みだれめも・出納日記 12年10月

水鏡子


〇9月の結果
支出計:239,087円。前年9月148,494円
入手書籍:244冊 45,063円。累計1,597冊。前年累計1,460冊
通算株成績(含み損益+売買損益):約200万円の益

 支出額は前年比大幅増。医療費、庭の除草費、高校同窓会費用が月例外出費。本代も大幅増。
 入手本は前年118冊だったのでほぼ倍増。オープンしたブックオフ三宮店に2度足を運んだりして月末3日間だけで100冊以上買っている。前年累計を逆転した。購入費用は大幅増。3,000円超えの本を2冊『新世紀読書大全』『青い脂』。大量購入したリストを眺めてみても掘出物はほとんどない。なにをやっているのやら。
 株は現時点では、含み益を加えて、売買を始めてから過去30年の最高益となった。昨年、リスクヘッジを目的に財産株のつもりでほとんど売ることなく買い増やした結果、株安でひどい目にあったので、今年は去年のチャートを念頭に置きながら積極的に売買を繰り返している。失敗もいくつかあって、阪急電車、壱番屋、キャンドウの3社は若干の利益を出して売ったあと、さらに値上がりしつづけて、株主優待月までに買い戻すことができなくなった。去年の場合、なんといっても任天堂の半値下げがマイナス想定外のすべてだったが、今年はソフトバンクの想定外の大幅上昇、ブロッコリーの想定通りのプラスが大きい。10月11月の下げ基調のなかで手持ち分を売り払い安値のところで買い戻しに成功すれば、今年の支出総額を賄うことができるのではないかと皮算用を始めている。

10月第1週
 うちの市の中央図書館では毎年秋にリサイクル市が開催される。寄贈本や廃棄本を10冊単位で下げ渡してもらえる。楽しみにしていたのだけど今年から中止に。その代わりに10月1日から4つの図書館それぞれでリサイクル・コーナーを設置することにしたとのこと。しかたがないので初日、雨混じりの天候のなか自転車を駆って総計30kmのコースを走り切る。移動ワゴンで作ったリサイクル・コーナーは図書館それぞれ200冊程度。減った分を常時補充していくかたちということで、基本的には掘出物の期待はできない。次からのブックオフ廻りのついでに寄ってみる場所が増えたくらいのつもりでいよう。
 ただ、初日だけあって今回はそれなりの収穫。半澤敏郎『童遊文化史』(本篇4巻別巻1巻・第4巻欠)は子どもの遊びを網羅した合わせて5kgくらいある大著。大きすぎて鞄に入り切らず雨に濡れて表紙に染みができたのが残念。乾かすと消えると思っていたのが甘かった。その他、学研版『図説世界の歴史別巻 世界歴史地図』、志賀信夫『昭和テレビ放送史 上』、高柳美香『ショーウィンドー物語』など。午前中に覗いた図書館ではそれなりだったが午後から廻ったところはさすがになにもなかった。10年前に図書館に勤めていたこともあるので、顔見知りの司書に挨拶して廻る。書籍購入予算はぼくのいたころから変わっていない。当時500円平均だった文庫本が今では1000円があたりまえになっている。館によっては年間購入冊数がぼくより少ない。大変らしい。

 株は毎日のように下げ続ける。それでもブロッコリーのふんばりでなんとかトータルプラスを維持する。過去の3月9月後の下げの時との大きなちがいは下げ頭であった任天堂がむしろ横ばいから上り基調で推移していること。持ち株や売り払った株で、購入時の値断を割り込むものがそろそろ出てきているのだが、前の4月はチャンスと思って買い込んだものがさらに下げ続けて傷口を広げた。今回は中間決算発表まで我慢して、業績悪化で下げすぎるのを待って拾いにかかってみようと思う。ブロッコリーと任天堂の一部売り。フィールズ買い戻し。パチ屋に寄る。やっぱり負けた。運気の落ちる月かもしれない。

