みだれめも・出納日記 第4回
水鏡子
7月初日
6月の総支出:685,664円 50万円近い県市民税を払っているので、まあこんなもの。来年は激減するはず。
6月の購入書籍:201冊 32,860円 今年累計1,016冊。
半年で1,000冊です。困ったもんです。総額189,029円。1冊あたり186円。『ダールグレン』が高くて買えない。6月の内訳は、ライトノベル42冊、コミック37冊、西村寿行25冊、パラノーマル15冊など。あと時代小説が20冊くらい。実業の日本社から出ていた山本周五郎の少年少女小説集が拾いもの。上製箱入s48年刊。『士道小説集』ほか、全集未収録本全集ということで17冊刊行されたものの第1期全5冊中の4冊。直前にだれかに試し買いで1冊抜かれたらしいのが残念。古書価はあんまり高くない。それと開高健『夏の闇(縮刷原稿版)』600円で入手。
7月第1週
揺れていたところに絶妙のタイミングでスカパーの勧誘が来て、ニュースチャンネルをひとつだけ契約する。
なにが、絶妙かというと、次週の東映チャンネルが山田風太郎特集なのである。「魔界転生」や「伊賀忍法帖」だけならまだしも見たことのない映画がいくつもある。2週間の無料視聴期間があるので、今契約すればちょうど見ることができてしまうのだ。
西村寿行を数冊読む。
退職の意外な影響。
小学3年生からほぼ50年間続けてきた漫画週刊誌の立ち読みが続けられなくなってしまった。
すべての書店がビニ本化してしまい、職場近くのコンビニで、必ずペットボトルのコーヒーを買うのを免罪符にして2日に一度は立ち読みしていたのだが、その習慣が途切れた。なにも買わずに立ち読みだけはさすがにできない。毎週3、40冊くらい目を通していただけに、困っている。広く浅くコミック出版の状況を俯瞰する重要な儀式であったのだが。
7月第2週
本の雑誌に原稿を送る。退職後の初仕事。やっと、みだれめもにかかれる。
青木祐子『恋のドレスと翡翠の森』読む。
年に1度の庭掃除。シルバー人材センターに頼んで、お盆前に毎年している。あと1年間はほったらかし。
風太郎映画を見る。全部で8本。うちは録画機能がないので、夜中の2時の放映を見なければならない。生活リズムがむちゃくちゃになる。
スカパー契約額が月800円強。テレビ購入時サービスと加入時サービスで合わせて8000円分無料視聴可能になるので約10カ月支払不要状態。最初は基本パックへの加入を考えていたが、視聴時間のかなりの部分が、ニュース以外だと基本パック外のATX(アニメ)と東映チャンネルに占められたので断念した。
『彩雲国物語』最終巻を読む。
7月第3週
今週末はSFファン交流会で上京予定。SFセミナーの定宿だったふたき旅館が閉鎖されるので、「さよならふたき旅館」と銘打って、セミナー合宿恒例企画だった「本とひみつ」の拡大版をするとのこと。メンバーとして呼ばれているが、古書コレクターの面々と古本あさりのぼくとでは格がちがう。購入価格300円以上の本が1割にも満たない書架をながめて、見せるに足る本がみつからない。
で、迷いに迷って、こつこつ作っていた半年で1000冊を突破した今年購入した本の一覧表を配布することにした。迷った理由は二重三重の恥の開陳に他ならないから。
恥の理由は、@こんな本を買っている、Aこんな本を今頃買っている。Bこんなにダブリ本を作っている。Cこの時期に出ているはずのあの本を買っていない。といったことが丸見えになること。だけど1000冊買って、20万円切っているというのはぼくとしては自慢できる部分。
少し前に東西のおばちゃん気質を比較する番組があって、持ち物自慢をすると、東の人はいかにさりげなく高価な物を身につけているかが自慢であって、関西のおばちゃんは高価そうなものをいかに安く手にいれたかを自慢していた。ぼくの安物買いもこうした典型的な関西人気質。集めたゴミを並べるために数百万かけて書庫を作るアンバランスもそれなりに楽しかったりする。高い書庫に高い本というのはあたりまえすぎてつまらない。
購入一覧リストを印刷する必要があり、持っていなかったプリンターを購入する。キャノンのIP2700。
