みだれめも 第252回
水鏡子
2月の購入冊数は238冊。76,887円。クーポン使用3,000円
冊数は昨年の107冊から倍増。購入額はなんと5倍を越える。
もっともそのうち40,000円はDVDである。近くの古本屋に、多分同じ人が放出した、小学生低学年時に見たTVドラマが大量に並んでいて、衝動的に購入する。最初に気づいたのは『恐怖のミイラ』全4巻でこれだけ買おうと思ったのだが、ずっと見渡し、通販だともっと安く買えるようだがこういうのは一期一会とまとめ買いする。『白馬童子』『スーパージャイアンツ』『海底人8823』『月光仮面(第一部)』『遊星王子(第四部)』『(ワイズミュラーの)ターザン(コンプリートボックス)』。実写ドラマに限ったのでモノクロ時代のTVアニメ『宇宙パトロールホッパ』や『オオカミ少年ケン』などはパスした。今までパソコンで視聴していたのだがついでにポータブルDVDプレイヤーを購入する。当時の特に子供向けドラマのひどい脚本と棒読みセリフにある意味感動する。
なろう77冊。コミック46冊。買い直しとエラーのダブり本33冊。新刊本『ダンジョンに出会いを⑱』『ソードオラトリア⑬』『されど罪人は竜と踊る㉔』山田風太郎『風の便り』藤子不二雄短編集3冊など8,834円。
ひさしぶりに吹田の天牛書店に行く。ここには行くたびに廉価本の大量買いをして宅配して貰うのだが、少しショッキングなことが起こった。天牛という店の名前がどうしても浮かんでこないのだ。天までは出てくるのだが、天地でもない、天なんだっけと呻吟続けた。物忘れにも程がある。今年は絶対脳ドックに行こうと決意を新たにする。
そんな天牛書店で買った主な本。
300円の本。福田和彦編『日本の世紀末』、金井圓編訳『描かれた幕末明治』、ロバート・ダーントン『猫の大虐殺』、河上倫逸『多神教世界における日常の法』、百田弥栄子『中国の伝承曼荼羅』、増川宏一『すごろくⅠ』、ランドル・コリンズ『脱常識の社会学』など。
100円の本。田中游圭、いむらふみこ『グラフから読むフランス書院文庫』、ジョン・L・キャステイ『複雑性とパラドックス』、村上陽一郎『歴史としての科学』、現代の記録 動物の世界『③野生動物の世界』、『WIRED 97年1月、4月号』、『ダヴィンチ解体全書』、『石の血脈』『晩秋の陽の炎ゆ』(買い直し)など。
それ以外の300円本はなろう本だけ。最近は400円以下のなろう本はなるたけ拾うようにしている。
読んだなろうでは、御堂ユラギ『もう全部俺一人でいいんじゃないか?奴隷殺しの聖杯使い(ギフトメーカー)』(UGノベルズ)が意外な拾い物。「聖杯」というわけのわからないギフトを得たことで実家を追放された主人公が覚醒して無双する、追放ざまあの典型で、書籍化された第1巻は、小説の造型も粗くあまり評価のできないものだったが、なんとなくへんなところがあってwebに続きを読みに行くと、書き込みも進み、文章も徐々に良くなり、へんの密度も高まって、<ギフト>を巡る大きな物語へとつながっていく。
購入冊数は238冊。43,842円。クーポン使用9,200円
なろう84冊。コミック79冊。エラーと買い直し17冊。
自転車で動ける範囲にあるリサイクルショップの、処分品を売りさばくためのガレージストアがあることに、リサイクルショップで配られたチラシを見て初めて知ったのが昨年の11月。3年前から開設していたらしいのだが、目に見える1階の様子から古着屋と思い込んでいた。処分品であるから、もちろん安い。コミックやフィギュア、クリアファイルなどが安いものだと50円で売られている。500円買うと100円の割引券が貰える。さらに四半期ごとにコミック5冊100円セールを開催している。12月に続いて今年の3月にセールがあった。
『アトムザビギニング』『マギシンドバッドの冒険』『まおゆう』『極黒のブリュンヒルデ』『バイオーグトリニティ』『士道』などのコミックを大量に買う。半端本ばかりだが、買えば買うほど110円で買って埋める巻が必要になるジレンマがある。