 大阪天満宮と四天王寺で古本市が同時開催。朝から参戦。普段は日曜例会に合わせて行っているのだが、京フェスとぶつかるので金曜日に行く。四天王寺の古本市を終えて、駅でぼおっと電車を待っていると、THATTA連載でおなじみの藤元くんとばったり顔をあわせる。ぼくと同じ行動である。とりあえず、ふたりで天満宮の古本市に向かう。天満宮の入り口で藤元くんは知り合いに会って微妙な顔をする。聞いてみると職場仲間だという。ちなみに彼の職場は東京にある。
 『岩波書店五十年』が100円である。持っているのに買ってしまう。重い。SFマガジン二桁ナンバーが200円と300円とで二組、大量に放出されている。さすがに40号以前は1冊しかなかったが(持っているのに買ってしまう)、かなりきれいな本が並ぶ。一度うちにあるSFMを精査して傷みのひどいものは買い直すことも考えよう。それなりに本があるので300円縛りをかける。例外が2冊。早川SFシリーズ『月は無慈悲な夜の女王』箱入り700円。学生時代に厚くて高くて買えなかったものである。箱入りでなければこの値段では買わない。「こんな本がありますよ」と藤元くんに教えられて買ったのが星一『支那の歴史』別添付録(たぶん)欠500円。雑誌『えろちか26号』は300円。特集1が「悪のエロティシズム」。小松左京らの鼎談、秋山駿、金子光晴他のエッセイ。特集2が「幻想と怪奇のポルノグラフィ」。小鷹信光による海外ポルノの3篇の抄訳だが、そのうち2篇がSF(ボンネ・デュポム「性革命を唱える狂信的な怪人形」、ランバート・ウィルヘルム「人類最後の宇宙船のアダムとイブ」)だった。京フェスに参加していた古本組たちに聞いても知らなかった本なので、ちょっと得した気分。
 講談社現代推理体系が包装紙、帯、月報付きの美本で1冊200円のバラ売り。全巻買うと大重量になるので、風太郎、小栗、多岐川恭収録の3冊だけ買う。風太郎は既に持っているのだが、帯・月報がないので。こうして深みにはまっていくのだろうなあ。
 その他、A・ハクスリー『ガザに盲いて』、エリアーデ『オカルティズム・魔術・文化流行』、佐藤忠男『日本映画思想史』。ヴァルグレン『怪人エルキュールの数奇な愛の物語』、矢島祐利『アラビア科学史序説』、体系日本史叢書18『宗教史』などを買う。
 若いころと比べると体力が落ちている。昔なら倍くらい買っていたのに、持ち帰る重さに辟易して買う量が制限される。情けない。

 週末は京フェス。長谷敏司さんがゲストで来ていたので、THATTAでの『Beatless』のフライング・レビューについて謝罪する。SFMの発売と近い時期には刊行されていると思ってけっこう文句も書いてしまった。こころよく許していただき、あつかましく、その場でさらにあげつらった不満についても後日丁寧なメールを頂く。恐縮多謝。
 合宿のラファティ部屋で『地球礁』の解釈でまきしんじと戦う。それにしても今年のベストSFの海外部門は最低一枠ラファティで確定のはずだったのに、3冊すべて次年度回しというのはいかがなものか。
 前日4時間ほどしか寝てなかったので、ラノベ部屋を中途リタイヤ。早々に就寝する。
 翌日は、いつもどおり昼近くまで喫茶店でモーニング。全員がモーニングを頼む総勢30名近い京フェス組をひとりで処理する店員の所作に感嘆する。
 その後、代島、藤元古書組と3人で、三条、四条のブックオフを歴訪する。二人とも古書の人で古本の人でないのでブックオフでは手持無沙汰。吟味をそこそこ30冊ほど拾う。長谷敏司『フリーダの世界』の美本があったので再購入。竹岡葉月の『百億の魔女語り』が三冊あったので、まとめ買い。(1)〜(3)のつもりだったのに、家に帰って開いてみると(1)(1)(1)でショックを受ける。おまけに家の棚には既にあった。ほかにも、『電波女と青春男(3)』『桜木メルトの恋禁術』『黒真珠の瞳』などがダブる。なにをやっているのやら。
 以前、代島くんが赴任先の宮崎で大手の本屋にさえSFマガジンが入荷していないと言ったと書いたが、あれは勘違いとのこと。行った26日に見つからないので入荷がないと思ったのだが、九州では雑誌は関東関西より入荷が2日遅いのだそうだ。それはそれで悲しいものがある。
 二人と別れた後、三宮のブックオフに。さすがに1週間で3回行くと買う本がなかった。
 田口仙年堂『Zボーイズ/プリンセス 1・2・3』読了。

