みだれめも・出納日記 13年9月
水鏡子
SFマガジンのファンタジイ特集やコミック特集で、掲げられてる必読作家に何人も見覚えのない作家がいる。アンテナの錆びつき具合に衝撃を受ける。こまめに書店古書店を回り、買うのもそのあたりに集中しているつもりなだけに。
スーパーのタイムセールがへんなことになってきた。7割引きの時間帯まで商品が残っていない。半額セールでさえほとんど買えなかったりする。(とくに駅近辺)。商品単価も徐々に上がっている。定価380円くらいだったものが420円くらいになっている。もしかしたらこの単価の上昇が2割引きセールとかで商品が消えていく原因かもしれない。
物価高による可処分所得の減少で一般家計の逼迫は確実に強まっている。街角景気の悪化は進んでいる。安部政権の企業優遇姿勢はますます露骨化してきた。
端的に言って、会社を儲けさせるから、そのおこぼれが回ってくるのをみんなお預けして待っていなさい政策でしょうが。会社が社員の生活の面倒を見るのがあたりまえだった時代ならともかく、非正規社員が何割にも上るご時世にどれだけ実効性があるのか疑問だけれど、それはそれでひとつの方策といえなくもない。じっさいぼくなど今年はその恩恵で儲けさせてもらったわけである。けれども、政権サイドは株式市場や企業統計ばかり見ていて浮かれるなかで、発足当初のアンテナを閉ざし、一般人の感覚からどんどん乖離していっている。復興税の企業負担の繰り上げ廃止などほとんど政治的自殺行為だろう。復興支援、生活支援、福祉政策一般への沈黙を続けるそれまでの政策姿勢全般へなんとなく違和感を抱いていた多数者のなかから、これでもって決定的に不支持に回った人間が相当数生じたことに疑いない。人件費の上昇を言うのなら、最低賃金の消費税+物価上昇への機械的スライドくらい言ってみろ。
2%の物価上昇目標ということの意味はわかっているだろうか。あれは単年ではなく毎年2%あがるということなのだよ。つまり今105円で買えている商品は消費税8%になった時には110円かかり、10%の時点では117円払わなければならなくなり、その翌年には120円になることなのだ。
ダイソーやキャンドウなどの100円ショップは税以外の値段を据え置くと、原価率が上昇して品質を劣化させることになる。コストカットでしのぐというなら人件費の削減による労働強化だ。そんななかで唯一物価上昇に加われず品質を維持し単価を維持できるのはブックオフや古着屋などの中古業界。こちらのほうはむしろ供給過多からデフレ化が今後とも進行しそうな気配がある。考えてもみてほしい。雑誌・コミックを除いた年間出版点数8万点。小説類に限っても、文庫だけでも5千点以上、1万点を越える書籍が出版されている。仮にすべて1000冊しか売れなかったとしても、1年間で8000万冊、たった10年で8億冊が巷に積み上がる計算になる。もちろんその数倍ということだから、コミックまで含めると、たぶん過去30年で100億冊以上。あふれないほうがおかしいわけだ。
〇8月の結果
支出計:174,601円。前年8月177,932円。3,331円減。
入手書籍:152冊 24,479円。累計1,790冊。前年累計1,353冊
2年続けてこの月はパチで大勝ちしてるので、この額で増減しているけれど、本来的にはこんな額で収まる月ではない。生命保険が10万円、パソコン修理が3万円、草刈代金2万円、これに法事、ゲーム会、飲み会2回とイベント多数。
購入書籍はゆるやかに減少中。
9月1日(日)〜9月30日(月)
【トピック】
9月第1週。
例会に細美が来て新しい名刺を見せる。青心社の営業(パート)になって本屋回りをす
るそうだ。名刺は営業用で20枚しか作ってないということでもらえなかった。
今週は株の調子がかなりいいので、積極的にパチに。勝つ。勝つ。「ベルセルク」でこれまで買ったコミック全冊分を取り返す。
日曜日。例会前にツイン21の古本市とその近辺の古書店を回る。300円、400円の値付けのHSFSを15冊、ナースの『憑かれた人』(箱、月報、スリップ付)を800円で買う。
これでHSFSは残り57冊。『闇の左手』とか『中継ステーション』とか、誰に貸したかわからないまま行方不明のものが何冊かある。
9月第2週〜第5週。
2つの連休を挟んで起伏のない毎日。年末ベスト選びが迫ってきて、日本作家にとりかかる。読めない! ライターズ・ブロックならぬリーダーズ・ブロック。『皆勤の徒』1冊に1週間かかる。頭がラノベ頭になってることを痛感する。まああいかわらずの「女神転生W」で延々と悪魔合体を繰り返していることも大きな理由のひとつなのだが。ロウ、カオス、ニュートラル、バッドエンドと4ルートあるということで、現在3周目に入っている。
