みだれめも・出納日記 12年4月
水鏡子
〇3月の結果
支出計:26,357円。
購入書籍:201冊 48,111円。累計547冊。
確定申告に行って、たった2週間で所得税7万円の還付があった。早い。申告した時期が期限ぎりぎりということもあるが、それにしても早い。ちなみに平行移動書庫の減価償却は15年分割になることがわかった。ということは、4年前の書庫と合わせて600万近い設置費(キッチン・リフォーム含む)なので、これだけで毎年40万円の必要経費が捻出できることになる。この還付金にパチの勝ち分11万円がマイナス支出となって、月トータルは3万円を割り込んだ。ちなみにパチの負けた日のトータルは12万8500円、勝った日のトータルは23万3900円である。4万円のルンバを買って、本代をこの1年間でいちばん使ったというのに、この結果。すべてパチ様のおかげである。ありがたやありがたや。
株式は、1-3月4半期トータルで売買益47万円、含み益45万円。2月14日の日銀の金融緩和、インフレターゲット設定声明からたったの50日。ヨーロッパ危機の小康化、アメリカ経済の活況などに支えられすべてがうまく回転した。ここまでうまくいくのはパチ同様、すごく異様であるので、リバウンドが怖くて益出ししている株を中心に任天堂を損切りしながらせっせと売り払いを検討中。年初と比較し、保有株式総額は3分の2に減少した。できれば4月中にあと3分の1くらいを売り払いたいのだが。
購入書籍では、『海野十三全集』(全13巻別巻2巻)、岩波講座『20世紀の芸術』(全9巻第9巻欠)の二つの全集、ハヤカワSFシリーズ20冊。これで購入額のほぼ半分。そのほかでは、古本市を回ったせいか、S・I・ハヤカワ、色川大吉、村上陽一郎、佐和隆光、杉山光信といった著者の固い本、日本SFシリーズ『透明受胎』、荒地出版社『年間推理小説ベスト18』といったコレクター・アイテム系。荒地出版社のシリーズはこれで4冊目である。
「わたしは、人生の本質は求めることにあると思う。
(中略)
そしてこれも大事なポイントだが、なんのかの言ってこの現代日本では、自ら求めずともある程度は与えられ、生存するだけならだいたい可能なことが少なくない。雛は鳴かずともとも飽食するのだよ。求める必要に駆られないから、別に求めなくたっていい。
吉次、君もそうなのではないか? 黙っていても飯は用意されるだろう? 働かずとも学校に通うことができ、暇をもてあましているならテレビでも眺めていれば日は暮れる。
明日はやってくる。積極的に何かを求めなくても、君は受動的に、ほとんど自動的に生きてゆける。
と、今月もまた十文字青から引用する(『萌神』)。思い当たることが多々多々。ただしこの文章はこう続く。
「求めるからこそ、満足はある。満足は快であり、快があるからこそ人は生きてゆけるのではないか? 私は求める! 私にとって良質なコミックスを、アニメーションを、ゲームを、ライトノベルを、フィギュアを! 」
退職後第2年度に入った。衿を正す機会なのだが、気持ちが株とパチに傾いているのでもうしばらく自堕落系で過ごしたい。
3月第5週
今週末はカタン・ゲーム会。部屋の掃除や布団干しなど体を動かす。ルンバのおかげで少しは部屋がきれいになる。
火曜日。3月配当権利の確定日。日経平均が大幅上昇。パチに行く。勝つ。モンハンのマグカップを拾う。
水曜日。株価下がる。布団を干す。小雨が降る。布団をしまう。晴れる。布団を干す。日が陰る。
金曜日。株価下がる。ただし持ち株については前日より少し上がったものもあり、二つ半売る。株価は下がっているが、益はプラス。バクチ運どうなのよ、ということで所得税の還付金も入ったことだしパチに行く。3万負ける。
