青心社営業日誌
第22回
細美遙子
2016年8月
青心社は近いうちに新刊を出す予定がありません。なので営業まわりするネタがないので、しばらくまわってません。今月は1日だけ京都で営業活動をしましたが、それはあとで書きます。営業日誌はないんですが、THATTA編集長さまが今月も書けとおっしゃるので、“とか・・・”日誌の部分だけですが、今月分を書いときます。ところで、青心社は出版する企画を募集してるようです。何かいいアイデアをお持ちの方は青木社長まで。
- 8/6(土)
- 前回の最後に書きましたが、神戸の湊川神社の能舞台「神能殿」で「橋弁慶」をはじめとする能を鑑賞し、そのあとの夜、みなと神戸花火大会の花火を見ました。家族連れや浴衣姿のカップルが波のようにさざめく人ごみのなか、たったひとりで2時間花火を見ました。まともに花火を見るのは何年ぶり、という感じでしたが、久々に見る花火は昔よりたいそう進化してて飽きもしませんでした。特に今回は事前にテレビ番組で、日本に五人しか作れる花火師がいない花火がある(グラデーションで色が変わるやつ)という知識があったので、心がまえもしっかりできてました。ひとりでしたが、楽しかったっす。
- 8/9(火)
- 終戦前に神戸空襲を経験した記憶を次世代に語り継ぐ試みのひとつとして、毎年この時期に野坂昭如の「火垂るの墓」に出てくるコースをたどるツアーが計画されてます。野坂氏が当時住んでいた家や小学校近辺をまわる神戸市灘・東灘区コースと西宮コースの二種類ありますが、前者のコースはまんまわたしの住んでる地域で、この小学校にはうちの子たちも通っていました。このコースには一昨年参加して歩いたので、今年は西宮コースに参加してみました。こちらは主人公兄妹が身を寄せていたおばさんの家と空襲後逃げて穴蔵で暮らしたニテコ池周辺から、夙川ぞいにくだって回生病院まではるばる歩くコースです。炎天下に汗をだらだら流しながら歩きますが、70人くらいが参加していました。去年は終戦70年という切りのいい年だったので100人ぐらいいたということでした。七十代以上の高齢者が多かったですが、夏休みの自由研究を兼ねた小学生の親子とか、若い学生さんもいて、にぎやかでした。テレビ大阪の取材も来ていて、重たそうなカメラをかついで猛スピードで走りまわるカメラのお嬢さんの体力と勢いにびっくりしました。ただでさえくそ暑いのに本当にすごかった。いろいろとためになりました。
- 8/13(土)
- 六甲アイランドにあるファッション美術館のなかにある「ゆかりの美術館」で「山本二三展 リターンズ」をやっているので、それを見にいきました。山本二三は日本アニメ界屈指の美術監督さんということで、「もののけ姫」の屋久島シーンの背景や「火垂るの墓」の背景などで有名です。この展示に来て、「じゃりんこチエ」の大阪の町並みもこの人がやってたのねというのを知りました。すべて綿密な調査をすることで知られている方ですが、「火垂るの墓」では西宮の火曜日に巡った地域など本当にしっかりと現地調査をして描かれたというのは、火曜日のツアーのガイドさんも言っていました。さまざまな背景セルを間近でナマで見られるという感動的な企画で、筆遣いや色使いのすごさに茫然としました。現在企画中の作品なども展示されているばかりか、この神戸展だけのオリジナルという神戸三宮の風景と「火垂るの墓」の東灘区コースにも入っている御影会館の絵なんかもあって地元民にはうれしいサービスでした。
ついでにファッション美術館のほうでやっていた「写楽と豊国展」も見ごたえがあり、あの時代の浮世絵絵師たちの系譜や当時の風俗など、本当にお勉強できました。このファッション美術館は日本で唯一のファッション専門の美術館ということで、常設展示でフランスのロココやバロック時代のドレスや、シャネルやピエール・バルマンなどのオートクチュール当時の本物のドレスをマネキンに着せて見せてくれたりします。今回は夏ということで、いろんな国の水兵や海兵の制服の展示や、1900年はじめからの水着の歴史の展示などをしてあり、どれも楽しめました。ファション都市宣言をしている神戸市ならではの施設です。旅行にいらしたときにはぜひのぞいてみてください。
- 8/16(火)
