みだれめも 第247回
水鏡子
環境破壊(地球温暖化)、天変地異(大地震)、疫病(コロナ)ときて最終戦争(ウクライナ)ですか。破滅テーマのオンパレードですな。
基本ルールと信じていたものの底が抜けて、世界の先が見えない状態は、株のアナリストの手に余る状況のようで、当初の大下げの後、上げるべきか下げるべきかよくわからずに小康状態を続けている。とりあえず、3月権利確定の後は、利益の出ているものは100株残して現金化をしたほうがよさそうだが、同じことを考える人間は多そうで、あまり動けることはなさそう。それに100株しか持ってないのが大半だしなあ。
ウクライナを巡っては、いろいろ夢想してみる。
①地方行政府のロシア連邦からの離脱・独立。今ならロシア敗戦時の国家賠償から逃れられる。理想とすればサハリン州とか。統括する極東連邦管区ならなお良い。西側諸国は即座に独立を承認するだろうし、日本も北方領土交渉を付帯条件に承認に前向きになると思われる。地下資源は豊富だし、アメリカを睨んで一定の軍備力が確保されているはずだし、これに国内の東高西低の微妙な民族意識があったりしたら地位向上の意識も働いたりで面白い気がする。
②基本的に巧言令色鮮し仁の安部君とちがって右顧左眄のできる岸田君には好感を持っているのだが率先して難民受け入れを表明した姿勢は評価に値する。どうせなら、山陰、四国、東北などの過疎県に自立自活可能な50万人規模の大型都市を建設するくらいのスケールをやってみたら、世界から喝采を受けること間違いない。
行政はトップ及び3分の2以上をウクライナ人に任せ、日本人官僚はあくまで補佐と日本の法律および慣習文化に慣れ親しませることのみに業務を限定する。県庁所在地から一時間以内の場所に特区として建設し、住民は日本の慣習文化に習熟するまで3年乃至5年間、県庁所在地及びその近辺に設立された雇用企業以外には行動範囲を制限する。制限を逸脱する住民にはウクライナ人行政官僚が対応する。将来的にはウクライナ以外の難民にも門戸を開き、彼らが日本に馴染めるためのノウハウをウクライナ人に蓄積させる。住民の数は50万人プラスそこで生まれた子供に限定するが、ひとつ確立できれば、他の過疎県に第二第三の都市を建設することも視野に入れる。ウクライナが先進国であり一定の技術水準があり宗教的縛りがたぶん少ないと思われることから可能な行為であり、そのまま日本における日本人が苦手なところもある難民支援を担ってもらえる可能性がある。
③資金をどうするかであるが、国際的組織としてウクライナ支援機構を設立する。目的は資金の調達と提供のみ。対象は①難民支援②現地復興③ウクライナ人による民生組織、民兵組織への出資。ただし③についてはロシア軍撤退までに限定し、ロシアへの進攻は認めない。
参加資格は、国、法人、個人とし、参加国は、①ロシア②協同出兵国③ロシアへの経済的支援や、自国を通じてロシア製品の流通を行った国の三段階に分けてロシア製品の輸出入に一定のウクライナ支援協力金(実質的には関税)を設定し、その全額を支援機構に提供する。関税率については支援機構が設定する。参加法人については、この関税とは別に、個別の交易での課徴金を企業ごとの裁量で決定し、その率及び額を支援機構に提供すると同時に支援機構ホームページ上で公開する。ロシア国内ではウクライナへの支援金額が上乗せされていることを明記してしか販売できないことにする。個人については支援機構のホームページに参加の登録とコメントを揚げることだけで、自主的な寄付は受け付けても強制はなく、金銭的な負担はない。参加者の登録についてはロシアも含めて国籍は問わず、本名での登録が義務付けられるが、ホームページ上では自国での迫害の恐れもあり、匿名を認める。コメント欄でウクライナ以外の国、地域への言及は禁止する。ジョージアは例外としていいかも。別枠で非参加者によるウクライナ批判の投稿も認め、参加者との討議を可能とする。
④ウクライナ進攻による行政の機能不全を理由として、ポーランド、ウクラナ、ついでにモルドバ三国による大ポーランド合衆国の設立。初代大統領にゼレンスキ―、副大統領にポーランドとモルドバの大統領を置く。結果的にロシア隣国に巨大軍事国家が生まれ、しかもなしくずしのNATO加盟となり、ロシアへの最大の嫌がらせになる。