クリアファイルやキャラクタータオルなど基本50円だが、大量にだぶつくこともあるようでときどき10枚セットで300円などという売り方をする。
大体週1回のペースで顔を出していると、あっという間に、エヴァのクリアファイルが100枚近くになった。同じくエヴァのタオルも20枚ほど。『ちはやぶる』を読んだことが契機になって生まれて初めて百人一首を200円で買った。最近の掘り出し物は『ワシズ麻雀牌』(300円)。
肩書に「廃本回収業」とつけようかと考えている今日この頃だが、この調子だと文字通り「廃品回収業」になりかねない。
新刊は『標本作家』『現代SF小説ガイドブック』『チンギス紀』『ソードオラトリア⑭』他5冊8,194円。
300円以上の本は、なろう系27冊、国枝史郎『伝奇浪漫小説集成』『歴史小説傑作選』『伝奇短篇小説集成①』『探偵小説全集』(計7,500円)、篠田知和基他『フランス幻想文学の総合研究』(300円)、R・F・ジョーンズ『星雲からきた来た少年』(700円)、DVDで主演松山容子『月姫峠』(5,980円)を買う。
300円以下ではジャック・デリダ『根源の彼方に 上下』『コーラ』、リュック・フェリー、アラン・ルノー『68年の思想』、エリアーデ『大地・農耕・女性』、道明新兵衛『ひも』、佐藤忠男『日本映画史③』、海野弘『20世紀』などが単行本サイズの主なもの。岩波文庫で『金枝篇』があって、棚に並んでいる1と2を買ったつもりで帰って見ると、なんと『金瓶梅②』だった。老眼のせいで騙されたのだが、たぶん店主も間違えていたものと思う。
「なろうお勧め100人」に選んだ中で、たぶんいちばん迷ったのはLA軍という作家。これまた悪役令嬢ものと二大潮流となった追放ざまあ系で、文章の粗さ、小説として見たとっつけさは100人中での間違いなく最下位級。ただノリと勢い、そしてなにより突き抜けぶりが半端でなく、無視しがたいのだ。代表作として選んだのが『ドイツ軍召喚ッ!~勇者達に全てを奪われたドラゴン召喚士、元最強は復讐を誓う~』(アーススターノベル)で、「ドラゴン召喚士ナセル・バージニアは、魔王打倒のため王国が召喚した勇者コージに愛する妻を奪われ、家族を殺され、ドラゴン召喚の呪印も潰されてしまう。全てを失い絶望するナセルが遂に命すら奪われそうになった時、その召喚に応えて現れたのは最強のドラゴンーではなく謎の軍勢、ドイツ軍だった!?」と潰されたドラグーンの呪印がドイツ軍召喚の呪印として復活しての無双譚。異世界での近代兵器無双系には他にも『どうしても破滅したくない悪役令嬢が現代兵器を手にした結果がこれです』などの第616特別情報大隊などがお勧め。
月末に大阪阪神百貨店と四天王寺の古本市、5月1日から京都みやこめっせの古本市があった。大阪で一泊して大阪例会と三つの古本市を行脚する。冊数、購入額等は4月と5月で区分けしたが、収穫物の報告は今回にまとめた。
購入冊数は303冊。50,983円。クーポン使用8,000円
年間支出の大幅増を目標に、古本市での原則300円縛りを緩めたこともあって、4月までの購入金額は20万円。ほぼ昨年の倍である。
三月に作品社の国枝史郎本をまとめ買いした勢いで、3冊しか持ってなかった未知谷の『伝奇全集』残り4冊を買い込む。最後の補巻が倍の4,400円で4冊合わせて10,600円になった。これでこの作家の高額本は残り数冊になったわけだが、じつは『蔦葛木曽桟』しか読んでなかったりする。
今回はSF関連での収穫がそれなりにあった。その大半は既に持っているものの買い直しであるのだが。
①フレドリック・ブラウン『スポンサーから一言』新書版:500円
②SFマガジン19、21、22、23、24、26号:各200円
③ハヤカワSFシリーズ『宇宙の妖怪たち』『虎は目覚める』『第四次元』『竜座の暗黒星』『ロスト・オアシス』:各200円
④マシュー・ルイス『破戒僧マンク 上下』東京創元社版:1,000円
⑤ジェイムズ・ブランチ・キャベル『ジャーゲン』国書刊行会版:650円
⑥鈴木いずみ『愛するあなた』:800円
⑦桑田次郎『未来人ケン』『エスパー3』『インテリ五エ門』:各600円
