みだれめも 第260回
水鏡子
4月の購入数257冊。購入金額34,987円。クーポン使用2300円。
web小説46冊。コミック31冊。だぶりエラーと買い直し26冊。新刊本はSFマガジン6月号、村上春樹『街とその不確かな壁』、五示正司『ひとりぼっちの異世界攻略⑭』3冊5,137円。
『街とその不確かな壁』は去年の4月刊行物を今年の4月の新刊本と間違えて購入。村上春樹を読まなくなって久しいとはいえ、アンテナの錆付き具合に慨嘆。
5月の購入数201+190冊。購入金額37,072円。クーポン使用20,200円。
web小説66冊。コミック52冊。だぶりエラーと買い直し22冊。新刊本は『噓つき姫』他クーポン使用分を含めて15冊。
GW中心に忙しい日々。大阪四天王寺古本市に2回、1泊2日で京都みやこめっせの古本市に、東京にSFセミナー3泊4日する。セミナー以外ではほとんど人と会わず古本行脚に精を出す。どうやら2か月で200㎏越えを達成(?)したようである。託送便の重量制限のせいで、冊数よりも重量の方が計算しやすかった。託送料だけで1万円を越えた。
まず、大阪京都。なんとなく拾い集めている全集・叢書類の欠本がそれなりに集まった。
みやこめっせ古本市の帰りに京都の高島屋専門店街に入ったまんだらけに初めて寄る。株主優待券の使用したweb小説の購入が目的だったのだが、目的のweb小説、コミック、ラノベがほとんどない。店員に聞くと、同様に入居した蔦屋書店と競合するものは避けているとのこと。しかたがないので、和田慎二と水野英子の画集と三橋一夫『勇者カリガッチ博士』で6000円分使用する。
5月4日からは3泊4日の東京行き。去年のブックオフの惨状があったので正直期待は出来なかった。新横浜で下車し、町田のブックオフと八王子の古本市に。町田は予想通り。文庫本220円と単行本370円に、1冊も買わずに退去。今年再確認したことで、もうここや新宿秋葉原のブックオフに行くことはない。八王子は値段が高くて毎年数冊規模しか買ってない。今年も木曜社『科学見直し叢書①②③』など5冊にとどまる。
それでも5月5日は西部古書会館と近隣のブックオフ、古本市場で託送便ひと箱強の成果を得る。杉並、練馬のあたりでは文庫は220円だがコミックは110円、単行本も220円のままだった。関西では110円で見かけなかった渡辺多恵子『風光る㊵~㊺』を入手。古本市場は東京も品数が貧弱。練馬区と江東区と2軒廻ったが1000円購入毎に使える200円クーポンを結局使うことができなかった。
レファ本として明治書院『日本現代小説大事典』(1500円)、弘文堂『縮刷版 大衆文化事典』(500円)を買う。後者はしっかりした内容だが、諸作のあらすじとみどころを主体にした前者は文章的に興を削ぐものが多数。これで2万円の定価は高い。斎藤次郎『少年ジャンプの時代』、柿添昭徳編『文庫一番煎じ』、井門冨二夫『比較文化序説』、ロイド・アリグザンダー『人間になりたかった猫』、高橋英夫『神話の森の中』、日本児童文学会編『世界の童話作家』などを100円150円で買う。
5月6日SFセミナーでは「宇宙気流」その他おなじみさんを3000円ほど買う。意外と常連さんが欠けてきている。終わって2時間ほど会食。
5月7日は雨模様でそのまま新幹線に。車中で突然咳き込む。一晩寝て、起きると発熱こそないが激しい咳痰、涙が止まらず、常時目脂がこびりつく。軽い脱力感もあり、これは世にいうコロナを貰ったのかな、症状的には違うような気もするが、会食組に連絡をいれないとな、などといろいろ考えながら1週間近く寝込んだ。幸いコロナでなかったようで、いちばん近いのは突発性の強度の花粉症だが、鼻詰まりはほとんどなく、花粉症で寝込むこともあまり聞かないし謎である。医者にもらった抗生物質薬でとりあえず症状は軽減した。ただ、咳き込んだ拍子に鼻か喉から吸い込んだと思しき水気が右耳の鼓膜の内側でごろごろしていて治らない。月末に、生まれて初めて耳鼻科にかかる。とりあえず5種類の薬を2週間分貰い、様子を見ることになる。