土曜日。2泊3日のゲーム会当日。コーヒーが切れているのに気がついて、株主優待の効くすき屋まで、コーヒー・パックを買いに行く。帰り道でブックオフに寄り、10冊買う。ゲーム会メンバーと合流。今回は、菊地・細美親子に荒川ジュニアが加わる。荒川ジュニアは堺三保の指令を受けていて、デジカメで書庫をとりまくる。
前回のゲーム会で受けた生活・衛生指導が全然できていないと菊地・細美両名に怒られる。再度きつく生活・衛生指導を受ける。
カタンはサイコロの出目が確率無視の異様な展開。二つの出目の合計で、7を除けば一番よく出るはずの6・8が全然出ない。計算が狂って全然勝てない。月曜に仕事のある荒川ジュニアが1泊で離脱。途端に出目の確率が正常に復する。その後は、2度に1度は勝つ。
パーティ・グッズとして、ルンバは結構喜ばれる。スティック・ボムを買ったのだが、辛気臭くて面倒だという話になって開封せず。エヴァ・ウエハス2箱40枚を提供したところ若者組がほとんど平らげ、食べすぎであると母親組が難色を示す。4日で2箱平らげた身としてはなんにも言えない。
4月第1週
月曜朝。証券会社から電話があったので、少し高めの指値で4つほど売りをかける。新年度入りしたばかりなので、あと1、2週間はじり高しながら権利落ち分を回復するという読み。日経平均は少しだけ上がっているが。今日もゲーム会なのでパチには行かず。
火曜日。朝から大暴風雨。外出不能。スペイン不安で株が下がる。
水曜日。株が下がる。
木曜日。株が下がる。
金曜日。株が下がる。おかしい。値崩れはもう少し先のはずだったのに。持ち株を減らせないまま、含み益が消え失せる。今週はついにパチに行けなかった。さすがに来週は持ち直すだろう。明日は花見&オタクの御宅拝見ツアーと銘打ってSF研のOBがうちに来る予定。タイムサービス商品を4千円近く買い込む。消費期限切れの商品を食べきれない量買い込むことは、なにか快感。
土曜日。昼に集まりうちから歩いて15分くらいの公園で花見。山根、前田、川上、木下の各氏。県下有数の花見の名所として知られている公園て、屋台なんかもたくさん出ている。このあたりは後醍醐天皇の護持僧で、淫祠邪教の代名詞たる真言立川流の大成者である文観の出身地である。(京極夏彦の『狂骨の夢』でそんな記述を見つけ愕然とした)。公園のすぐ隣の寺は彼が修行をしたところだったりする。ちなみに川ひとつ隔てた向こう側には芦屋道満の生地があったりもする。呪殺系有名人を輩出しているわけである。
晴天ながらとっても寒い。桜はまだ五分咲き。そうそうに引きあげ、家の書庫探索に切り替える。各自酒やら食いものやらを持ち寄ってくれるが、まずは消費期限切れの惣菜系から片付けなければならなくて、結果的に解散後には大量のビールと菓子類が置き残される。申し訳ない。日持ちするものもあるけれど、生八橋とか酒蒸し饅頭とか、もって2週間の生菓子をどうしよう。糖尿の薬を処方された人間がひとりで片付けなければならない。妙な酒も置き残される。「萩野谷なか」「萌酒とむりえ おぎん」とかおたく向けの意匠のもの。空ビンはどうしよう。残すのか。
1時間くらいの書庫検分のあとだらだら。半額物はほぼ片付く。ほとんど使っていなかったブルーレイに大量のアニメ予約をされたり、複数パソコンのネット接続の仕方を教えてもらったり。(別のケーブルをつなぐだけで、自動的に接続できることがわかった。)
夜になって、二人帰って、残り二人とカラオケに。あれだけアニメを見ているのに、歌えるアニソンがほとんど増えない。子どもの頃は三度も聞けば覚えられたのだが。夜中の3時で引きあげ、ひと眠り。先週のゲーム会で封を開けた綾波枕を提供する。桜花賞に行くとかで、客の二人は朝8時に出立するが、道に迷って歩いて10分の駅にたどり着けずに1時間さまよい歩いたとのこと。
やっと持ち本全冊読み切った直後に、十文字青の新作が出る。待望の『薔薇のマリア(17)』。
期待した割に淡白な印象。