①は60年前の新書本と思えない保存状態のいい美本で正直500円は安い。念のために古書価を調べに行ったら1冊も該当しないのはいいとして、創元文庫版がやたらと高い。うちにあるカビて買い直し中の本も、もしかしたら何百円かで売れるのだろうか。一応初版だし。
②③のうち、『竜座の暗黒星』『ロスト・オアシス』以外はすべてダブり本。SFマガジンのこのあたりが200円なら買ってしまうよね。『ロスト・オアシス』は初買いだが『竜座の暗黒星』は持っていたはずの本が行方不明のもの。大量のダブり本があるハヤカワSFシリーズは500冊近くになっているけど、購入金額を300円で縛っているのでまだコンプリートにならない。残りが25冊もある。大半は高校時代図書館で読んでしまって買えなかった本と、創元文庫と重なる本、伝導者気分で人に貸して返ってこなかった本である。本当の意味での未読本は『金属モンスター』くらいだろうか。
④⑤は別の版を持っているのだがこの値段なら。
なろう本は117冊。今年初の100冊越え。コミック23冊。エラーと買い直しは34冊と1割を越えたがその半分は前述のSF系の買い直し本。
新刊は、『ノヴァ・ヘラス』『本の雑誌6月号』『トゥモロウネヴァーノウズ』『TRPGプレイヤーが異世界で⑧』の4冊約6,000円。
『ナイトウォッチ』『デイウォッチ』『隠し砦の三悪人プレミア版』のDVDを各110円で購入。
500円以上の高額本では定価15,000円の『社会学文献辞典』が最大の収穫。他に『家畜人ヤプー 改訂増補限定版』、橋本治『天使のウインク』『三島由紀夫とはなにものだったのか』大室幹雄『桃源の夢想』を500円、野坂昭如『コレクション① ベトナム姐ちゃん』を800円で買う。ビニールで包んであった野坂本を開けると献呈先を記した著者の大きなサインがあった。
なろう系を除いた300円単行本ものでは、新人物往来社の日本見聞記シリーズを5冊。雄松堂の豪華本や岩波文庫などと合わせると40冊くらいになった。その他オークローズ&スタンチュー『新・進化論』、『福岡伸一、西田哲学を読む』、橋爪紳也『モダニズムのニッポン』、阿部謹也『中世賤民の宇宙』『ハーメルンの笛吹き男』、網野善彦『海と列島の中世』、学研エヴァコラボ『感情ことば選び辞典』など。最後のものは類語辞典で5冊並んでいたものの綾波表紙の1冊を買って帰ってめくってみたら、意外によく頑張ってたので3日後に残りを拾いに行ったら総ざらいされていた。
その他安く拾ったもの。『富士正晴作品集』(全5巻)、山川方夫『長くて短い一年』、キアラン・カーソン『琥珀捕り』、アルベルト・コーエン『選ばれた女 上下』、マヤ・ルンデ『蜜蜂』、ホフマン(?)『悪女モニカ』、田辺貞之助『フランス民話大観』『フランス伝説大観』(青蛙房・初版)、『日本思想体系⑭ 科学と技術』、『岩波講座 科学/技術と人間①⑨別巻』、黒崎宏『科学の誘惑に抗して』、大月書店『科学論の世界』『自然科学と社会科学の統一』、中村雄二郎『哲学の水脈』、宮崎市定『東風西雅』、シルヴァーバーグ『埋れた古代文明』、国文学編集部編『幻想文学の劇場』など。
ブックオフの220円コーナーに『三体0』『三体✕』を見つけたのはわりと衝撃だった。
なろう本では仏ょもをご紹介。
『普通職の異世界スローライフ ~チート(があるくせに小者)な薬剤師の無双(しない)物語~』(ツギクルブックス)と『偽典・演義 ~とある策士の三國志~』(アース・スターノベル)の二つが書籍化。基本的には力に頼らず舌先三寸で施政者たちを丸め込み、成り上がっていく物語。『偽典・演義』は李儒として、何進・董卓の裏で三国時代の到来を妨害し、漢王朝の復興を図っていく。劉備、袁尚の徹底的な貶めが爽快。最後は作者が力尽き、小説の体を成さない異伝三国志解釈開陳集になる。書籍化にあたってはちゃんとした小説にするつもりだろうが果たしてそこまで本が辿りつけるかどうか。
「なろうお勧め100人」については、5月のSFファン交流会の配布資料として見に行くことができます。こちらにも載せるつもりでしたが、リスト区分にいくつか手直しをしたくなったのでもう少しお待ちください。