みだれめも 第246回

水鏡子


○近況(2月)

 1月(12月分)の電気代20,000円台に驚いて、年明けから燃費の悪い古い民家の母屋のエアコンを切って断熱性の高い書庫に籠っている。HERO WARSのせいで、エアコンの稼働時間は間違いなく増加したのに電力使用量は昨年の1割減にとどまった。それなのに、二月もやっぱり20,000円越え、昨年より1,000円多い。電力料金引き上げと寒波のダブルパンチはなかなか大きい。一般家庭は大変だろうな。

 HERO WARSはレベル100に到達したのだが昇格イベントはなにもなかった。考えてみると、根を詰めて3か月かかったものの、課金組ならたぶんらくらくひと月以内で到達可能、まだ基礎構築のレベルであるのかもしれない。ゲーム内の断片情報から推測すると、レベル130がどうやらひとつのリミットらしい。どうもレベル130に到達してギルドを組んだところからゲームは本格的に始まるということなのではないか。そんなわけでレベル130で拓ける視界を目標にもうすこし前に進めていきたいのだが、最前線の武器防具を確保しようとしたら、ひとつ確保に3日くらいかかる始末。1週間近くキャンペーンモードを一歩も進めなかったりする。さすがに作業に疲れてきたので、軽くシーズンイベントなどをこなしながら、生活の比重をWEB小説不完全リストに移していく。といいながらやっぱり6時間以上ゲームに取られる。

 株が相変わらずの不安定。ウクライナで大変です。あくまで現物取引のみ、信用によるヘッジをしないことにしているのでやむを得ない。
 書籍系株主優待について一度まとめておこう。まんだらけやブックオフなど優待発表時に喜んで慌てて購入したため 、優待効果が過ぎて大幅なマイナスになったままもどってくれないものがいくつもある。それでも長期保有した金券はぼくの書籍購入の貴重なリソースである。頭の数字は証券番号。ググると株価情報が簡単に見える。

○商品券(固有)

1  9278  ブックオフ 500株:金券5,000円
三年以上の長期保有で7,500円。
7610 テイツー 10,000株:割引券10,000円
一年以上の長期保有で20,000円。
※古本市場 1,000円ごとに使える500円の割引券
2652 まんだらけ 5,000株:金券10,000円
一年以上の長期保有で50,000円。
※加えるに「まんだらけZENBU」年3冊、ただし郵送料に別途1,000円が必要になった。
7640 トップカルチャー  1,500株:TUTAYA500円ギフト券4枚
一年以上の長期保有でギフト券6枚
未保有。
3159 丸善 500株:金券2,000円
長期保有なし
※5,000株で6,000円分貰えるが、コスパが極めて低い。
3048 ビックカメラ ※家電量販店系同一資本。
それぞれ100株保有すると、合わせて年間6,000円の商品券+3%割引クーポン。長期保有で5,000円プラス。
系列のソフマップでライトノベル(新刊)の購入が可能。
7513 コジマ
9414 日本BS放送
2769 ヴィレッジヴァンガード 100株:10,000円の半額割引券 2年以上の長期保有で12,000円。
※昔は金券だったものが割引券に改悪。並べている本の趣味がぼくと合わない。

〇クオカード、図書券:丸善ジュンク、紀伊國屋などで使用可能

 学習塾などをはじめとして100株5万円ほどで買える株で1,000円分のクオカードを貰える企業多数。配当と違って20%の税引きが行われないことも魅力。率がいちばんいいのは、4,000円少しで300円分貰える9978文教堂グループだが、いつ制度が廃止になったり、倒産するかわからない。

〇商品

1  9468  KADOKAWA  00株(保有一年以上):カタログ掲載の書籍から3冊。3年保有で5冊。300株なら6冊。
9467 アルファポリス  100株:カタログ掲載の書籍から2冊。カタログが貧弱で毎年有名作が並ぶだけ。ほしいWEB小説が少ない。
7849 スターツ出版  100株:(たぶん)カタログ掲載の書籍から3冊。3年保有で5冊。未保有
 WEB小説の老舗だけれど、BLとか恋愛ものとか女性向けで商品に興味がもてない。
9470 学研 400株:「大人の科学」1冊等。3年以上長期保有で図書券1000円分追加。株数によって2冊入手も可。
3138 富士山マガジン  100株:定期購読雑誌の年間10%割引。未保有

