年末にIT小物を買いました。予算は5万円。
まず最初の1つはVRビュアーです。 Oculas VRといえば、廉価な没入型3D機器の開発会社で、Facebookの買収による将来性なども話題になりました。ここでは、スマホ(Galaxy)をコントローラ兼プロジェクタに使うゴーグルが3万円くらいで売り出されています。とはいえ、画期的に安いといっても、まだ3万では気軽には買えません。そこで登場するのがCardboard、グーグルの社内ベンチャーが作ったダンボールで作る3D VRビュアーです。図面をダウンロード+印刷してダンボールに貼り、切り抜けばタダで作れます。しかし、工作は無理/面倒という場合は、組み立てキットも売られていて、こちらなら1000円です(下の方の2眼式がグーグル方式のもの)。
海外製などいろいろあるのですが、写真は改良版25ドルの“高級品”です。……1000円の機種で十分だと思いますが。
この簡単な仕掛けで、
3Dゲームはもちろん、いわゆる360度全周カメラの「映像の中に入る」体験をすることができます。単なるパノラマ写真ではなく、真上から真下まで見回せるのが特徴です。映像自体はAndroidスマホのカメラアプリがあれば、誰でも写すことができます。没入型3Dは実際に見てみないと実感できないので、試してみる価値はありますね。PCでカーソルを動かして見るより、はるかに臨場感が得られます。もっとも、プラスチック玩具以下のダンボール製ですから、外部の光が漏れてきたり、スマホ画面の光量不足などはあります。
2番目はchromebookです(これもグーグルがらみ)。
l昨年から欧米中心に売れて、日本でも年末から個人向けに発売されました。量販店に見に行きましたが、店員はまったく売る気なし。数も揃わないし値段も安い、儲からないものはいらないという感じです。価格は3万円前後。仕様はほぼ共通していて、CPUは大きくARM系とIntel系に分かれ、Intel系でもAtom系とCore-i系があります。
写真は、台湾のAcer製、
11.6型TN液晶、CPUはCeleron2957U(2955Uのマイナー改良品)、主記憶4Gbyte、ストレージ16GbyteSSDという仕様。見た目はそのままパソコンで、2007年頃に流行ったネットブックそっくりのハードスペック。
OSが当時のWindowsXPから、Chrome OSに変わったという違いはあります。CPUはCore-i系のメインストリーム型。他にN2830を使っている機種もありますが、そちらはAtom系です。何が違うか。CPUのコストは同じで、どちらもバリュー機種向け、性能比2957U:N2830=1.5:1、消費電力比2957U:N2830=2:1になります。つまり、UはNより性能は1.5倍高いが消費電力が2倍大きい。
コンセプトは文字通りのネット(依存)PC。ストレージはほとんどクラウドにあり、処理はブラウザ上のアドオンアプリに限られます。とはいえ、MS Officeアプリはあるので、 簡単な編集(VBAが使えないなど機能限定)ぐらいまでなら可能です。しかも、1テラバイトのオンライン・ストレージが2年間タダ(240ドル相当)のキャンペーンがありました。グーグルアカウントさえあれば、デバイスを問わずアクセスできます。これは破格のサービスで、差し引きハード代がほとんど無料になります(1テラも要らないでしょうけど)。
今Google、MSともに、Dropbox、Evernoteなど専業各社に対抗して、自社ストレージ環境への誘導/囲い込みを進めています。例えばMS陣営では、ほぼ同じハード構成でWindows8.1のOS搭載機を、オンラインストレージ100Gbyteの2年間使用権付き(キャンペーンのないときはChromebookも同等)2万5千円で売っています。安いとされるChromeOS機に、Windows8.1機が同等以下のコストで挑んでいるわけですね。OSはどちらも無料という消耗戦。ハードメーカーは両サイドの製品を出していますが、まあ儲からないでしょう、安すぎて。タブレットに征服されて滅んだはずのネットブックが甦る背景には、キーボード必須の分野が少なからず存在するということなのでしょう。
ところで、この機種のレガシーなTN液晶に、視野(上下左右で色味が変わらない範囲)が狭いと文句を言う人がいます。TVならともかく、プライベート使用のノートPCで、なぜ視野角を問題にするのかわかりません。覗かれたい? 液晶は広視野角になるほど光量が下がります。IPSは液晶の透過率(光を通す割合)が低く、より暗くなる。つまりバックライトを明るくしないといけません。電力的に不利です。TNは視野角は狭いけれど、透過率が高く正面輝度も明るいのです。
3番目はKindle Voyageです。
従来の2倍の価格ながら、品薄になるくらい人気の機種です。最新ペーパー液晶E Ink Cartaを積んでいます。データシートによると、コントラスト比15:1(前機種比50%向上、より白く見える)、反射率44%(4%向上、外光下でより明るい)、300ppi(中級機種Kindle Paperwhiteは212ppi、より細かいものが見える)となっています。歴代最軽量、フロントライトのムラもなく視認性は良好です。
電子書籍のメリットは特にコミックで発揮されます。その画質は電子書店によって異なり(同じコミックでも解像度が違う)、eBookJapan、紀伊国屋がベストとされますが、小さな画面では良く分かりません。筆者の場合、スマホの5インチでは吹き出しの文字を読むのが苦しく、8インチのタブレットでは持つに重い、なので6インチの軽い専用端末が手ごろなのです。このサイズで見やすければ良い。専用端末と画質のマッチングでいけば、koboかkindleしかありません。紙書籍と異なり、電子書籍は不定期に割引キャンペーンを打ちます。その度にばらばらの7店で買っていたので、もはや探すのも面倒。電子書籍ストアは、これからは絞っていかないと。kindleはPC版アプリも日本語に対応して、スマホ/タブレット/PC端末を問わず読めるようになり、ようやく他社並みになりました。
と、全部合わせておおよそ5万円です。円安だというのに、PCを含む海外製電子ガジェットがこの予算で3つも買えるのですから、ITデフレはまだまだ終息していません。
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