- 宝塚市には昔映画の撮影所があったそうで、その記憶を残すべく宝塚市を舞台にする映画をつくる運動をやっているそうです。今回、9月に大阪中ノ島でおこなわれる短篇映画コンペティションに出す作品をつくっており、そのエキストラを募集していたので、宝塚に行ってきました。完全な野次馬です。映画は「グランフェッテ」というバレエもので、有名な「白鳥の湖」の最後で出る黒鳥の32回転のグランフェッテに挑戦する若いバレリーナ(そろそろ死語か??)のお話です。エキストラは主人公がバレエのコンクールで32回転をまわるところを見る観客たち、ということで200名ほど募集してました。出たい人は阪急・JRの宝塚駅のすぐそばのホールに時間までに集合すればいいという、非常にゆるい募集でした。けっこう早めに行ったので、前から3列目の真ん中という場所で、みんなといっしょにひたすら拍手をしました。エキストラというのはどういうものか、常々興味があったのですが、すぐ前にいた上品な初老の男性とかなり大きな女性がエキストラのプロ(??)みたいな人たちで、なんというか熱気と迫力が感じられました。おもしろかったっす。
- 8/20(土)
- 京都市美術館でやってる「サルバドール・ダリ回顧展」に行きました。最近の美術展示は時代別に年表や説明を丁寧につけてくれているので、いろいろとわかりやすく、楽しく鑑賞できます。人も多いとはいえ、ちゃんと作品の前でゆっくり鑑賞できる程度で、じっくり楽しめました。
そのあと、京都御所の西あたりにamu京都のM氏が新しく開いたMONTAG BOOKSELLERSを訪ねました。一応青心社の営業活動です。ちょうど堺三保氏がサンディエゴでおこなわれたコミックフェスの報告会を開いていたので(というか、それに合わせてこの日にダリ展を見にきたんですが)、それを見学させていただきました。膨大な枚数の映像を駆使して臨場感たっぷりのつぶさな説明に時間を忘れて聞き入りました。最後にコミフェスのお土産のコミック本を参加者の方々にプレゼントしてましたが、それに便乗してわたしも一冊いただいちゃいました。
Marjorie Liu 作、SANA TAKEDA 画の「MONSTRESS」というそこそこのボリュームのりっぱな本です。オールカラーで、画のTAKEDAさんはアメコミで活躍している日本人だそうです。絵も非常にいい感じで、話運びもよく、キャラ設定もかわいらしい異形の生き物たちがよくできていてレベルが高い作品です。日本語版つくりませんか、青木社長? 版権とってくれたら訳やりますよ。・・・ただ、A4よりひとまわり小さい判型で、字が細かくて年寄りの目にはツラすぎるのが難点といえば難点。アメコミは手書きっぽい文字だからよけいに読みづらい。
- 8/21(日)
- 森林ボランティア「森の学校」の例会の日なので、早起きして山に行き、間伐作業をしました。この日は作業現場に意外に風が通って気持ちよく作業ができました。
- 8/28(日)
- 梅田でTHATTAの例会があるついでに、早めに出て西梅田のブリーゼブリーゼ・ビルで期間限定で開かれているピノフォンデュカフェに行ってきました。ショッピングビルの1階ホールにアイスクリームのピノが出してるお店で、本体アイス3種類(2個ずつ)にコーティング2種類、トッピング2種類を選び、マシュマロクリームや飾りのチョコや最中の皮(すごく小さい)がついて350円。かわいく飾って写メ撮りながら食べる・・・みたいな感じで、お安いだけあって期間中ずっと長蛇の列。8月いっぱいで終わるので、おひとりさまババアの夏の記念という感じで、大勢のカップルや家族連れや女子高生グループやおばさんグループのなかにひとりで列に並びました。2時間覚悟でしたが、1時間ほどで食べるとこまでたどりつきました。たかがピノ6粒と思ってましたが、マシュマロクリームやトッピングが意外に量があって、意地汚く全部食べるともう満腹。目先が変わっておいしかったっす。
このあとTHATTAの例会で、編集長さまから今月もちゃんと書けと言われ、これを書きました。これを書いている今日は9/2(金)の夜中ですが、明日3日は京都の観世会館に能を見に行く予定です。久しぶりに雨が降りそうなのでちょっと用心してますが・・・東京方面の方々は台風被害などでいろいろ大変だったと思います。みなさんのご無事を祈りつつ、また次にお目にかかる機会がありますように。
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