電子書籍の時代です、と先にThattaに書いてから7ケ月が経過。劇的な改善はありませんが、電子化される書籍数は年初に比べると徐々に増加しています。販売不振が続くものの、電子書店数も減るどころか、増加傾向にあります。講談社のサイトを見て分かる通り、大手出版社も各系列の電子書店に万遍なく本を供給しようとしています。しかし、これら電子書店は、権利関係の調整が難航していることもあり、所蔵書籍数5万点未満が大半(パピレスが16万冊と謳っていますが、大半は洋書です)。間口の狭い中小書店が、駅前に軒を並べるというイメージでしょうか(もうそんな採算が取れない「駅前書店」は存在しませんが)。品ぞろえは似たようなものなので、このままではどこも苦しいでしょう。
左から、Android desktop/Galapagosアプリ/Kindleアプリ/ePUB viewerアプリAldiko
一方、電子書籍向け端末は、日本で十分に普及したとは言い難い状況です。もともと電子書籍向け端末は、携帯電話がキャリア(通信料)のための蛇口であるのと同様、書店が本を買ってもらう「読者囲い込み」の道具です。KindleはAmazon書店にしかつながりませんし、NookはBarnes&Noble書店にしかつながりません。しかし、書店に本が増えない→端末も売れない→本が売れないというスパイラルでは、アメリカ型の従来モデルは日本で通用しないことになります。
幸いなことに日本では年初以来スマートフォンの普及が始まり、Androidが使えるようになってきました。閉鎖的なiPhoneだけでは、書籍販売の大元をアップル1社に牛耳られてしまいますから、メーカを問わないAndroidスマホが、普及台数からみても書店を出す絶好の市場といえます。専用端末からAndroidへの流れは止めがたいので、今後もKindle型の端末は日本では出ないでしょう。そもそもあの価格(100ドル前後)では日本メーカは作れません。
Androidはスマホだけではなく、タブレット分野にも浸透しつつあります。上図は、Androidを使った書籍端末の画面コピーです。汎用なので、複数の電子書店をインストールすることができます。日本語書籍が最も多いTSUTAYA-GALAPAGOS書店、Kindle端末なしでもOK、Kindle
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AndroidでKindle書店、汎用ebookビュアーAldikoのそれぞれデスク画面です。Aldikoでは、パブーからダウンロードした『マラキム』(佐藤哲也)などの日本語書籍を読むこともできます(ePUBでは横書き表示となる)。書店から購入した本は、各ビューアでしか読めませんが、端末の差を考えずに購入できる点は非常に便利です。タブレットは電子書籍のためにあるわけではありません。それでも、アプリの普及が書籍の販売数に影響してくるかもしれません。現段階で世界5000万台(日本は、そのうちの1%足らず)の市場。8割以上が自由度の少ないiPadなので、Androidはまだまだですが。
さて、年初「自炊」を筆者も推奨しましたが、最近考えが変わってきました。自炊=PDFは、PCクラスの画面サイズ/解像度で読むには良いものの、タブレットサイズでは非常に読み難い。特に日本語の縦書きは、端末の縦方向の長さがまちまちでもあり、拡大縮小やスクロールが煩雑になります。スキャナで取り込まれた文字のかすれも気になります。ePUBやXMDF、TXTなど、1行の文字数を自由に変えられるフォーマットでないと、読む本として駄目ですね(保存のみの資料なら構いませんが)。
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