岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。


 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

 最近、かんべむさし、鏡明、山尾悠子の新刊がブランクを経て出たこともあり、今回は彼らの世代の位置づけを書きます。

別冊新評1977年夏号


別冊新評『SF 新鋭7人特集号』(新評社)

表紙絵:北本裕章


 1977年7月に別冊新評は新人SF作家の特集号を出した。
 「SFの浸透と拡散」をテーマとしたSHINCONがあったのは1975年である。2年が経過し、「幼年期」から育ったSF作家でも、第2世代と呼ばれる人々が活躍を始めていた。この年の5月には「宇宙塵20周年を祝う会」(東京九段会館)も開催されている(その会で祝われた矢野徹、柴野拓美は既に故人)。

 本書で紹介された作家は以下になる(掲載順)。

 山田正紀(1949年生)「イブの化石」
 かんべむさし(1948年生)「宇宙の坊っちゃん」
 津山紘一(1944年生)「THE END」
 山尾悠子(1955年生)「遠近法」
 横田順彌(1945年生)「平国家ニッポン」
 堀晃(1944年生)「電送都市」
 鏡明(1948年生)「一秒二四コマ」

 山尾だけが少し若く、20歳で1975年11月に「仮面舞踏会」(短編)によりデビューしている。新井素子の高校生デビューが1977年、大原まり子の大学生デビュー1980年だったので、当時唯一の女性作家として注目された。公開されている写真は当時のものしかない。このメンバーのうちSFファン出身だったのが横田、堀、鏡の3人である。後者2人は専業作家にならなかった。かんべむさし、山尾悠子はデビューがSFマガジンの新人賞だったが、もともと熱心なファンではなかった。津山紘一は80年代後半以降活動を停止している。この世代の作家は、使命に駆られた第1世代と違って、さまざまな要因での消長が見られる。早すぎたデビューなのかもしれない。後の世代は、「SFマガジンの50周年記念号」(50〜60年代生まれ)、『NOVA1』(60年代生まれ)、『ゼロ年代SF傑作選』(70年代生まれ)となり、SFの周辺から育ってきた。却って作家としての確立も早かったように思える。そういう意味で、ちょうど端境の時期、“幼年期”(生まれて成長途上)と“浸透と拡散”(成長し周囲に広がっていく)の中間の時代だったことが分かるのである。


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