岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。


 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、
それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

 出張の機会があって、MSのWindowsRT surfaceを買えるところがないかと思って探したものの、そもそもアメリカの空港にMS直営店はないのです。しかし米国の国内線は人が多い。ビジネス客ばかりでもなく、(行った時期は)ホリデーシーズンには早いのに、便が軒並み満席。さすがに(数百キロの旅行くらいは平気で車を使う)アメリカといっても、車好きばかりでもないようです。関係ありませんが、米系航空会社の機内映画は、なぜ字幕がアラビア語のみなのか(ちなみに日中映画の字幕は英語、これは当たり前か)。

 まあ、それはさておき、(意外というか、漸くというか)新しい電子ガジェットに無関心な、マニアックなSF層でも書籍端末を買う人が増えてきました。Kindle日本語版も出たことですし。

 goodEreaderからの引用 読んだ本の種類(米国)
読んだ電子書籍の種類(goodEreaderからの引用)

 未だに電子書籍の欠点として、蔵書保全の不確実さを唱える人がいます。電子書籍はデータです。それは単なる利用権で、ダウンロード権のみ与えられます*。評判の悪かったhontoも、ダウンロード期間の制限はなくなりました(つまり何度でも無期限にダウンロードできます)。しかし、それじゃ不確かだと言うのです。購入した書店がなくなれば、万冊単位の蔵書であろうとも、電子端末の寿命とともにデータ/利用権合わせて消滅してしまうからです。可動部品がない電子機器では、部品は半永久的に保つと思っている人もいますが、微細化されることでかえって寿命が縮む部材もあります。搭載部品の性能から見て、どんなに運が良くても10年以内に故障する可能性が高い。(注:もちろん、紙本であっても、“印刷された紙”に所有権があるだけで、購入者は本文自体に何の権利も持たない。気分的な差にすぎません)。

 けれど、それを気にする人は紙書籍を買えばよいのかもしれません。先行する米国の統計(やや古い引用ですが)を見ると、電子書籍を書うのは「(一度きりで)読み捨てられる本」「(楽しく)時間を潰せる本」を求める人が多く、売れているのは主にペーパーバックで出るエンタメ系が中心と分かります。ご存じのように、海外のペーパーバックは、蔵書家向けには作られていません。よほど丁寧に読まない限り、すぐに背が折れて見苦しくなってしまいます。一回きりの読書、つまり読み捨て用に作られているからです。読む方も承知の上です。ペーパーバック中心の読書スタイルと、本を蓄える蔵書の趣味は相いれません(海外の蔵書家の本棚に並ぶのは、その種のコレクターでない限り、ハードカバーが中心になります)。プロフェッショナルな収集家/研究者を除けば、デッドスペースを増殖させ、床を痛める本は、できれば避けたいところでしょう。純粋な読者には、捨てる手間もいらない電子書籍が最適なのです。なので、端末寿命/書店廃業が原因で一切無くなっても、さほど惜しくはないはずです。これは日本でも同じでしょう。本の所有にこだわる人たちの気持ちはわかります。ただ、電子書籍はそのような人たちをターゲットにしていないのですから、こだわる意味がありません。

 松浦普也の論考にもあるように、本を再度読みかえす機会は、読書量に比較して非常に少ないのです。大半は電子書籍で読み捨てて、気に入った本が見つかれば、それだけを紙本で買い直しておけば良い。将来紙本はオンデマンド(注文生産)か、欧米の小出版社が出すような、高級嗜好品に変わっていくと思います。

 今のところ世界トップのAmazonは、DRMを捨てる考えはありません。つまり、他の書店アプリではダウンロードすることも、データを読むこともできません。Amazon/Kindleなら当面安全という声も聞きますが、しかし電子業界の変遷を見てきた者にとって、Amazonが10年後に存続する保証など、全くどこにもないのです。大きなKindleのデータを、丸ごと引き継ぐ会社もないでしょう。永続性にこだわっても、無理なものは無理。100年が単位の蔵書家にとって、10年なんて時間のうちに入りませんけどね。

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