 その他 9783ベネッセ、9475昭文社など書籍系の商品はそれなりにあるのだが、只でもいらないものがほとんど。ちなみに、「たまひよ」に代表されるベネッセ(旧福武書店)やキティちゃんのサンリオが海外文学類から撤退したのは、株式上場にあたって、企業イメージに合わない文化的活動は趣味的行為として株主の意向にそぐわないと忖度された結果なのだろうと、株を始めてみるとよくわかった。

 2月の書籍購入数はなんとたったの108冊。購入金額16,500円。
 新刊3冊『とうもろこし倉の幽霊』、『ちはやぶる㊽』、『甘い生活2nd⑮』、合わせて3,300円で全体の2割。なろう38冊コミック30冊。ダブり本は5冊だけれど、このうち3冊は『キングダム』。バラで10冊百円本の棚に落ちていたので買って帰った次の週、また3冊落ちていたので、前回の抜けた分と思ったら、まるまるダブっていた。
 その他拾った硬めの本は長野敬『生命の起源論争』、高城和義『パーソンズ』、岩波現代社会学②『自我・主体・アイデンティティ』、村上陽一郎『生命を語る視座』、橋本治『黄金夜界』、ゴールドスミス『動物誌①』など。


● WEB小説作家別一覧(不完全)お勧め 第1回 あ

※4月も10日になりましたが、「あ」のリストが完成していません。
今回はいろいろリストの注釈を書いていますが、今回は文章のみということで。ごめんなさい。

 さて、二巡り目である。
 今回はお勧め限定ということで評価Cまでの紹介に限定する。前回BC評価があまりに少なすぎたと思うので、全体に格上げすることにした。具体的には評価C中の上をページあたり10以上20以内、可能な限り15以上を目指すことにした。最初はD評価までを挙げるつもりでいたのだが、全体を格上げした結果Dをお勧めに含めるのはどうかなあと、取り下げた。

 評価のぶれを修正したい気持ちもある。
 まず第一に、異世界物で世界構築が緩いもの、小説構成のだらりとしたものは、もうちょっと考えろよという思いが先立ってきつめの評価をしてしまった部分がある。話づくりがうまければ、そのうえで作者が自分に向けて書いているのであれば、それだけで中の中、D評価を与えてもよかったなと途中から思うようになってきた。ただ人物造型がゆるく、平坦な文章で少年漫画ののりでバトルアクションとハーレム展開をつないでいく話には、正直食傷気味であり、そこにオリジナリティを見いだせないと、人気上位のものも中の下どまりに、逆に稚拙が目につくものであっても、作者の変なセンスや思いのたけ、描写の冴えが見られるものには完成度を抜きにして、評価Dを与えた。小ひねりしたワンアイデアに小説の体裁を与えただけのうすっぺらい話は評価E、作品的に不出来でも、書くことに必死が見えれば評価Dといったところか。逆にテンプレ使用で内容がなく毒にも薬にもならないものの読んでて比較的苛立つことがなく、作者本人が楽しんで書いてる印象があるものは評価Ⅾとしてもいいかなあと思っている。レーベル的にアルファポリスにそういうタイプが多い。以前に書いたように、異世界物の背景設定の杜撰さと比較して、VRMMO系は杜撰な部分をゲームの「仕様」でごまかせるので、総体的に杜撰をがまんしやすい。記憶が顕著に薄れており、さらには読んだ端から忘れていくうえ、量的にも再読困難な状況であるので、評価にあまり信用が置けないところは前回とそんなに変わらない。まあ当初掲載を予定していた評価Ⅾを消すことにしたので、DとEの区分など、あんまり意味のない説明になってしまったが。

 問題は、WEB版が中断してしまった作品である。書籍の打ち切りは出版社に憤っても、著者に責任はなく、続きをWEBに読みに行けばいいのだけれど、WEB更新の中断は困ったものである。単純に著者が書くのに飽きてしまったケース、書籍版が打ち切りになって心が折れたケース、書籍化での編集とのやりとりで嫌気がさしたと思しきケース、書籍化もしくはコンテストの入賞で満足して続きを書く気を失ったもの、いろんなケースがありそうだが、基本的に話を終わらせられないものは、原則評価Ⅾまでに留めた。ただしWEB版が書籍化の数倍から10倍以上の分量で中断している作品はこの原則に含めない。たとえば『トカゲといっしょ』など。また一部ほんとうに独自性が見受けられるものもCに残した。『異自然世界の非常食』など(なんか裁判沙汰になっていていろいろ怪しい著者のよう)。これもすべてのWEB版をチェックしていないのであくまで適当である。

