みだれめも・出納日記 13年12月

水鏡子


 会計簿をつけることにしたのは、確定申告のためである。けれども使ってみるといろいろと生活改善効果が出た。数字で客観的に見るというのはなかなかいいものだ。
 たとえば食費を記録していくと、1ヶ月の生活食費より食玩の方が高かったりした。これはいかんだろうと思ってしまうと、食玩が買えなくなった。弁当はコンビニで平均500円前後、スーパーは400円弱。しかもタイムサービスで半額になる。会計簿をつけ始めてからコンビニ利用はほとんどしなくなった。エヴァ・キャンペーンの時くらい。
 退職初年、4月―12月で40万円負けていたパチンコも、2年目からは通算の負けが年間を通じて10万円を超えることが一度もなくなった。通算額を眺めつつ自制が効くようになったようだ。
 自販機でジュース類を買うことも減った。エロゲー購入本数も年3,4本に激減した。
 年300万円以内と決めた目標額に抑えようという義務的意図によるものではない。単純に会計簿をつけている中で数字バランスから反省してしまっただけである。結果、平成13年は250万円を割り込んだ。
 会計簿といっても、ややこしいものではない。いくつかの項目に分類して、使った金額を書き込むだけだ。確定申告にあまり必要ないものはすべて日用品費にぶちこんで内容を内訳に記載している。
 どういうものか別添で紹介しておく。(ただし、個人情報の塊なので、今年の11月分と年計分の2シートだけ。無駄遣いを抑制したい方はご参考に。
 ※ここに置きました。(SkyDriveなので、Excelがなくてもブラウザで見ることができます)−2014/1/9編者追記。

 12月は忘年会ラッシュ。今年の新年会、忘年会はいつもかぶっていたものが全てずれて呼ばれたもののほとんどすべてに参加ができる予定である。

 といったところで、あけましておめでとうございます。年末までの原稿を送る予定が、忘年会やら新年会やらアニメ総集編やらアニメ総集編やらアニメ総集編やらで気がつくと大きく年を越えてしまって、なんとなく場違いになったので、去年の整理、新年の抱負などを織り込んで、すこし方向修正します。

〇11月の結果
支出計:188,114円。前年11月166,824円。21,290円増。
入手書籍:139冊 35,565円。累計2,226冊。前年累計2,040冊

 前年比2万円の増は誤差の範囲。何もない月。書籍平均購入単価はこの月も上昇。

○12月の結果
支出計:181,818円。前年12月305,003円。123,185円減。
入手書籍:190冊 32,392円。累計2,423冊。前年累計2,269冊

 支出が大幅減した理由は前年は年末を迎え予算枠にほぼ近づいていたので、枠に合わせて散財したため。今年は枠を大きく下回り、調整しようがなくなったため。
 新刊を買って読む必要があるベスト投票の時期を過ぎて、書籍平均購入単価は大幅低下。

●2013年総括
支出合計:2,370,296円 前年2,906,688円

 合計300万円以内という年間目標をはるかに下回る。一昨年は冷蔵庫、エアコン、ルンバなどの備品を購入したが、今年はなにも買わなかったことが大きい。
 飲食糧費は前年より1割減って18万円台に。交際費(例会、イベント等の食事代・会費)も1割減って24万円に。交通費が15万円。本代は昨年より増えている。
 交際費、交通費、本代合わせて80万円が年間のSF関係活動費になる。
 生活上の必要経費については、年金が支払側から受給側に回って支払う必要がなくなったこと、火災保険を一昨年5年分まとめて払い込んだため、しばらく支払がなくなる。国民健康保険、所得税、県市民税、固定資産税、生命保険、個人年金保険合わせて65万円。
 電気、水道、ガス、NTT、NHK、新聞代など、光熱水費と通信運搬費が40万円。
 概ねこんなところで収まったのだが、今年は正月早々、風呂とパソコンの修理が待ち構えており、昨年を大きく上回る公算が高い。修理代は予備費とすべきか。
 ちなみに風呂は追い焚きに1時間以上かかる状況。過去に3度ほど空焚きした履歴あり。
 パソコンはうまく起動しない。10回くらい電源をリセットさせている。起動以外は支障がないので、現在電源を入れっぱなしで対応中。買い直すのが正解なのはわかっているが、データの移し替えやらネット接続のやり直しが面倒で、泥縄対応でごまかす。
 入手書籍は昨年の2,269冊407,598円から2,423冊417,063円に。平均単価は184円から172円に。
 数字から見ると、一昨年よりさらに質素になったことになる。そんな気はさらさらないのだが。
 大きく変わったのが収入面。名目収入は生まれてこのかた初めての経点越え。名目上の8桁収入。なぜ名目かというと、今年からの税制改正で売買益にかかる所得税が20%に戻るので、益の出ている株を全て売って損している株だけ残した結果であるから。売買益は8桁だけど含み益90万円で始めたものが12月末日現在130万円の含み損。10.174%が所得税で抜かれるので、実質700万円といったところか。ついでにいうなら、先月も書いたように全額再投資されてしまっているので、日々の生活費に困る毎日。これに原稿料収入が15万円、年金がもらえるようになって100万円、配当が76万円でこれらを合わせて200万円。
 全部足してこれまでの人生で見たことのない総所得であるのは変わりない。優雅な生活である。(もっともうちのSF研の後輩で、ぼくのエロゲーの師匠でもある某などは、ぼくに数倍する益をあげている。上を見ればきりがない)

