9月です。明けたと思った梅雨が突然戻ってきて大雨。かと思うと、晴れ間にはもう秋の空気を感じる今日この頃です。皆さまも、季節の変わり目とデルタ株には、お気を付けください。
8月は老舗オンラインマガジン「アニマ・ソラリス」を発行する雀部さんから、インタビューをしていただきました(207号)。前後編に別れていますが、そのうち前編です(何をそんなに長々と…とのご批判もありそう)。
http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/210701.shtml
その流れで、THATTA ONLINEや星群も紹介される予定です。
さて、年2回を目処に進めてきたPOD/Kindle版短編集も第5集になりました。今年は前半に編集のお手伝いなどもあって、ややペースが乱れておりますが、それでも半月ぐらいの遅れで進行中。
「まず感じるのは著者の文体の冷静さであろう。著者の作品は基本的に科学技術にかかわってストーリーが構成されるいわゆるSFの最たるものであるが、その叙述法は科学技術/SF的アイデアの核はさまざまなものがありながら、ストーリーの語り口に一定の冷静さが常にある。それは最終的に物語の話者が狂気に侵されるような作品でも変わらない。(中略)そして短編SFとしてその結末がもたらす印象は、サタイア/風刺的なものと不気味なもの/ホラーへの傾斜であろう。もちろんそれだけでは語れない作品も多数あるが、サタイアや不気味な風景を感じさせることは短編SFの得意とするところなのである」
津田文夫(本書解説より。この解説全文は来週中に公開予定です)
今回のテーマは「さまざまなお仕事」です。
世の中には「お仕事小説」と呼べる分野があります。よそ者にはうかがい知れない、職業特有の蘊蓄が詰まっているので、舞台裏をのぞき見しているような楽しみ方があります。ただし、中には見てはいけないものもある。本書では、そんな「危ないお仕事」を集めてみました。少しブラックで、どこか怪しいエピソードが11の中短編に詰まっています。
「倫理委員会」では、それって人間がやる仕事なのと、友人から呆れられるお仕事が出てきます。「ミシン」とは、深刻な事故を防ぐために提案された特殊療法です。「うそつき」誰もがパートナーに頼り切る時代、うそじゃないと釈明する広報係の言い分。「フィラー」外見が似ていなくても、俳優になりきれるお仕事があるとしたらどうでしょう。「自称作家」さっぱり売れない自称作家が、契約をしたとたん信じられないことが起こります。「円環」一人の男が友人と、一生について語り合います。「豚の絶滅と復活について」とても特殊な環境にある国立養豚場、勤める飼育係は苦労が絶えません。「チャーム」周囲に影響を及ぼす特殊能力チャームの力をつきつめていくと。「見知らぬ顔」弁護士の依頼により分析した入国管理局のデータには、隠された秘密がありました。「ブリーダー」暇を持て余し、アプリ動物を育てる実験に参加した男が気がつくこととは。「秘密都市」あるインタビューによって、陰謀めいた恐るべき真実が明らかになります。
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