4月第2週
昼飯がういろうだったり、晩飯が生八つ橋だったり、この週の食事はかなり変則。やばいなあ。週末が検査日なのだ。
株は水曜日まで7日続落。木曜日も上がったり下がったり。ついに含み損復活。珍しく順張りでブリッコリーを購入するが、買った途端にストップ安。
木曜日。マイナスで始まった株価だが後場でかろうじてプラスに。ジンクス的に怪しいのでパチは断念。
金曜日。株価大幅高。ただしぼく的には任天堂とブロッコリーの下げがきつくて含み損拡大。パチを断念。これで半月パチに行かないことになる。
日曜日。例会にあまり来られないKSFA関係者二人と神戸で会う。だらだら、2時間ほど喋る。また二人ほど早期退職に手を挙げたことを知る。事情はいろいろだけれども定年前にリタイアする話が意外と多い。
『神採りアルケミマイスター』3本目のルート完了。
今月も読書はあいかわらずラノベのシリーズものの続篇ばかり。前述『薔薇のマリア17』に、茅田砂胡『天使たちの課外授業2』、鷹見一幸『ご主人様は山猫姫9』、水月郁見『護樹騎士団物語 幼年学校編5』、雨木シュウスケ『鋼殻のレギオス20』、上月司『レディ×バト13』、林トモアキ『ミスマルカ興国物語10』、雪野紗衣『彩雲国秘抄 骸骨を乞う』など。
ハードカバーで出た『彩雲国』は王位簒奪組の目線を主体にした連作集で、国王とその取巻き3人を罵倒し、否定しまくる、たしかにビーンズ文庫では出しづらい外伝集で、読み応えあり。ここまで情けなかったっけと後ろから逆読みしながら8冊遡る。なるほどたしかに情けなく、本篇中でもたびたび言及されている。ただし本篇ではその情けなさが喜劇風味と本人たちの自省の弁に彩られ親近感をもたらすのだが、突き放した目線で書かれるとほんとうにだめっぽい。作者としては、王季の側から書くことよりも、紫劉輝の暗黒面というものに、書き継いでいるうち思いいたし、たぶんそれをベースに本を1冊作りたかったのだろうなあ。統治と官吏の在り方をめぐる硬派のテーマをラブコメ過多に展開する陰謀渦巻く中華風大河歴史ファンタジイである本篇を、読んでいない人に一言お勧めしておけば、『彩雲国』の最終巻『紫闇の玉座』は『風の万里黎明の空』のクライマックスに匹敵するご都合主義全開のかっこよさ。ただし『十二国記』のような連作集でなく、全22巻がほぼひとつの話で、仙人組が出張る中盤だれ気味な部分もあるので、これから読むならそれなりの覚悟もいるかと。この系統の少女小説はわりとツボであるので、読んだところの順位をつけると、
(1)『十二国記』
(2)『彩雲国』
(3)『デルフニア』
(4)『流血女神伝』
(5)『死神姫』
(6)『身代り伯爵』
といったところだろうか。
意外と拾いものなのが『護樹騎士団物語』。中世風ファンタジイのつもりで手に取ったら、諸侯がそれぞれ相伝の守護騎を有するという中世的世界を舞台にしたガンダム系の物語。中学生でも読めるよう噛み砕いて、1冊ごとに7、8回これまでのあらすじを書きこむような子供向け目線の文体がうざったっく、小説というより字で読むアニメといった印象はあるが、背景設定もしっかりしていて、頭の鈍いヒーローと彼を慕う美少女群を中心にテンションの高いアクションが展開される。
4月第3週
今週も株は低調。
水曜日にやっと上昇。しかし、この日は行きつけのパチ屋の定休日。迷った末にふだん行かないパチ屋に行く。4月に入って行くのは初めて。勝つ。ジンクス継続中。
血液の検査結果は先月より少しまし。変則の食事の影響は軽微なようでほっとする。
旅行会社にSFセミナー東京行きの予約に行く。旅行会社を通すとほとんど交通費だけで1泊2日の旅行ができるということを、細美に教えてもらって去年初めて知ったのだ。ただし、連休期間はその割引が利かないのである。連休後の月曜日まで滞在を伸ばせば、片道分の割引が利く。合宿のみだと往復の交通費で30,000円。1日ホテルを取ると34,000円。2日泊ると36,000円で済む。ということで、今度の東京行きは用事もないのに3泊4日。ブックオフでも回ろうか。