日曜例会で丸善ジュンクにいくたび毎月入手していたジブリのPR誌「熱風」が手に入らない。宮崎駿の引退の影響だろうか。スポーツ選手ばっかりでなくこの人とかに国民栄誉賞を出せたらエラいと思うけど絶対無理だろうな。ノーベル平和賞とか取ったら安部クンは困るだろうな。
週2のペースでパチに行く。前半は快進撃が続く。後半は暗転。あぶく銭感覚で派手に使って、3回行って11万円負ける。前半で稼いだ貯金をすっかり吐き出す。それでも今月は数千円のプラス。なんとなくすっきりしてしばらくパチに行かなくなりそう。
【読んだ本】28冊(内、漫12冊) 累計362冊(内、漫178冊)
酉島伝法『皆勤の徒』★★★★
宮内悠介『ヨハネスブルグの天使たち』★★★★
野崎まど『Know』★★★★
『【映】アムリタ』★★
『舞面真面とお面の女』★★
『小説家の作り方』★★★
雨木シュウスケ『鋼殻のレギオス (23) (24) (25)』★★
鎌池和馬『新約 とある魔術の禁書目録(8)』★★
十文字青『薔薇のマリア (19)』★★★
岩田洋季『花×華 (8)』★★★
九月文『銀の竜騎士団 (10)』★★★
山田風太郎『忍法相伝73』★★
『新発見作品集』★★
「フリースタイル23 特集・鏡明」
(漫)
曽田正人『CAPETA 27〜32』、樹なつみ『花咲ける青少年 特別篇(4)』ほか12冊
できのいい、いろんなタイプのSFを読むたび小松左京を連想するのは逆にこの人のすごさと幅の広さを表すものであるのだが、同時に小松左京ほど物語世界を現実社会そのものと擦り合わせ、マクロ・レベルのモデル化を繰り返した続けた作家はその後も一人も出現していない。『ヨハネスブルグの天使たち』を読みながら思い出したのは『地には平和を』の頃の小松左京だ。『盤面の夜』は表題作はともかくとして連作集として見た場合、枠としてのゲームと実としての戦争へのこだわりが、かならずしもうまく嵌らなかった感じがあったが、今回の主題とガジェットはよく似合っている。ただスケール的には少し小さくなった。
そんな本と続けて読んだせいで『皆勤の徒』の幻想世界は現実社会との乖離にものたりなさが生じた。そんなものは作品上まるで必要ないことはわかっているけど。
『know』を皮切りに野崎まどのまとめ読み。現在も継続中。書くたびに異なる物語を展げてみせるが、天才たちが蠢動し、超越が世界に降臨するところは共通する。超越の物語をたくさん書く作家には、あっちも世界へ行きかねない不安な部分があるのだけれど、いまはこちらに踏みとどまっていてくれている。長い話の方が詰まった感じで、短い話ほどスカスカした感じになる不思議。
『花×華 (8)』はきちんと盛りあげられた完結編。高校の映画部を舞台に、自主映画の製作と恋物語を同じく自主映画を作った伝説のかれらの親の世代の物語とをからませながらきれいにまとめる。
『鋼殻のレギオス』も完結。前田珠子の『鬱金の暁闇』と同様に話のけりをつけるためだけにゴールに向けて歩き続けただけの印象。途中までのテンションが嘘みたい。
『薔薇のマリア (19)』は完結直前巻。あとがきを読むと、しばらく前から編集部に完結をせかされていたようで、そういわれるとはしょった印象。次号でキャラや伏線の回収はできるのだろうかと気になるが、あいかわらずテンションは高い。
【買った本・拾った本】主な本20点内
スティーブン・キング『11/22/63 上下』頂き本(白石朗様 多謝)
パトリック・ネス『人という怪物』頂き本(東京創元社様 多謝)
バイロン『ドン・ジュアン 上』105円
アラン・E・ナース『憑かれた男』800円
早川SFシリーズ15冊計4900円
酉島伝法『皆勤の徒』1680円
山田風太郎『忍法相伝73』2940円、『新発見作品集』1890円
野崎まど『KNOW』、『野崎まど劇場』、『小説家の作り方』、『パーフェクトフレンド』、『なにかのご縁』、『ファンタジスタドール イヴ』、『2』計4524円
ジョージ・R・R・マーティン『竜との舞踏』3150円 ※今月買った最高値本
斎藤真也『男を見せてよ倉多くん(1)〜(6)』、静月遠火『真夏の日の夢』他15冊各35円 ※今月買った最安値本
【株式成績・等】9月27日まで
