在VAIO社は日系ファンドが保有しています)。3年落ちでも、発売当時比で0.3。状態は良かったのですが、まあ滅多にこんな高価な中古は買いません。


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