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ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。


夏の丘 ロケットの空

 第6短編集『夏の丘 ロケットの空』は2022年3月28日に発売開始されています。POD版も含めていつでも購入可能。Unlimited加入者ならいつでも無料。

解説は牧眞司です。

 あっという間に梅雨も終わり、台風の接近を遠望する今日この頃です。電気代やガス代は暴騰し、コロナも微妙にリバウンド中。人出は増えたものの、世間には不穏感が漂っています。どうなることやらですね。

 

 さて、今回は格差について書いてみます。THATTAとしては異色のテーマですね。

 日本は格差が少ないと言われています。「超」富裕層が少ないのでそう思われているのでしょう。でも一方では、その内容についての透明性が低いとも言われています。

 たとえばマンションの価格は今年の初めの調査で、バブル期を含めて過去最高になったそうです。全国平均で5000万円超とか。でも、不思議なのは近畿圏の価格は4500万と平均以下なのですね。近畿は全国2番目の高額地域です。理由はお分かりのように、首都圏が突出して高くかつ供給数が多いからです。東京の平均は約6300万円、億ションも約2800戸造られています。

 こういうときの決まり文句は「誰がそんな高いものを買えるのか」でしょう。すごい富裕層だけだろ、国民の平均所得は433万なんだから年収の15倍じゃないか、というやつ。首都圏は平均所得が584万あるから11倍ですけど、5〜6倍までと言われていた昔と比べるとまだ高い。

 しかし意外にそうでもない、昔の倍率基準で買える人たちもいる。

 東京の港区は平均年収1184万、千代田区で985万、渋谷区で911万、これだと基準内ぎりぎりで買えるでしょう。ここで注目すべきは、この平均の中味です。港区だと地域によっては年収が1000万を越える世帯がおよそ4割、1300万を越える世帯でも3割いるのです。平均が高いのは一部の超富裕層のせいばかりではありません。世帯と書いたように、共働き世帯が多いことを意味します。昔のように世帯主だけで稼ぐのは難しくなったため、2人で500〜600万ずつ稼ぐ世帯が増えているのですね。そんな人たちは、自分たちが富裕層だという自覚はありませんが、それでも6300万円くらいのマンションなら買えるのです。

 ちなみに、全国の市区町村年収ベストを取ると、ベスト10の9つまでが東京圏です(高額水産物が採れる猿払町などは変動が大きく例外)。東京以外で入っているのは兵庫県の芦屋市のみで、ここは阪神間の中小企業オーナー経営者が住む昔ながらのお屋敷町です。こういう旧タイプの金持ちはもう少なくなっています。

 東京は他に例のない異形の街といえます。

 年収1億以上の世帯の半数は東京に住んでいますし、その一方で葛飾区のようにトップ比3分の1の年収しかない街が同居しています。他所と違いすぎるので、首都圏に住んでいると、他の地域の金銭感覚なんてとても実感できないと思います。

 ところで、コロナ禍で滞っていますが、日本では特定技能者という非正規移民(短期間しか住めない)を増やそうとしています。

 人口の急減(少子高齢化)による労働力減少補うためですね。都市部の高齢者人口は25%あり、特に首都圏などは絶対数が多い(香港の人口ほどにもなる)。そういう人たち向けのエッセンシャルワークを満たすためです。ネオリベ思想が蔓延して以来、日本では非正規があたりまえになりました。移民についても、正規ではなく非正規移民を主流としたいのです。

 ただし、既に日本には移民の人がたくさん住んでいます。永住者だけで100万人(旧植民地の特別永住者は年々減り続けいまや3割ほど、新規の移民が増えているのです)、中長期に滞在する人は200万人ほどもいて、難民とかを除けば既に世界でも5〜7番目(年度によって差異がある)の外国人受け入れ国なのです。特定技能者は5年間で35万人ですから、その一部分に過ぎません。日本国籍取得には大きなハードルがあり、若い労働者だけを安価に利用しようというこの都合のいい制度がいつまで可能なのか、先はまったく見えませんね。

どの国で働きたいか

 ちょっと前に話題になった地図があります。

 これは世界の人が「自国以外ならどこで働きたいか」をマップにしたものです。住みたいとか旅行したいではなく、働きたいとあるのがポイントです。

 いくら給料が良くても、事情が分からない国では働きたくないでしょう。どんな働き方なのかを知っておかないと、トラブルに巻き込まれる恐れがある。その点、自国にその国の工場があるとか、言葉の通じやすさがポイントになると思います。政治は関係なく(政治活動が目的ではない)、治安は関係あるかも知れません。そういう前提で見る必要があります。

 アフリカや中南米の国は、言葉が通じる旧宗主国を選んでいます(スペインやポルトガルに仕事があるかどうかは別です)。東南アジアで日本が人気なのは、現地に日本企業の工場があるからでしょう。ベトナムだけが韓国なのは、現地に進出している最大の国だからです(三星の大規模投資先)。インドは英国が嫌いなのでカナダ、英語圏ではカナダの人気が高い。英米は人気薄です。

 一方、謎なのはロシアで、選ぶところがなかったためかアメリカ(戦争前のアンケートです)。カナダとアメリカが日本というのも謎です。給料はドルで生活は円安だから?(アンケート時はそうでもなかったと思いますが)。いちばん謎なのは、日本が英国だということ。アメリカ英語より、クィーンズイングリッシュの方が聞き取りやすいためでしょうかね。


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