岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。8月は『フィニイ128のひみつ』、『マルドゥク・スクランブル』、『タイムマシンをつくろう』、『時間旅行者のための基礎知識』、『忘却の船に流れは光』などを収録。8月に出た本は、どれもメタSFに近い内容。単独の作品だけを読むのではなく、関連書籍との併読がおススメです。
ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。
Blaster
前回更新から1ヶ月、連敗続きでもマジックが半減する不思議の阪神はともかく、今年の夏は、まるで東海道戦争でしたね。糸魚川静岡構造線あたりを境に、気候の分離がされているような。仕事の関係で、関東と関西の往復が多いのですが、気温差10度なんてざらでした。関西、ヨーロッパの往復のほうが、まだ気候的に近かったかも。東北は梅雨が明けることなく、このまま秋になりそうで、食糧危機が再燃するのでしょう。
えーと、以前Nimda篇を書いたのは2001年の9月、例の9.11の9月です。もう2年前ですね。戦争とウィルス/ワームの流行は連動します。今回のBlaster系も、過去のパターンとよく似ていますが、一般家庭の被害が多いらしい、という点が異なります。つまり、常時接続されている、ネットワーク家庭が増えているわけですね。企業も含めて、全世界で感染100万台余。前回も、同じもの(ユニファイなWindowsOS)は流行り病に弱いと書いた通りで、純血種ほど抵抗力がありません。デフォルトの状態が弱すぎるんですね。問題なのは、個人が(ウィルスパッチ、非Win系OSで)対応していても、ネットワーク上のトラフィックが輻輳してしまうと、何らかの被害をこうむる点でしょう。狭いCATV網や無線ネットで、ワーム起因の大量のパケットが出されると、ネットワークにつながらなくなります。ギガビット時代といっても、まだ多くの幹線は細いのです。ストリームが何本も通ることは、想定されていません。
でもまあ、セキュリティ・ホール発見→ウィルスメーカへの告知→対策完成→自社HPで公表→ウィルス出現のサイクルだけでは、パソコンを買った一般個人は気がつかなくて当然です。ウィルス出現→マスコミが騒ぐ→ユーザが気づく(一般事故と同じ)がふつう。統計では常時接続ユーザは、2003年7月で凡そ1100万人(ADSL/CATV/FTTH計)、どう考えても、このユーザ全てのセキュリティ意識が高いとは思えません。例の住民基本台帳システムでセキュリティが懸念されるのも、数万にもなる自治体(内外のネットワーク及び接続機器)全てが安全なはずがない、という至極まっとうな推測によるわけですね。
やはり「安全ではない」ことを認識した上で、今のように、汎用パソコン側にネットワークの機能を全て持たせるのではなく、ネットワークの(機器ごとにカスタマイズされている非汎用OSの)ターミナル側にセキュリティを集中させるほうが、まだ安全な気がします。何せ、ウィルスが活動するためには、ある程度インテリジェントなCPUと利用可能なソフトが必要です。複雑なOS(どこに穴があるかを調べきることが非常に困難)と強力なCPU(何でもできる)が、ウィルス増殖の温床になるのなら、あらかじめ機能を限定しておくしかないでしょう。
もう一つ、情報を集中させないのも重要でしょう。一箇所にあらゆる情報があれば、まとめて盗難にあう可能性がある。個人の情報は、個人が保管する。さらにその情報も分散/暗号化する。ネットは、情報を利用する機能のみに限定する。プライベートなデータ保管場所に使わない。自動的に拡大するワームを防ぐために、個人の環境の数だけ条件を変えて被害を減らす。こういう非関税障壁(手間を増やして、実質の作業効率を悪くする)も有効なのでは。