SFマガジン2016年8月号は「新旧ハヤカワ・SF・シリーズ総解説」です。旧シリーズの主な作家(アシモフ、クラーク、ハインライン、ディックらは全て)、作品は既に文庫化(『ハヤカワ文庫SF総解説2000』で紹介済み)や新訳化がなされていて、残された作品はどちらかと言えばヴィンテージものが多い。そういうこともあり、今回は簡単にまとめてみました。
まず、旧シリーズは1957年12月『盗まれた街』から1974年11月『殺意の惑星』までの318冊(ちなみに、この最初と最後の2作は文庫になっています)、新シリーズは2011年12月『リヴァイアサン』から2016年6月『蒲公英王朝記巻之二』までの27冊(ただし総解説では26冊目まで)が含まれます。したがって、計344冊。しかし、総解説ではシリーズものや続編などは1項目と扱うため、対象作品は306項目にまとめられています。ここから、ハヤカワ文庫SFに落ちている分120項目39%が除かれています(下記参照)。
また、今回紹介される日本作家44項目は、組替えられてハヤカワ文庫JAに落ちたものや、ハヤカワ以外の文庫、単行本、電子書籍で復刊したものが多数あります。とすると、186-44=142項目の翻訳作品が、本当の意味で埋もれた作品といえるでしょう。ラッセル、タッカー、ラインスター、フランケのように1つも文庫化されなかった作家、アンダースン、シェクリー、オールディスのように半数以下にとどまる作家が目に付きます。訳文や時代を反映するテーマ(核戦争もの、冷戦もの)から古びて見えるものもあれば、普遍的で復刊してよさそうなものもあります(→総選挙で投票しましょう)。
今から60年近く前に刊行された叢書なので、主力紹介者の年齢は文庫時よりも若干高くなります。「若干」ですむのは、刊行が終わった74年以降も長期間入手が可能だったからでしょう(新刊でなくても本が売れた時代。返本即絶版・断裁はされなかった)。紹介者順位のグラフは下記参照。文庫時トップ紹介者の堺三保が今回は不参加、代わって牧眞司がダントツのトップです。以下同率の場合、50音順で並べています。2位:岡本、3位:山本弘、4位(同率):日下三蔵、中村融、渡辺英樹、7位(同率):中藤龍一郎、小山正、9位:鼎元亨、10位(同率):岡和田晃、大野万紀、尾ノ上浩司、佐藤道博、巽孝之。以上14人の合計105項目(平均7.5項目/1人)占有率56%です。全体では53人186項目(平均3.5項目/1人)となっています。文庫紹介時と比べて、紹介者数で3分の1、項目数で4分の1くらいの分量になりますね。
さて、11作目も書いていますので宜しく。「猫の王」です。25枚の書下ろし。
公園で拾った子猫はどんどん成長して、不思議な威厳が備わっていくのですが……。
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いつもと同様、この作品はMicrosoftのsway
free版を用いて作られています。最近になって、free版と有料office365版とで機能の差が付きました。小説を載せるには、このfree版は使いにくい(段落数に制限がある)。これだけのために、月1200円払ってoffice365にするのもちょっと。レイアウトがいまいちですが、いっそのことカクヨムにするか。
本編はフィクションです。
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