●2014年の目標

 300万づつ資産を目減りさせる構想がいい方向にねじ曲がった。
 こういうときに、支出と収入を連動させると人生を踏み誤る。
 支出はあくまで300万を上限とする。さらに、前年の実績を踏まえ、生活費は250万円、残り50万円は、修理費及び備品購入費に充てることとする。修理費及び備品購入費については予算超過を是とし、超過分は次年度の50万円内で賄うこととする。
 一方、株式収益分は、今後とも5年計画で目標3000万まで積みあげて、別建ての計画を進めることとする。その内容については、2月発売の本の雑誌に書いているのでそちらで確認いただきたい。
 昨年予定していた太陽光発電の設置は現在も保留中。わりとどうでもよくなっている。
 そういうわけで収入面の目標は株取引での500万円プラス。そのためにはローリスク・ローリターンの株主優待株でなく、ミドルリスクの株に大きく資金投入する必要があり、へたすると火傷する可能性あり。
 あとは原稿料等文筆目標。年収20万円は近い線までいけそうなので、大きく25万円を目指そう。
 次に、本棚の消化について。
 昨年の、コミックを含めて500冊を年間読破する目標はあえなく頓挫したものの達成不可能でない数字であることが確認できたので、再度挑戦することにする。
 昨年の「ハヤカワSF文庫推移表」に引き続き、ことしもなにかそれなりに見ごたえのあるリストをひとつつくりたい。
 この推移表を中心に、目標だった200枚超の作文はなんとか達成できたと思うので、今年も同じ目標を。

12月1日(日)〜1月5日(日)
【トピック】

12月第1週
 火曜日。SFベストの投票とTHATTAと本の雑誌の原稿を送って一段落ついたのと、12月末で期限を迎える株主優待券がまだ8,000円残っているので、ひさしぶりに運動がてらの30km旅行。ビッグボーイでサラダバー付きランチを腹いっぱい食べ、自転車で行ける最遠のブックオフを皮切りに、古本ショップ4軒(31冊)、ゲーム屋1軒(2点)、食品スーパー4軒をはしごする。支出11,000円。そのうち8,000円はエロゲー代。午後1時過ぎに家を出て、帰り着いたのは10時半。さっそく買ってきたソフトハウスキャラの「門を守るお仕事」をインストールする。やや単調。
 土曜日。年に一度の腹部エコー検査。毎月の血液検査のヘモグロビン値は、薬を増やしているのにもひとつかんばしくないが、エコー検査の肝臓はとくに問題ないとのこと。暴食を控えて、ふつうに体を動かして、体重を5s減らせば劇的に改善するのはわかっているのだけどね。
 日曜日。大阪九条の古本まつりを覗く。澁澤龍彦文学館とか数冊拾う。そのあと寄った梅田の古本屋さんで少し話し込む。しばらく前に北原尚彦氏と本の雑誌の浜本編集長が来たのだという。つい自分のことも話してしまう。例会は青木社長と二人だけ。最近こういう週が多い。

