青心社営業日誌

第23回

 細美遙子


2016年9月

  ついこのあいだ、THATTA原稿を書いたばっかだと思ったのに・・・一ヶ月なんてあっという間です。結局毎日暑かった9月が終わり、今月は涼しくなるんだろうか。今日は10月1日ですが、夕方ちょっと出かけただけで、汗だくになって帰ってきました。まだまだ暑い。
 青心社はまだ新刊の予定がないので、9月も営業まわりはしてません。毎日ダラダラしてても月日はたつという証拠か、気がつくとTVの番組改変期になってます。というわけで、TVドラマ番付でお茶を濁せる。よかった。

@ HOPE −期待ゼロの新入社員― ☆☆☆☆
A 家売るオンナ ☆☆☆☆
B 営業部長吉良奈津子 ☆☆☆☆
C そして、誰もいなくなった ☆☆☆
D 闇金ウシジマくん2 ☆☆☆
E 沈まぬ太陽 ☆☆☆
F はじめまして、愛しています。 ☆☆☆
G 侠飯 ―おとこめし― ☆☆☆
H グ・ラ・メ! ―総理の料理番― ☆☆☆
I 刑事7人 ☆☆☆
J とと姉ちゃん ☆☆☆
K ヤッさん ―築地発! おいしい事件簿― ☆☆☆
L 遺産相続弁護士 ☆☆
M 真夜中の百貨店 ―シークレットルームへようこそ― ☆☆
N 好きな人がいること ☆☆
O オンナたちの特捜最前線
P 神の舌を持つ男
Q 仰げば尊し

 今回は最初の2コは同率一位です。やっぱりお仕事ものが一番おもしろいっす。北川景子ドラマにはずれはないし、ジャニタレが出てるドラマもまずはずれません。Cは脚本が秦建日子だけあって、ほんとに先が読めない展開でした。ホントはあんまり好きなタイプの話ではないのですがこの先の読めなさでけっこう上位に入りました。藤竜也は一生丸顔のままなんだろうか。
 高畑ムスコのスキャンダル報道を見て、ワタシは「『オトコメシ』どうなる!?」と叫び、夫は「『仰げば尊し』のDVDどうなる!?」と叫びました。夫はアイドル系おっかけでドラマを見てるので、DVDとかが重要なようです。『オトコメシ』も報道の翌週、高畑ムスコの跡形もない形でシレッと放送されました。重要な主人公の友だちという脇役トリオが二人になりました。こっちこそ、DVDはどうなるんでしょう。
 ところでMの『真夜中の百貨店』はBSジャパンで火曜深夜に放送されているドラマですが、緑色系のチェックの紙袋でおなじみの百貨店とコラボして、ちょっとおしゃれな感じのドラマ仕立てで展開されています。番組最後に、その回で取り上げられたお高い商品の製作課程とか作ってる職人さんたちを紹介し、通信販売をするという仕組みで、最近はやってる「物語で付加価値をつけて高値でも喜んで買ってもらえるものを売る」流れに乗ってるものと思われます。しかも、主人公たちは大塚明夫をはじめとする百貨店のコンシェルジュやバイヤーたちですが、彼らは真夜中の百貨店にあらわれる精霊たちというファンタジー仕立て。最初、どーせショッピング番組の新バージョンと鼻で笑いながら見てみたんですが、以外とドラマとしての展開もあってつい毎週見るはめに。25日に、精霊の親玉の大塚明夫が人間になりたいと言い出して一応最終回みたいな感じになったんですが、一週あけてシーズン2がはじまるということで、まだまだ縁切れできそうにありません。ちなみに9月13日の放送でお勧めしてる商品は「リリックスピーカー 324000円」でした。

