みだれめも・出納日記 14年4月
水鏡子
消費税UP余話。
スーパーの買い出しなど、もともと小銭を払うものはそれほどピンとこないのだが、たとえば優待券500円と割引券100円で1円も払わず食べていた外食店で18円の現金払いをさせられるとなんだか悔しい。優待券の有効活用のためには、税引き470円(税込507円)もしくは930円(税込1004円)で食することができるようメニューを組み合わせることが当面の命題である。
ニュースなどで牛丼チェーンの戦略として、吉野家が単価を上げてすき屋が単価を下げたと報道するが、すき屋の値下げはインチキだから。牛丼単価はたしかに10円下げているけど、サイドメニューが大きくアップ。豚汁サラダセットは180円だったものが216円になっている。外食店で野菜類を摂る立場の人間にとっては実質大幅値上げである。
あと暗算が難しい。かける108で端数まで計算するのがこんなにしんどいとは。たとえば税込100円だった本が103円の値付けに変わる。これの30%割引セールで500円単位のポイントを貰うためには何冊買わなければならないのか。おまけに店側は値札変更の手間を嫌って、100円本と103円本が混在していたりする。あと定価で買った本。1,380円の1.08倍なんて。
消費税UPに合わせて食品スーパーで、売れ残りタイムセール6割6分6厘引きから7割5分引きに落としたところがある。噂があっという間に広がったらしく、4月後半になるとその時間に客が押し寄せ、ほとんど買えなくなる。デフレは続いている。
古本市場が値下げをする。105円だった商品を93円+税、つまり100円に変更。ブックオフとの差異化を図る。ただし、それに合わせてほとんどの店がライトノベルの2冊あるいは3冊100円セールをやめたので、ぼくからするとこれも実質値上がりである。
○4月の結果
支出計:83,393円。前年4月134,280円。50,807円減。
入手書籍:(→本の雑誌)
パチに2回だけ行って、1勝1敗25,000円のプラス。あと本代が20,000円減。こちらはあきらかに社会復帰効果といえる。
4月1日(火)〜4月30日(水)
【トピック】
【読んだ本】本26冊、漫14冊 計40冊 累計302冊 本のみ220冊
(漫)
岸本斉史『NARUTO (51)〜(55)』、道満清明『かえで』、飛永宏之『ふでかげ(6)』、ほか14冊
三部作の全盛時には完結編を読むのが楽しみだった。第1巻で魅力的に世界やキャラを設定し、ロードノベルの色合いが強い第2巻で世界の細部や奥行きを広げ、最終巻で派手派手しく物語を終わらせる。世界は完成されたりぶち壊されたり。
長いシリーズものが幅をきかすに従って完結編への期待感は薄まった。
散りばめてきた伏線を回収し、あらかじめ予定された着地点に終着させるだけのこと。決められたコースを歩くだけの作業と化して、作者にとっても退屈がってる雰囲気が漂い、テンションがあがらないケースも少なくない。それ以前に、その数冊前から作者が物語を書き進めることに飽きてる気配が見受けられるものもたびたびある。ある時期までけっこうまじめに食いついていたシリーズでこれをやられるとけっこうつらい。
そうしたシリーズと一線を画すのが夢枕獏で、この人の場合、どこかでゴールを目指す気持ちが消えたときがある。書き継いで、書き継がれた部分が面白ければ最後に辿りつかなくてもよいと思い定めたように思える。たとえば五味康祐の『柳生武芸帳』のように。
その著者がここに来て、逆の動きを見せている。初期シリーズ作品を次々完結させているのだ。『魔獣狩り』『飢狼伝』に引き続き今回は『獅子の門』である。終結を一度放棄(たぶん)していたぶん、逆に力強さが失われていない。。『魔獣狩り』は完結の風呂敷の広げ方に違和感を残したが、格闘小説である『飢狼伝』『獅子の門』はきちんと終わったと思う。これで残るは『キマイラ』だけだ。