12月第2週。
 クリスマスゲーム会があるので、恒例の大掃除にとりかかろうとしたらルンバが動かない。バッテリー切れらしい。電気屋に聞くと、部品交換に10,500円かかるという。ひでえ暴利だ。掃除機生活に戻ろう。
 金曜日。荒川(父)の呼びかけによる恒例の関西大SF研OB連の忘年会に参加。ルンバのバッテリーの話をするとそういうものだと説明される。
 土曜日。神戸大SF研忘年会。そのあと徹カラ。
 日曜日。徹カラ明けで寝ないまま、町内会の歳末の公民館の大掃除。軽くウトウトしたあと例会に。今年最後の例会はひさしぶりに6名の参加。店内改装のため1ヶ月しまっていた餃子屋が来週から再開とのこと。

12月第3週
 金曜日。明日からゲーム会なので、大阪古書即売会に行ってくる。童謡史の本や、『十三角関係』初版本などを買う。『十三角関係』は持っている本だか、箱がないものだったので買います。悪いひとたちに毒されているような気がする。

12月第4週
 前週土曜日から火曜日まで、家で3泊4日のゲーム会。細美親子、菊池親子、荒川(子)のレギュラーに、1日だけの参加で、純平親子、かおるさん、森川さんが来る。麻雀1回、スクラブル1回のほかはひたすらカタンを23回する。森と煉瓦を無視しての3色戦法に慣れられて勝率が大きく下がる。
 金曜日。神戸三宮で旧職場関係オタク組忘年会。その前に京都六地蔵のブックオフ閉店セールを覗きに行く。3次会はカラオケ2時間。
 土曜日。恒例京都忘年会。12時に集合してカラオケ5時間。ずっと夜中に行ってたのだが、眠たくしんどいということで、昨年から始まる前に行くことになった。宴会のビンゴはいつもどおり勝てない。みんなが要らないエヴァ・グッズを大量に受け取る。

1月2日
 SF初詣。
1月4日
 神戸大SF研OB新年会。3次会はカラオケ2時間。カラオケでは毎回「大帝国」の主題歌を歌う。
1月5日
 初例会。例会場所が変わりました。参加者は青木社長と二人だけ。

【読んだ本】37冊(内、漫18冊) 累計455冊(内、漫218冊)

 六冬和生『みずは無間』★★★★☆
 北方謙三『岳飛伝(7)』★★★
 十文字青『マイワールド』★★☆
 十文字青『純潔ブルースプリング』★★☆
 茅田砂胡『トゥルークの海賊(3)』★★★
 三浦勇雄『クリスマス上等』『バレンタイン上等』、『ホワイトデー上等』、『ジューンブライド上等』、『エトセトラ上等』、『フェスティバル上等』、『サクラ上等』、『サクラサク上等』★★☆
 青木祐子『朧月夜の怪』★☆
 九月文『銀の竜騎士団(11)』★★☆
 その他ダメなラノベ4冊。

(漫)
 空知英秋『銀魂(20)〜(28)』長谷川裕一『マップス・ネクストシート(12)(13)(14)』、河合克敏『とめはね(12)』 ほか18冊

 累計455冊と書いたけど、『本の雑誌』や『このライトノベルがすごい』といった雑誌類が洩れていたので、含めると480冊くらい。それでも500冊の目標には足りない。ちなみにSFMはつまみ読みなのでカウントしていない。

 『ブラインドサイト』を読んだ後だと『みずは無間』はすらすら読める。思い切りネタバレします。よろしく。「夜のオデッセイ」と「大いなる飢え」と『ブラインドサイト』を思い起こしながら読んだ。全銀河、超宇宙を舞台に数十万年を閲する壮大な舞台で登場するのはすべて分岐した自己という、物寂しさの極地のような小説である。選評を見ると、ほとんど評価はみずはに集中しているけれど、むしろ読みどころはDや異種知性体を媒介にした分岐した自己とのやりとりにある。みずはは話に肉の厚みを与え、物語を収束させていくためのある意味ガジェットにすぎない。というか、みずは自体分岐する自己のひとつなのだから。結末は若干不満。多元宇宙まで引き出すこの物語なら結末は、みずはとみずはが喰らい合うもっと更なる地獄図こそがふさわしい。そういう意味でちょっと予定調和に足りない部分が星半分の減点材料。
 続けて読んだSFマガジン掲載の下永聖高「オニキス」は展開の恣意性が気になった。いやまあこういう話なのだから恣意性は欠点ではないのだけれど、こちらを読んで『みずは無間』の配置はほとんど恣意性が排された窮屈な物語であったことに気づかされた。受賞作に較べるとあまり新奇さが感じられなかった。
 同誌に掲載された六冬和生インタビュー、しょっぱなの三原順礼賛に度肝を抜かれる。三原順フリークとしては影響とかが気になって『みずは無間』を眺め直すが、とくに「らしき」風情は感じられなかった。過去に読んだ作品で三原順に一番強くインスパイアされてる作品は菅浩江のデビュー作。そのせいで初期の彼女を読むときは三原順を嗅ぎとろうとする偏りのある読み方に陥っていた