 9月はたいして書くことがないので、こんなんでずるずる話をのばしました。

9/3(土)
京都の観世会館に能の公演「杉浦定期能」を見にいきました。演目は「松虫」「阿漕」、狂言は「因幡堂」。「そんなアコギな・・・」という言いまわしの「アコギ」は、この能の主人公阿漕が元だそうです。神様に捧げる供物にする以外の漁は禁止されている禁漁区で密漁をする漁師ですが、あまりにたびたび密漁してたので、ついにバレてつかまって殺されてしまったという恐ろしい話ですが、この「あまりにたびたび繰り返した」というところが責められたツボのようです。ちょっと現代の感覚とちがうあたりが新鮮?? 秋はお能のハイシーズンです。10月は、今決まってるだけで4回見に行きます。
9/12(月)
梅田でまた青心社にごちそうになりました。いつもながら、楽しくおしゃべりしながらホテルのごちそうをいただきました。ありがとうございます。
9/22(木)
祝日は、伏見の御香宮にろうそく能を見にいくつもりでしたが、どう考えても午後以降雨になる空模様だったので、あきらめて家にとどまりました。ついでに伏見稲荷も見にいくつもりだったのでがっかり。
9/24(土)
夫のアイドルオタ友だちの日系アメリカ人カメラマンのダレンくんが京都観光に来てるのに合流して案内するというので、いっしょについていきました。午後1時に四条烏丸で落ち合い、錦市場を案内して、おみやげにハンコを買うというので新京極のハンコ屋さんでオーダーするのにつきあいました。これまで気にしたことがありませんでしたが、外国人ツーリスト向けに、主な名前を漢字化したハンコ見本がずらりと並んでました。“マイケル → 舞毛留”みたいな。印材を選び、オーダーすれば20から30分でできあがります。ちなみにダレンくんは親類(か何か)の名字の「遠藤」の訂正印(既製品)とおばあさんの名前「テルミ」を漢字化したハンコ(オーダー品)を買ってました。さらにそのハンコを入れるハンコ入れを探しましたが、“どうしてもパンダ柄”というところがネックで、この日はついに見つけることができませんでした。
 次に銀閣寺か祇園かという選択でダレンくんが祇園を選んだので、とろとろ祇園まで歩いていきました。何年ぶりかに花見小路を歩きましたが、今は外国人ツーリストがひしめいてすごいことになってます。しかも偶然、お茶屋さんから舞妓さん(ホンモノ)がふたり出てきてそれぞれハイヤーに乗りこんだんですが、舞妓さんの乗ったハイヤーの前にどう見てもアメリカ人のでかいオッサンが3人ほどかぶりついてスマホで写真を撮るという恐ろしい光景に遭遇しました。もうマナーなんて言ってる場合じゃないけど、けっこうハイヤー側もそんなのに慣れてるというあしらい方がすごいと思いました。花見小路のどんつきに建仁寺というでっかいお寺があります。京都最古の禅寺ということですが、このパンフレットで見ると京都に禅寺は4つしかない(高台寺と八坂の塔と妙光寺)ということで、禅寺って珍しいものなのね、と知りました。この建仁寺は国宝「風神雷神図屏風」、「○△□乃庭」、法堂天井画の「双龍図」が目玉で、わたしたちも入るのははじめてでしたが、ほかにもアーティストの展示などもあり、いろいろと見ごたえがあって楽しかったっす。ダレンくんも喜んで写真を撮りまくってました。
 お寺ひとつ見るのに1時間以上かかり、結局そのあとは河原町通りに戻って夕食をとることに。ダレンくんは昼に嵐山でステーキを食べたということで、夜は何か麺類がいいと言うのにあわせて、結局丸亀製麺でディナーをとりました(笑)。「マルガメはハワイにもある。デモ本場で食べられてうれしい」とダレンくんは言ってました。彼は東京に数日滞在したあと、数日前から京都に来てて、いろんなところでご来光や風景を撮りまくり、この日はこのあと夜の八坂神社を撮ってから伏見稲荷に行き、明日のご来光を伏見稲荷で撮ってから広島に行く予定だそうです。
 京都にはけっこう来ますが、観光という点では案外何も知らないでいるのねと実感しました。ちなみにこの建仁寺のすぐ南側が松原通で六道珍皇寺があり、ちょうど公開展示中という看板が立ってました。「ああ、小野タカムラの井戸が見られる・・・」と思いましたが、さすがにダレンくんを連れては行けず(英語で説明したくない)、今回はあきらめました。この六道珍皇寺の近くにはかの空也像のある六波羅蜜寺があり、このふたつの寺のあいだの交叉点に「幽霊子育て飴」屋さんがあります。このアメ、昔ながらの純粋さというか、すっきりした甘さがけっこうはまる味で、この辺に来るとわざわざ買いにいったりします。お店には伝説由来の張り紙などがあり、おばさんが丁寧に説明してくれます。お店に行くといつも観光客に説明をしています。なんか、京都妖怪ツアーとかだと観光バスでここにも運ばれるようです。

 そんなこんなで9月も終わり、10月です。今年も今日フェスには合宿だけ参加します。大部屋で青心社の売り子をしたあと、麻雀部屋にこもる予定です。よろしく。 


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