 ランキングや売り上げをチェックし、へんにマーケティングリサーチをして小説のレベルを劣化させる人間がかなり目につく。ストレスフリーという言葉を都合よく解釈して楽に安易に流れていく。それなりに出版されて生計の種にすることになったらしかたがない面があるのだろうし、技術面では現在の方が上がっているかもしれないが、最初のころあれだけ心のこもったものが書けたのにと残念に思う。こうした作家については代表作は旧作を挙げ、評価は現状に合わせてたぶんEをつけていく予定である。もっとも初期の作品でそれなりに楽しんだものが、読み返すとテンプレとして使い回され、小説としての粗雑さだけが浮かび上がってくるようになったものも少なくない。いろいろ評価は難しい。
 なによりも、第1読者として作者自身を置いているか、評価してくる見ず知らずの他人の目線に媚びているふうに見えるかどうか、ここに大きく比重をかけたい。

 新しく状況欄を作ってみた。案外どころかとても大変である。今回のみだれめもが遅れたのはひとえにこれが大変だったせいである。隔月掲載は難しそう。わりと心が折れそう。

 〇の数字は書籍の巻数。外伝も含める。作っている端から数が増えていく。三巡目にはまた数え直さないといけない。
 数字のみのものは書籍刊行とWEB版更新がいずれも継続中のもの。
・【完結】は基本、書籍・WEB版ともに完結したもの。一部、書籍版がアブリッジされたものもあるが、書籍がWEB版最終フェーズにまで触っていたら完結とした。『用務員さんは勇者じゃありませんので』など。
・【終了】はWEB版が完結もしくは継続中だが、物語の区切りがついたところで書籍的にはまとまって完結扱いになっているもの。『陶都物語』など。6巻で一応の区切りをつけた『その無限の先へ』のように、ここから話が大きく膨らんでいくものは、少し迷ったが【打切】の扱いにする。『ラピスの心臓』や『辺境の老騎士』のように突然最終巻と銘打って区切りをつけたものを出し、【打切】ではなく【終了】に格上げ?したものもある。
・【打切】WEBでは継続中、もしくは相当量進んでいるが、書籍版が数年規模で中断しているもの。編集者とのトラブルや改稿がうまくいかないなど著者サイドの事情による場合もあるのだろうが、基本的に理由がわからないわけで、一律書籍打ち切りとしてまとめている。WEBで続きを読みに行けるということである。【終了】との違いは宙ぶらりんで次巻が出ていないこと。もしくは序盤段階で終わっていること。
・【web終】書籍は終わっていないが、WEB版が完結したもの。書籍版については刊行継続中、、打ち切り両方の場合があるが、記録が細かくなりすぎるのでここはWEB版の状況を優先する。『無双系女騎士なのでくっころは無い』など。なお、書籍として話をまとめてある【終了】についてのみ、書籍版の状況を優先する。
・【削除】なんらかの規定に違反してアカウントを削除、あるいは著者本人の意志による退会や、書籍の売り上げを意識して、WEB版が読めなくなったもの。「小説家になろう」から削除されたあと「カクヨム」その他で継続しているものも多いが拾い切れていない。それらは【削除】扱いしていない。『現実主義者の王国再建記』など。アカウント削除のショックからかその後更新が止まるもの多数。なお、アルファポリスでの書籍化の事情による大量移籍は、書籍化部分はレンタル形式の無料部分というかたちで一部を読むことが可能であり、未書籍化部分はそのまま読むことができるので、【削除】にはしていない。
・【途絶】著者がWEBでの更新を中断したもの。わりと書籍化直後や打切決定で更新が止まるものが多い。(エターナルを縮めて「エタる」と呼ばれている)最初に書いたように、書籍部分のあとに一定量の物語が読めるものは中断扱いにしていない。『トカゲといっしょ』『かみがみ』など。なかには何年もたってから唐突に再開されるものもある。『神様は異世界にお引越ししました』など。WEBに続きを読みに行くのがあまり意味をなさないものである。 
・あと、書籍化されて、WEB更新分がなくなったあと、書籍だけで話が続くものも多数あるが、これについては特に注釈はつけない。

