10月です。先月の熱波はどこへやら。コロナはホワイトハウスをも席巻して、隙だらけで地に墜ちたアメリカを象徴するような展開です(映画だったらコメディにしかならない)。政府は旅行を奨励しますが、疫病が収まったわけではないので、罹患致死率5パーセント超の年代ではなかなか出歩けませんね。
さて、VG+でもご紹介をいただきましたが、わたしの短編「時の養成所」がオーストラリアのインディー系出版社が出すLockdown
Sci-Fi(新人のSFを掲載するシリーズもののアンソロジイ)で、おそらく#3以降のどれかに掲載されます。電子版は原則フリーです(ただしアマゾンでは100円くらい)。英米の雑誌も続々電子化が進み、電子版のみしかないものも多い(紙版は大幅に部数を減らしました)。比較的短い短編はホームページに載せやすいので、それなりの需要があるようです。でも、有名どころは競争率が200倍とかあるので容易ではありません。今回は日本作家の翻訳を続々手がける、話題のKamei
Toshiyaさんによる一連の仕事の一つ。エージェントも電子化が進んでいるので、コロナ禍でも幅広く手がけられるのだと思います。
Kameiさんは米アーカンソー大学でスペイン語を学び、もともとスペイン語の英訳が専門。ちょっと検索すれば訳業を確認できます。日本語→英語も従来あったのですが、最近は文学や詩作、特にSF関係を重点的に進めておられます。記事にあるとおり、ケン・リュウに刺激を受けたのでしょう。VG+の記事では煽られていますが、わたしが劉慈欣の代わりになるとは思えないけど。Time
Academy=「時の養成所」はもともと眉村卓さん追悼として書いた「養成所教官」のオマージュ作品です。60年代レトロ・フューチャーな雰囲気が出るように工夫しています。わたしの短編はそういうクラシックなものも多いですね。古いと見做さず、一周回って新鮮と思ってほしいところ。左掲の『猫の王』に収録されています。宜しければお読みください。
【今月の新作】
さて、今月の新作は第58作目「針」です。何でも首を突っ込むイーロン・マスクですが、脳に端子を埋め込む研究はちょっと物議を醸しました(今のところ実験対象は人間ではなくブタです)。ちなみにこの研究所は、AI研究の最先端OpenAI(これもマスクが出資)と同じビルの中にあります。結びつくとどうなるのか。本作はちょっと変化球で書きました。
オンラインSway版はこちらをクリック。縦書きPDF版はこちらです。
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