木金と株はまたもや低調。ついに赤字に転落。
土曜日。禁断症状が出てきて、パチに。今日は株式市場が開いてないのでノー・カウントである。いっぱい負ける。
日曜日。例会の前に神戸の古本市に。会場に行くと来週だった。ボケている。しかたがないので例会場所が変わってからご無沙汰している大阪の贔屓の古本屋、末広書店を覗きに行くと。なんと6月3日で閉店の張り紙が。300円〜500円でブックオフでは買えない硬派の本が拾える貴重な店なのに。残念。増川宏一『盤上遊戯』、W・シヴェルブシュ『楽園・味覚・理性』、西村繁男『さらばわが青春の「少年ジャンプ」』『漫画王国の崩壊』、ピーター・バイダ『豊かさの伝説』、別役実『当世病気道楽』などを買う。
4月第4週
相変わらずの株価低迷。先週同様水曜日にやっと上昇。先週同様いきつけのパチ屋が定休日なうえ、従業員の給与払い日の可能性が高い日なので、びくつきながら先週行ったパチ屋に。負ける。ただジンクスが崩れたといえるかどうか微妙。というのは2000円目で当たりがきて、3連荘したのだが、7000円程度の勝ちに物足りず、そのまま突っ込んで大敗したから。
木曜日。久しぶりに寝過して朝のゴミ出しをしくじる。
金曜日。任天堂が決算発表で赤字計上。株価大幅ダウン。その他の持ち株もいろいろ下がる。赤字幅大幅に拡大する。配当の大幅アップをした通信株を買う。株主優待が携帯系なので長期保有をするようなら秋口にもしかしたらなんか買うかもしれない。
土曜日。6畳間と台所やトイレの行き来だけで1日の移動距離が200mしかない日々が続いているので、古本屋行脚40kmのコースに出かける。31冊買う。
日曜日。先週失敗した古本市探索を大幅に拡張して実施。神戸海文堂古本市から大阪四天王寺青空古本市に。そこから徒歩で日本橋のソフマップに行き、「ランスクエスト・マグナム」ゲット。さらに歩いて難波の2軒のブックオフに行く。へとへとに疲れきって地下鉄で梅田に出るが、例会まではまだ時間がある。サイゼリヤで休憩しながら、ブックオフで買ったコミック版『彩雲国』2冊を読む。非常に出来良し。一息ついて末広書店とまんだらけに行く。まんだらけでコミック版『彩雲国』4巻目までが52円であるのを見つけてショックを受ける。購入冊数32冊。冊数的には少ないがそのほとんどが平均300円のハードカバー。持ち帰るのにへろへろになる。足の裏がけっこう痛くて、帰って見たらすり減っていた靴底に穴が開いて、靴下も穴開きになっていた。
四天王寺の古本市ではめちゃくちゃ美本の二桁ナンバーSFマガジンが300円で大量に出品。ぼくの本よりずっときれいなのだけど、全部持っているので泣く泣く諦める。ただ飛びぬけて若いナンバーの19号だけは一応拾った。寺の境内なので地面には起伏がある。ガタつかないよう平机の足に雑誌をかましていたりする。かまされている雑誌がSFアドベンチャーだったのがすごく悲しかった。早川銀背も大量にあったが800〜1500円と旧に復した値段だったので購入は断念した。
拾ったところの主な物。『信評臨時増刊・妖怪の本』、大岡昇平編『ミステリの仕掛け』、ホーソン他『失楽の群像』、鹿島茂『パリの王様たち』、『朝日新聞100年の記事に見る奇談珍談巷団 上下』など。
月曜日は地元の古本屋が文庫本の3割引きセール。土曜日に目星をつけた本を拾いに行く予定。
SFセミナーの合宿企画で銀背話をすることになる。積みあげていた『第六ポンプ』と『サイバラバード・デイズ』を読む。
少し前に出た気がしていたイアン・マクドナルドの長篇2冊が出たのが14年前というのがちょっとショック。Jコレ10周年とかいうのもねえ。