評価A
赤野工作  『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』
評価B
蒼空チョコ  『獣医さんのお仕事㏌異世界』
赤木一広  『無双系女騎士なのでくっころは無い』
麻美ヒナギ  『異邦人、ダンジョンに潜る』
あずみ圭  『月が導く異世界道中』
評価C
合田拍子  『豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい』
青井硝子  『異自然世界の非常食』
青木紅葉  『聖貨を集めて、ぶん回せ!』
青猫早々  『押しかけ犬耳奴隷が、ニートな大英雄のお世話をするようです』
青のあらた  『転生者イシュルと神の魔法具』
青本計画 『お嬢様、どうかニンジャはおやめください!』
青山有  『救わなきゃダメですか?異世界』
朱月十話(とーわ)  『世界最強の後衛』
麻倉英理也  『小さな魔女と野良犬騎士』
アネコユサギ 『盾の勇者の成り上がり(外伝あり)』
甘岸久弥 『魔道具師ダリヤはうつむかない』
アマラ 『神様は異世界にお引越ししました』
亜鳴蝉 『スキルリッチ・ワールド・オンライン』
Allen 『マギカテクニカ 剣鬼羅刹のVRMMO戦刀録』
安泰 『異世界でも無難に生きたい症候群』

 前回からの変動としては、まず評価Bでは蒼空チョコの追加と赤木一広の昇格である。美少女が物理的に無双する物語というのが基本の赤木一広だが、書籍版2巻打ち切りの報告の後も倦まずWEB更新を続け、大分量で完結まで辿り着けた強靭さを評価した。そのあと、高校の校舎ごと異世界転移したなかで、美少女二人と情報特化の主人公が数千人を殺しまくる『誰だ、こいつら喚んだ馬鹿は』を連載中だが、背景設定、人物造型ともに前作以上にしっかりと作りこまれている。青井硝子のC降格は物語がちょん切れたため。グロい表現力は他を圧倒しているのだが。
 秋川滝美はデビュー当初の非現実ぶり設定が影を薄めて普通の作家に成り上がったため、わりとどうでもよくなって評価をCからDに落とした。

 Cに入れた新規組からAllen『マギカテクニカ 剣鬼羅刹のVRMMO戦刀録』をひとつ紹介しておこう。
 世界を滅ぼそうとした極悪組織を祖父とともに秘密裏に壊滅したこともある武術師範の主人公、弟子の勧めで現実感覚で戦闘を行うことのできる剣と魔法のVRMMO世界に参加する。
 かなり進んだ段階で明かされるネタをばらすと、主人公が暮らす世界もじつはVRMMO世界のひとつであり、その世界のサーバーが末期に達しており、そこからすべての人間をもうひとつの世界に移住させる計画が運営がらみのグループの手で進められているとの設定が出てくる。それがこの剣と魔法の世界なのだが、この世界も危機に瀕していたりする。
 かって運営に属していた人間で、人類は苦難なくして成長できないという信念をもつ科学者が、世界を破滅に追い込む集団をいくつものサーバーに仕掛けており、この剣と魔法の世界にもそうした悪鬼が跳梁していたのだ。実際多くのサーバーがこの科学者の企みで壊滅していた。じつは主人公たちが殲滅した悪の国際組織も、今の世界に仕掛けられていたこうした仕掛けのひとつであったという設定。
 まあよく考えられた設定というだけで、物語の基本は、主人公が身につけていた武術に剣と魔法の技術を加えて、巨大な敵と戦っていく無双バトルで、普通ならD評価に留めておくレベルなのだが、こうした設定の妙を加えて、格上げしたしだいである。

 WEB更新の途絶したものには、個人的評価が高いものがいくつもあり、残念な気分が残る。一応代表として 『押しかけ犬耳奴隷が、ニートな大英雄のお世話をするようです』を評価Cに掲げたが、他にも、『冒険者デビューには遅すぎる』『聖王国の笑わないヒロイン』『異世界国家アルキマイラ』など再開を待ちたい。あと『美少女を上手に〇〇〇にする方法』の著者であるアナルカンは作品の小説的評価は高いけれど、あんまり読みたくないので、評価Dに留めた。お勧めしたくない。 


○WEB小説作家別一覧(不完全)リスト (※リンク先はOne Drive(Excel Online)です)

 ※ 今月は更新はありません。

 ※ 凡例、表の説明などはこちらにあります。追加・修正についてはこちら


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