10月第2週
 今週末に秋祭りがあって、うちの隣保が神輿担ぎの当番に当たっている。生まれて初めて神輿を担ぐことになったが、リハーサルもなく当日ぶっつけだという。大丈夫なのか。
 運動靴を履き、家から駅まで歩いてみる。3分歩くとアキレス腱が痛くなり、5分歩くと靴ずれができた。さすがは1日の歩行距離200mという生活だけのことはある。本当に大丈夫なのか。
 白のズボンが要るというので、ユニクロ、古着屋を探し回る。どこにもなくて、最後の古着屋に作業服の店を教えられ、行ってみるとお祭りコーナーというのがちゃんと作ってあった。1,050円。

 月曜祝日の後、株価がなだれをうって下落中、含み益がほぼゼロに。頼みの綱は木曜日のブロッコリーの中間発表。
 先週回ったとき予算がなくて本が買えないと愚痴っていた図書館に、100冊ほど家にあるダブリ本を寄贈する。
 ライトノベルを大量に持っていくと言ったのだが、ダブっている本の大半が、7巻目とか10巻目とかで役に立たない。10冊くらいにとどまって、パラノーマル・ロマンスと単発ものの文庫本などを手渡す。とくにパラノーマル・ロマンスは、ほんとに何を買っているかわからないまま古本屋で見つけては不安がりつつ購入するのでダブり具合が半端でない。とくに第2巻目がよくダブる。それでも、長期シリーズは比較的少ないし、ラノベとちがって1話完結なので中途の巻でも並べられないことはないはず。ほかでは橋本治とか森永卓郎とかを持っていった。
 家の中のダブリ本はまだ1,000冊くらいあるのだけれど、図書館に寄贈するには難あるものが半数以上。
 ちなみに図書館への寄贈は立派な本はやめた方がいい。客のニーズに答えるために万から数千冊規模で毎年新刊図書が増えていく図書館は、当然毎年万から数千冊の書庫空間を作り出していく必要がある。誰も読まない古い立派な本は場所塞ぎでしかない。寄贈するなら傷みやすく読み潰される文庫新書の類の方が役に立つ。それらすら近年の活字の大きさの変化で昔の本は嫌がられる状況にある。活字文化の収拾保存は国県レベルの図書館の役割で、市町村の図書館は郷土資料を除くと、基本的に読まれる本を住民に提供するのが仕事なのだ。

 図書館に行った帰り、近くにある古本市場にいく。ブックオフに比べると、商売の比重がゲーム類にかかっていて並んだ本にあまり変化がなく魅力に欠ける古本市場だが、数ヶ月前から翻訳文庫本を半額から200円に値下げして、パラノーマルやミリタリーSFを拾う穴場になった。それを目当てにいったら、入り口前に大量の本が積まれて50円均一セールをやっていた。100円では高くて買えないけれど50円なら買ってもよいという本もあるのだ。『ポリフォニカ』など30冊買い込む。
 ココスで株主優待券を使って2時間ほど潰し、タイムサービスの時間を待ってスーパーの梯子をする。やばいなあと思いつつ、寿司、おにぎり、ラーメン、幕の内と、きちんと食べれば4日もつほど大量に買い込み、4つ目のスーパーで白ごはんに手を伸ばしたところで致命的なミスに気がつく。
 朝、ごはんを3合炊いていたのを忘れていた。

 金曜日。皮算用をするとろくなことがない。ブロッコリー、中間発表失望売りで大幅下落。失望売りを誘う発表でもないと思うのだが。ここまでが上げ過ぎていたということなのか。ナンピン買いを入れる。ソフトバンク、米携帯会社買収発表で資金不安による大幅下落。買値を下回る。どちらも15%前後の下げで本日の全銘柄中5位と10位の下落率。稼ぎ頭2銘柄が悲惨な状態なので、1日で100万円を越す巨大含み損が発生する。過去最高の下落幅。2週前には100万近い含み益があったというのに。
 とんでもない大損なのに、意外とショックが少ない。というのは、ソフトバンクの含み損は3万円。ブロッコリーにいたってはまだ8万円の含み益。要は、この2銘柄がカバーしていた任天堂とスクエアの含み損が前にでてきただけであるから。

 土曜日、神輿担ぎの集合場所に行く。町内神輿の隣保当番と思っていたがちがうらしい。9年に一度の神社の本神輿の町内当番らしい。担ぎ手がたくさんいるので一安心する。
 宵宮昼宮とも大過なく終わる。