経済不安のマドリッド、治安不安のイスタンブール、原発不安の東京、3択。汚染水がレベル3に認定され、歴代原発事故のトップテンに上がった時点で、オリンピックはマドリッドに決まったと確信して、失望売りで下げた9月権利株を買い漁る戦略を練っていたのが、みごとに覆されて動きがとれなくなった。買い増しがひとつもできず指をくわえる。もっとも、おかげで含み損は7割減。元凶、DENAは相変わらずだが、負け頭2番手3番手の壱番屋とキャンドウが大幅改善、プラ転すらが見えてきた。
ゲーム株での失敗の繰り返しにも懲りず、こんどは500株だけだけど、コロプラを買う。DENAを売っぱらって乗り換えて5000株の大勝負を賭けたかったのだが、躊躇しているうちにみるみるあがって指を咥える日々になる。次の決算発表までに再び2000円を割り込むことがあれば勝負だけれど無理だな。
以前にも少し書いたが、11月の後半を中心に株式は大暴落が期待している。予測の根拠を少し詳しく書いてみよう。(ただしネットあたりで拾ったところでは、むしろ年末に向けて株価は好業績からゆるやかに上昇するとする意見のほうが目立つ)
(1) 11月末:外国ファンドの決算月。
これは毎年の恒例行事。決算に向けて具体的な成果を数字として示すため、ファンドは持ち株を売って、利益を確定する。外国人売買が比率を増すに従って、この時期の株放出による下落影響は大きくなる。このことを痛感させられたのが今年の5月の急落だった。「SELL IN MAY(5月に売れ)」という有名な格言があるのだが、今年の5月は堅調なアベノミクスに支えら格言どおりにいかないのではないかと欲張っていたところ、じっさい5月の前半はそれなりに踏みとどまっていたものが、とんでもないリバウンドを伴って、昨年5月ひと月で下げた値幅を2週間足らずで達成した。欲を張って買い増ししていたぼくは大被害をうけ、含み益が含み損に暗転し、いまだに損を抱えたままである。理由はいろいろ語られているが、ぼくとしては単純に外国ファンドの中間決算に合わせた利益確定が原因だったと信じている。
(2) 米国金融引締め
アメリカの9月の金融引締めが先延べされて今月は少し混乱が生じていたが、年内に実行するのはまずまちがいないところ。ただアメリカ経済の復調を印象づけたいFRBとしては、11月末の決算の好成績への影響を考慮して12月に引締め政策を発表すると読んでいる。これが例年にはない下落要因。
(3) 税制改正
今年まで、株式売買益にかかる所得税は株主優遇税制で1割少々である。これが来年から廃止されて利子所得と同じ2割にもどる。そうなると株で儲けている人間は、今年中に売り払うほうが得となる。同額で買い戻しておけば、含み益は0円になり配当などは従来通りもらえることになる。だから(1)(2)の理由による株の下落に先んじて、売り払う投資家がたくさんでてくる。こうした大量放出が(1)(2)の理由と重なって大暴落が発生すると読んでいる。
(4) NISA
これに来年度から始まる新制度「NISA」が関わってくる。NISAの口座の大きな特徴は1月1日以降に開始される別口座であるということ。つまりここで購入される数兆円の株式は12月中は使えないということである。むしろファンド・サイドからすれば、12月中に下げてるほうが都合がいい。1月に数兆円の株式が買われることで株価が上がるということは、12月いっぱい一定部分株価の頭がある程度抑え込まれるということである。
こうした状況変化、制度改正を鑑みると、11月の後半から12月にかけて大幅な株価暴落が見込まれ、それが1月前半に、とくにファンドに組み込まれやすいコア30銘柄を中心に大きくリバウンドし、その後上下を繰り返しながら3月末の決算時期に向けて上昇基調を続けていくとみることができる。企業の業績等をほとんど無視した需給バランス主体の判断である。残る懸念材料はヨーロッパと中国だけど、こればっかりはこまめにニュースを見ながら不測の事態に備える以外に道はない。
とにかく今はできるだけ、利益の出ている株を売り、貯めた資金で底値を確かめながら11月の後半に勝負を賭けるべきだと思う。この未来予測うまくあたればご喝采。成功すれば、過去60年で最大の年間所得を手にすることができると計算している。
これから株をやってみようという人も、今言ったような大暴落が起きたなら、この時期に参入するのが千載一遇の機会と思う。年初来安値と照合しながら、コア30など指数銘柄なら、買って上がっていれば1月中旬くらいに売り払う。株主優待狙いなら、2月3月権利確定銘柄を買い、権利落ちの時点でできるかぎり売り払う。11月12月に買っておけば、よほどのことがない限り儲かるだろうと思っている。4月以降まで持ち越さなければ。さあ、勝負。仮に予想がはずれても買えないだけのことだから儲けそこなうだけで損しないはずだから。