5月の冊数の+190冊は、頂き本とクーポン使用による0円本である。うち6000円は前述の京都まんだらけでの使用分。
4月に堀(晃)さんがたつの市の実家からの帰路、うちの書庫の見物に来る。よもやま話で楽しい時間を過ごす。仲介を取った岡本俊弥が手土産になにがいいかと尋ねられ古本でいいんじゃないかと答えたそうで、SFマガジンの抜けている丸表紙とアドベンチャーの欠本を頂ける話になった。ありがたいことである。これでアドベンチャーはほぼコンプリート、SFマガジンの欠番はほぼハヤカワHi関係+一部増刊号だけになる。堀さんも300号以降はいろいろあってあまりお持ちにならないとのこと。ああ。
古本屋経由の本にはない60年前とは思えない極美の丁寧な保存状態の本に触って、堀さんの若い時分の同誌への愛おしみに思いを馳せる。改めて不幸なボタンの掛け違えが惜しまれる。
神戸大SF研の後輩である川上君からメール。引っ越すことになったので、処分予定の洋書洋雑誌を引き取りませんかとのこと。要らないなら廃品回収に回すしかないのだけどと、ぼくらにとってはほとんど脅しに近い内容に、仕方ないかなあと引き受ける。最近ニュースになった、原発立地地区での核のゴミの最終処分場問題となんか似ている。でも、ぼくの書庫もあと3年、建設から10年が限界である。おかしい、30年持ちこたえるはずだったのに。
短編集とアンソロジーが半数を占めるペーパーバック類は、ヴァン・ヴォクト、ベスタ―、ベイリーといったあの手のものが多い、ほかブリッシュ、コーンブルース、ロバート・フォワードなど。木戸英伴というペンネームを使っていた人間なので、ヴァン・ヴォクトが12冊と一番多く、ヴァン・ヴォクト研究書やフランス語版『非A』などが混ざっている。洋雑誌は90年代のアナログ、アシモフ、アメージングといったところが中心。世代のずれがあるのでダブりは2割弱くらい。2000年前後に雑誌のサイズがひと回り変わっている時期があったのを初めて知った。並べると不細工。
かなりぎゅう詰めに近い洋書洋雑誌棚(増える予定がなかった)なので、3日くらい使ってのんびり書架整理をする。
ひとつ面白い発見をした。かなりダブりの多い、ギャラクシー誌なのだが、そのうちのひとつ同じ号で表紙、背表紙に記載の異なるものを見つけた。
78年3月号なのだが、号数の記載が違っている。ひとつは MARCH 1978 となっており、もうひとつは VOLUME 39 NO.3となり02766と付番がある。アメリカ版とカナダ版かと思ったのだが、どちらもPrinted in USAとなっている。謎である。
知人から、本をまとめていただいたことは何度かある。岩波文庫300冊とかコミックストリップ1000冊とか「自然と生きる」系の本500冊とか、ある意味守備範囲の少しずれるものをいろいろ。それはそれでそこを起点として興味の枝葉が広がっていくのだが、書庫の収束性に欠ける面もないではない。
堀さんと川上君の本については、むしろぼくの原点部分に溶け込み収束性を高めるタイプで、なろう系にシフトしていく集塊を、原点へと引き戻すありがたいものであったといえる。
最後が、クーポン12,000円を使用した、なろうとらのべの大人買い。前にもやったことなのだけど、5月末有効期限のビックカメラの優待券が、本来の電気器具に欲しいものがなく難波のソフマップにある「品揃えの悪い」新刊書のコーナーで適当に拾い集める。なんだかんだで新刊で十文字青をやたら買っている気がする。『薔薇のマリア』の時期以降やや執着が薄れてきているはずなのに。