みだれめも・出納日記 14年7月

水鏡子


本の雑誌の連載コラム、8月9月と大森望その他のしゃぶりつくしを取りあげるようで、このところ居心地悪い。それだけではない。64年に出版された『大衆小説増刊号』を取りあげたら、直後に64年のSF時評を盛り込んだ『柴野拓美SF評論集』と重なるし、「忍法小説全集」を紹介すると、『忍者文芸研究読本』が出ると悪いタイミングが続いている。

 8月号で取りあげたSFマガジン通巻700号については、コラム掲載時には書店の棚に次の号が並んでいる状態で、迷ったのだが、各種レビューを覗いても誰も言及していない点をみつけたので取りあげた。
 SFアーカイヴの選択には、SFの現在状況を肯定し、さらには個々の記事をつないで現在につながる物語として歴史をつくりあげたい塩澤編集長の意向が反映されている。その結果、アーカイヴ全体が、今現在である2つの記事、一にオールタイムベスト、二に鼎談「SFと復興―小松左京から考える」に向け収束していく物語としてまとまっていく。再度振り返ってみてほしい。アーカイヴの記事が2014各部門ベストの上位陣といかに重なり合っていることか。ある意味アーカイブ全体で上位に位置した作家作品の歴史的経緯を踏まえた解説をやっているようなものなのである。さすがに津原泰水「五色の舟」には困ったようであるけれど。
 同じことは鼎談にも言えると思う。そのあたり各自で検証して頂きたい。
 ちなみに、ぼくがそう言うと、大野万紀や岡本俊弥は首を傾げていた。
 今年の春で定年となった岡本俊弥が大野万紀と同じ週にちょこちょこ例会に来ている。

○7月の結果
支出計:461,701円。前年7月323,103円。138,598円増。
入手書籍:(→本の雑誌)

 金額が大きいのは毎年この月に年金保険生命保険を27万円払い込むためである。もともとはボーナスからの一括払込システムをとっていたことの名残である。それにしても大幅増である。じつは去年はパチで8万円勝っているのだが、今年は牧眞司が怖くて7月いっぱい一度もパチに行かなかった。しかしそれを差し引いても6万円の増である。交通費+交際費(イベント費)が昨年5万円だったのが、今年は10万近くになっている。これが大きいようだ。広島と筑波の差。

7月1日(火)〜7月31日(木)
【トピック】

【読んだ本】本17冊、漫0冊 計17冊 累計386冊 本のみ257冊

 受け持ったサンリオ文庫9冊と原稿を書くため関連するいくつかの作品を再読する。時間の経過で部分的につらい個所がでてきた本もなくはなかったけれども、いい本を選んでもらっているので古びた部分はそれほどない。自分が一緒に古びていっているせいかもしれないが。
 30年ぶりの読み返しというのをひとつのポイントにしようと思ったのだけど、自分の読み方の変化として、いま一つ笑えたのは、エロ系ゲームや萌え読書による経験値が増して、官能的要素の読解レベルがあがっていると実感できたこと。とりわけ『月にひとつの卵』とか『流れよわが涙』とか。昔の書評を読み返し、当時のぼくって本当に謹厳実直だったのだなあと感心する。  

【買った本・拾った本】主な本20点内

 籐真千歳『θ−11番ホームの妖精』(籐真様頂き本 多謝)
 角田喜久雄『底無沼』0円(SF大会頂き本)
 あずまきよひこ・かくたみこ『Find Yotsuba』
渡辺保『歌舞伎手帖』永田泰宏『色の便利帳』0円(角川株主優待本)
 今岡正浩編『夏色の想像力』
1,500円(ファンジン)※今月買った最高値本
 石飛卓美『才のままに生きて、努力というものをしなかった小説家の遍歴』
500円(ファンジン)
 『時刊新聞縮刷版 2008年〜2012年版』
5冊計4000円(ファンジン)
 『SFファンジン2014年7月号』
1,000円(ファンジン)
 小山龍太郎・木屋進『忍者一代』
540円
 木田元 他編『現象学事典』
300円
 大アジア虚栄同盟編『亜細亜通俗文化大全』
200円
 金子盛紀『花のイギリス文学』
100円
 カミロ・ホセ・セラ『二人の死者のためのマズルカ』
72円
 三原順『ハッシャバイ』
72円
 金沢有倖『闇の皇太子 (7)』
若桜拓海『リア王』栗原ちひろ『白金の王女の夢物語』各36円。※今月買った最安値本。

 中古本10冊買うと3割引きの店がある。ぐるっと回って買ってもいいと思うものが2、3冊しかなくて今日はパスだなと思っていたら最後に覗いた棚で三原順『ハッシャバイ』をみつけた。持っている本だけど103円の値札では買うしかない。72円で買ってもいい本を10冊集めるのに1時間以上かかる。
 新刊をほとんど買っていない。ファンジンを除くと一番高かったのは『ガニメデ支配』の993円。総額も前月同様2万円を割り込む。

【株式成績・等】7月31日まで

 ブロッコリーがプラスに転じる。730円平均で購入したものが630円前後で低迷していたものが一気に上昇。830円になって喜んで放出したらそのあとあれよあれよと1,500円に。その後事故って1,000円にまで急落する。高株価を受けて届いた株主優待品は昨年のものより格段にレベルアップしていた。
 その他の保有株もそこそこ戻って含み損も半減したが、DENAとコロプラの傷口は深く大きい。この2銘柄がなんとかならないと、今年のマイナスは揺るがない。


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