 山田宗樹『百年法』読了。不老不死の技術が発見された第二次世界大戦後の世界。不老不死の技術と引き換えに人々は施術後百年経つと生存権を剥奪されることになっている。その、制度公布から100年目を目前に、世情は不穏な空気を醸しはじめる。『ユダヤ警官同盟』と似通った時期設定だが、もちろん中味は全然違う。
 現代小説に例えれば、携帯やエコカーの仕様を折に触れて説明していくような文章に最初少しいらつく。こまごまとしたことを書込む割には国際情勢などはほとんど触れないなど詰められた情報の濃淡が激しくて、小説の世界密度を薄くしているけれども、キャラの立て方、絡め方はすばらしい。なんといっても、裏の主人公ともいえる牛島の造形がすばらしく、クーデターの顛末などはなるほどこうくるかとうならされた。不満はあるけど、とりあえず傑作。

10月第3週
 火曜日。2銘柄の株価がやっと上昇に転じて含み損は半減する。優待狙いで拾っていたニプロが山中ノーベル賞IPS銘柄だったらしく、5万円稼いで利確。そういえば、2期続けて痛い目に遭わされて、今年は元本戻しの段階で配当確定を待たずに手放した武田薬品。3,000円近辺まで下落するはずが、これもIPS関連で持ち直し、売値を超えた。買い戻しはあきらめよう。
 電気店に行って、太陽光発電の見積もりを依頼する。施行業者より責任を持たせやすい大手量販店を通じた方がいいとの考え。メンテナンスの責任を量販店に持たせれば、弱り目シャープの比較的高品質の製品を安く使うことはできないか。帰りにパチへ。「AKB48」勝つ。
 木曜日。相談員が太陽光の見積もりに来る。売電額と施行経費の分割払いでとんとんくらい。家が古いので、施工業者の判断次第で引き受けられない可能性があるとのこと。1週間くらいで見積もるとのこと。
 株が火水木と3連騰で、含み損が一瞬なくなる。パチ屋に行く。「攻殻機動隊」勝つ。

10月第4週
 督促状が届いたので、慌てて国民年金の支払いに行く。前年1−3月の所得があるので、全額免除の対象にならず、4分の3減免で、受給権発生までの8カ月分、計3万円弱。株価は上げ下げ微妙だったけど、とりあえずパチ屋に。「AKB48」「リング」負ける。
 太陽光発電の見積もりが届く。5.5kwの発電で工事費込15年リースで240万円とのこと。夜間の電気使用分は従来通り買電となる。屋根の傾斜が東西なので、西日部分は発電効率が悪く、80%くらいの見積もりで売電額が年額17万円ほど。15年間で売電額と工事費がほぼ相殺されて、電気代の軽減部分がプラスになるかどうかの微妙なライン。固定買取制度20年保証と思っていたら、10kw以下の場合10年しか保証されないらしい。訪問業者の話よりかなりシヴィアでそのぶん信用できる気がする。ちなみに見積もり業者によると、中国産は日本の瓦屋根対応の設計がなされていないので、日本メーカーのものをお勧めするとのこと。一応シャープに決めたが、10月中旬発表予定の新規格商品がまだ出ていないということで、最終見積もりは新企画商品の発表を待って行い、太陽光発電補助金の補正予算の動向を見ながら2月工事の方向で進めることにする。
 任天堂が中間決算で大幅下方修正。またいつも来た道と思いきや、朝方500円近い下げから切り返し、終わってみれば330円の上昇。わからない。悪材料出尽くしということなのか。株は難しい。 
 うちのパソコン、レジストリ・エラーを修正していて、必要なアプリを消してしまったらしく、日経の銘柄フォルダーがうまく立ち上がらない。ウインドウズ8が出たので、例会で大野万紀に尋ねると、大幅に仕様が変わっているという。昔のソフトが使えるかどうかもわからないと言われ、XP当時のエクセルをが使っている身としては少し考える。ヴィスタまでしか持ってないので、値落ちした7を買うほうがよさそうだ。
 『別冊本の雑誌 古本の雑誌』読了。めちゃくちゃ面白い。自分の文章のかたさに落ち込む。

10月第5週
 月曜日。パチ屋に行く。『ハロープロジェクト』で七万円の大勝ち。今月のパチは、6桁のプラス。買った足で電気店に。ウインドウ7搭載パソコンを3万円で購入。
 火曜日。株価が下げているのに、調子に乗ってパチ屋に。「ハロプロ」「AKB48」で2万円負ける。
 10月31日。病院に行く。血糖値が上昇傾向に。11月に壮大な計画を構想し、大量買い出しに行く。詳細は次回。


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