 あ、そういえば、十文字青って三原順に通じるものがある作家かもしれない。
 やっと入手した十文字青『純潔ブルースプリング』は2003年に角川学園小説大賞特別賞を受賞した著者のデビュー作。デビュー作ではあるのに2009年まで本にしてもらえなかったいわくつきの作品である。世界が数十年先に滅びることが確定している世界で高校生たちが暴走族に拉致されたクラスメートを助ける話。最後の大立ち回りは超人だらけになるけれど、話の大半は最初のころの〈第九高校〉ものに近い普通(?)の学園物。重たさと安っぽさとがバランス悪く並存していて、意味なく詰め込まれたエピソードが小説の完成度を落としている。
 出たばかりの『マイワールド』は較べるとずいぶんうまくなっているんだなあと感心するけど、逆に続けて読んだ分、『純潔ブルースプリング』より詰め込んだものが少なすぎると不満になる。勝手なものだ。

 茅田砂胡『トゥルークの海賊(3)』は完結編。かってキングが親交を結んだグループの二代目と名乗る海賊団が悪逆非道を尽くすのを壊滅させる物語とかれらが根城とする不可解な宙域の惑星トゥルーク(ライジャの出身星)でルー御一行が宗教改革していく話を平行展開していく。この人の得意とするのは、派手な戦闘シーンと関係者が思いがけなく邂逅しての感激シーンの合体技で、『紅蓮の夢』もそんなシーンのてんこもりだったが、本書もその例に洩れない。

 三浦勇雄〈上等〉シリーズは、前月読み切った『聖剣の刀鍛冶』の著者のデビュー・シリーズ。見ての通りの題名で普通の学園ラブコメだろうと黙殺していたのだけれど。読んでみると、この世界をウォッチングしている異世界のTV局のレポーターたちが、富豪の少女とふつうの少年を結びつけよう画策し、そこにかれらの干渉で破滅させられた世界の生き残りが復讐を企てるという派手派手設定。全体的に”漢”系の熱血小説に仕上がっている。一作目で基本設定は出し尽くしているので、二作目以降は発想的にはやや平凡だが、キャラが元気で小説的には大きく緩むことなくラストまで駆けぬける。

 九月文『銀の竜騎士団(11)』は前巻で巨大帝国との抜き差しならない戦いに突入する危機を迎えてどう展開するかと思っていたら、たった1巻でけりをつけてしまって呆然とする。ある意味凄い。

【買った本・拾った本】主な本20点内

 グレッグ・イーガン『白熱光』頂き本(山岸様 多謝)
 ラヴィ・ティドハー『影のミレディ』頂き本(小川様 多謝)
 グレン・クライアー『最終審判の日』80円
 マレイ・ラインスター『異次元の彼方から』500円
 C・S・ブラック『エンター・ザ・ドラゴン』105円
 アリス・アンドリュース他編『現代アメリカ社会地図』800円
 澁澤龍彦編『ダンディの箱』、『迷宮の箱』各1,000円
 江國香織編『活発な暗闇』105円
 船木枳郎『日本童謡童画史』1,000円
 藤田圭雄『戦後日本童謡年表』1,000円
 原武男『江戸時代諸国奇談』300円
 倉田喜弘『著作権史話』300円
 岩瀬悉有他編『隠された意匠』200円
 ブラウン、デイヴィス『スーパーストリング』200円
 ナオミ・ノヴィク『テメレア戦記X』1,785円 ※今月買った最高値本
 小林めぐみ『いかづちの剣(1)』他5冊、高山ちあき『お嬢様は吸血鬼(2)』、など9冊 各30円※今月買った最安値本

【株式成績・等】12月30日まで

 総括で報告の通り


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