清家未森『六蓮国物語』は政治政略面を欠いたファンタジイ色の強い『彩雲国物語』の矮小版。こんなにつまんない作家だっけと思いながら、『身代り伯爵』の第2部を読むと、こちらはやっぱり面白い。話が長くなるに従い、いろんなキャラが生き生きしてきて転がっていく。そういうタイプの作家のようだ。
鷹見一幸『ご主人様は山猫姫(13)』は正確には前回で完結した話の後日譚。
完結編でしがらみにけりをつけた成田良悟『デュラララ sh』は主人公を一新(高校新入生グループ)しての新シリーズ。なんだか解放感にあふれて元気である。
ロラン・ジュヌフォール『オマル 導きの惑星』はどこがフランスSFなのか、まるでアメリカSFと驚きながら読み進めたが、6人の仲間が過去を語り始めると悪い意味でこれがフランスSFなんだと納得した。
日常性と科学性は対立していて、科学に基づく世界認識は日常的に感得される世界感に強烈な異化作用を与えるというのが、ぼくのSF論の根底にあった。それがコンピュータやゲーム類の普遍化のなかで異化作用を持ち得なくなったという思いから、それなのにむしろSF的な作品は質量ともに拡大しあふれまくっている現状に、SFとはなにかとかセンス・オブ・ワンダ−とかを語るのが個人的にもわからなくなってしまっている。グローバリズムといったものも、そんな日常化した科学主義の一端で、いまやSFでなくたって科学的な日常感を踏まえないで世界を書くことはできないとまで思うのだ。ラノベにしたってその背景にはそんな日常感が横たわっている。
ところがこの小説で展開される科学と宗教・日常生活の対置のしかたは、ぼくらの若いころよりまだ古めかしい19世紀を彷彿させる概念対立。いったいいつの時代に書かれたものかとリストを見ると今世紀の産物。ああこれがヨーロッパなんだとへんなところで納得した。とはいえ6人の語る物語は読みごたえあり。逆に現代パート、巨大飛行船の乗員の中この関係者6人だけが生き延びて、しかも次々襲いかかる危機をしのぐという展開は、その6人の集められた目的と集められ方を含めて無理筋である。生物学的にかけ離れている3つの種族もどうみても同型心理構造だし。
つまらなくはないけれど、読んで損はないというだけ。
西尾維新はすこしお休み。少し疲れた。
【買った本・拾った本】主な本20点内
ヴィクトル・ユゴー『私の見聞録』334円
柴田宵曲『妖異博物館 正・続』2冊334円
中国古典文学全集7『京本通俗小説・他』200円
秘本江戸文学選『女護島宝入船、恋湊女護生娘』、『金勢霊夢伝』各200円
『別冊花とゆめ 三原順特集号』200円
エマ・ホリー『真夜中シリーズ (2)(3)』各250円
ステファニー・メイヤー『ザ・ホスト(1)(2)(3)』各108円
ジャスティン・ソンバー『ヴァンパイレーツ (2)(3)(5)』各100円
ケイデイ・クロス『少女は鋼のコルセットを身に纏う』82円
西尾維新『恋物語』、『鬼物語』、『猫物語 黒』、『囮物語』、『傷物語』、『花物語』、『憑物語』各568円、
『暦物語』708円、『終物語 上』648円
※『終物語 下』以外全部揃えたつもりで読み始めようと思ったら。なんと『化物語 下』がなかった。
相場的にはこのあとの何冊かも100円本コーナーで見かけるようになっているので、100円以外で買いづらい。読破はしばらく先延ばし。
ダリオ・トナーニ『モンド9』1,944円
イアン・マクドナルド『旋舞の千年都市 上下』4,104円※今月買った最高値本
ジョン・クローリー『古代の遺跡』2,200円
ジョー・ウォルトン『図書室の魔法 上下』1,858円
喬林知『今日からマのつく(2)〜(5)(9)(11)〜(15)』、風見周『H+P(2)(3)』、桂木祥『そぞろ迷図』、各20円※今月買った最安値本
今月は珍しく購入額の半分以上を新刊本が占めた。
【株式成績・等】4月30日まで
ボロボロです。売った株は売値より上がる。コロプラ、DENAはさらに大きく下がる。たいへんです。