プーチン激似の肉体派大統領がテロにあい、自らの巨大石像に押しつぶされて異世界転移する馬場康誌『ライドンキング』はなろうの骨法を踏まえた面白いコミックで、現在7巻まで刊行中で、なんと百万部を越えている。アニメ化も取りざたされていたようだが、今回の件で連載打ち切りが危惧されている。プルシア(ジョージア)出身だったり、反権威反権力主義だったり、ブラックユーモアとして付帯価値はあがっているはずだけど、まじめな人たちがたくさんいるので、継続は難しいかも。打ち切り、非単行本化を危惧してしばらく「月刊少年シリウス」を買ってみようか。
『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』とか、有名どころのスピンオフは探すとけっこうあるのかな。
HERO WARSは現在チームレベル115。5月末くらいにはレベル130に達すると推定される。
一つのゲームに1千時間超を費やして、いろいろメリットデメリットに気がついたのでまとめてみた。
基本的に金がなく、時間がある年寄りには、いい暇つぶしになる。課金も1,000円程度で抑える意志の強さがあれば、とんでもなく安い経費で時間がつぶれる。
逆に時間が金と経験を蓄積すべきものである若い人は手を出すべきではない。言葉通りの意味で時間の無駄である。ルーティーンを費やすことに取られる時間が長すぎる。バラエティーに富んだサービスを次々提示してくるので飽きさせず遊べるけれど、システムを理解していく最初の数百時間のあとは、かなり虚しさが募ってくる。外から見れば同じように見えるかもしれないが、俯瞰的ジャンル読みの楽しさがある、なろう読みとは根本的に異なっている。なにせ1千時間かけてもひとつのゲームのスタート地点に辿り着けた気配がないのだ。ジャンル総体を鑑賞することは難しい。ひとつのゲームから受け取れる総合的文化理解はあるけれど、所詮は葦の髄から天井を見る作業に留まっている。
それでも、このゲームをやったことでネットゲームにインスパイアされた小説の楽しめ方が少し深まったように思える。
『ソードアートオンライン』を始めとするなろう本の一大勢力であるVRMMOもののほとんどは異世界をVRMMO世界に置き換えたもので、そこにチートになった主人公の斜め上の行動がプレイヤー間のチャットをにぎわしたり、運営の頭を抱えさせたりする仕様だが、佐嘉二一『ダイブ・イントゥ・ゲームズ』は特定のVRMMO世界で成り上がるのではなく、いくつものタイプの異なるVRMMOゲームを並行的に遊び尽すという点で異色を放っている。異世界系VRMMOではなく、リアル系VRMMOといったらいいのか。著者はかなりのネットゲーム耽溺者でないかと思われるのだが、そこから見えてくるのはネットゲームを極めるには、ぼくが敬して遠ざけた課金とギルドによってワン&オンリーの自分のスタイルを作っていくことこそ肝要であるとする思想だ。具体的には一言も言っていないのに、そんな主張が伝わってくる。ああ、これは時間と資金の両面から撤収すべき世界であるなと感じいる。作品評価Bに近いC。
3月の購入冊数は202冊。今年初めての200冊越え。金額も36,000円と大幅アップ。クーポン使用2,700円。なろう59冊。コミック26冊。買い直しとダブり16冊。
『浮世絵聚花』というでっかい美術本の18巻中8巻を各1,000円で購入。各国美術館収納の浮世絵を集めたもので、とんでもなくでかい。原寸大なのかな。後期配本分のせいかほとんど読んだ気配がない。1冊定価3万円とかが1000円はすごい、と思わずまとめ買いして、あとでネットでチェックしたら700円とかの値のものもある。まあ、よほどの書庫がないと扱いに困るだろう。おまけに段ボールにひと箱3冊しか入らなくて、なんと三箱の託送料がかかった。他に一緒に『岩田専太郎名作画集』も買う。これも1,000円。こういう高額?本を買うときは、頭の中で「新刊の文庫本1冊よりも安い!」と念じることで勢いをつける。
大阪古書会館の月一即売会に行ったりして、3月は硬めの本をそこそこ拾う。
ジンメル『社会分化論 社会学』、佐々木力『科学革命の歴史構造 上下』、宮野彬『刑法の社会学』、中村伊智也他編『日本のポップパワー』、三浦修『囲碁の美学』、今西錦司全集『④生物社会の論理』、王小錫『道徳資本研究』、落合陽一『2030年の世界地図帳』、中村雄二郎他『鼎談 不思議な半世紀』、片野孝志『王朝文様事典』、荒俣宏『アラマタ美術誌』など。
増田みず子『<孤体>の生命感』(1987年)という本を見つけた。200頁ほどの講演録で、自分の経験経歴と重ね合わせていくつもの本を紹介している。その中心になっているものの一つが『妖星伝』で、粗筋紹介が主体とはいえ60頁を費やしている。
その他では、秋元文庫の光瀬、眉村5冊を80円で見つけた。