当初はスキャナー、コピーもできる高機能機を考えていたが、4000円を超える純正トナーの値段に目を剥いた。それなら3900円という純正トナーより安い値段で、自転車で持ち帰ることが可能な小型機であるこの機種のほうがいい。これならトナー切れのときは代替トナーで賄って、目詰まりの時点でプリンター自体を買い替えるのが経済的。
山風映画に合わせるように、風太郎コミックを数冊入手。
原作コミックを既読のものも含めてまとめ読む。それから、コミックは買ったものを買った週内に七割方読んでいるのだが、煩雑になるので読んだ本にはいちいちあげない。
100円で買った長谷川哲也『アイゼンファウスト@A』(『天保忍法帖』)が、面白かったので、続篇を買うため新刊書店に行くが、見当たらず。古本屋のはしごを決行する。
1件目で見事にBCをゲット。その他合わせてコミックばかり十数冊買って、次の店に行く。30分ほどうろついて、店から出ると、自転車カゴに積んでいたコミックが消えうせていて呆然とする。金銭的被害は1300円ほどだが、探し物を目論見通り手に入れて抜かれただけにショックは大きい。置き引きにあったのは、人生通算5回目である。ほかに自転車をパンクされたのが1回、鍵を抜いて捨てられたのが1回。7回中4回がここ数年に集中しており、古本屋界隈の風紀が急速に悪化している。以前は本屋古本屋と喫茶店では客層を信用して自転車の鍵をかけなかったのだが。「本とひみつ」の前振りネタに使って少しは元をとることにする。
SFセミナーで毎年泊っているふたき旅館なのだが、セミナーのあといつもだれかについていっているので、じつは場所がよくわからない。東大赤門前なのはわかっているが東京駅からの行き方がわからない。ネットで調べてみるとずいぶん由緒ある旅館だったようだ。旅館の裏に徳田秋声の家があり、東大紛争の際には学生たちの闘争本部があったとのこと。知らなかった。プリンターで地図を焼く。そうか、これからは宿泊先近辺の古本屋の地図を印刷することができるのだ。
「本とひみつ」のメンバーは、おなじみ病気ものの集団。北原尚彦が他のメンバーと自分の間には深い河があると一線を画そうとするが、ぼくからみれば、マラコット深海かチャレンジャー海淵かの違いくらい。比べてぼくなど大陸棚のはずれでちゃぷちゃぷやっているだけ。SFファン交流会のレポートがネットに載って、各人の紹介本が載るそうなのでそちらをごろうじろ。なかでも圧巻だったのは、トリを飾った代島正樹。『武部本一郎画集』(東京創元社版)装丁色違い3冊とか、「アメージングストーリーズ」帯つき帯なし各コンプリートとか、黒岩涙香『暗黒星』特装本2種類とか、『星雲』4冊とか。
ぼくの持参品の購入価格は合わせて1万円前後だが、氏のスーツケースはひとつでうちの書庫の値段に匹敵する。
合宿終了後、本を宅急便で送ってもらえたので、身軽になって、日下三蔵、北原尚彦両氏と神田古本屋街に。3冊500円のガレージセールをやっていて、6冊購入。うち1冊は『ジャングルの国のアリス』。こういう本が170円だと持っていても買ってしまう。
7月第4週
CS2週間の視聴期間が切れる。切れてよかった。ずっとアニメと時代劇を流し続けて、その間ほとんどなにもしてなかった。
柏葉空十郎『桜田家のヒミツ』『ひとりぼっちの王様とサイドスローのお姫様』を読む。『桜田家』は読み返し。『ひとりぼっちの』がつまらなかったので、念のために読み返した。やっぱりこちらは面白い。
佐々原史緒『ホームスイートホーム@〜B』(未完)を読む。
栗原ちひろ『悪魔のソネット@〜D』を読む。
かじいたかし『僕の妹は漢字が読める』を読む。
師走トオル『火の国、風の国物語@〜K』(未完)を読む。
吾妻ひでお『夜の魚』を420円、ロバート・アーウィン『必携アラビアンナイト』の箱なしカバーなし本を200円で入手。
7月第5週
角川ホールディング株主優待本2冊が届く。『ファイアーエンブレム アカネイア・クロニクル』はつまらなかった。『明治の東京写真 丸の内・神田・日本橋』はいい本だけど、対になる『明治の東京写真 新橋・赤坂・浅草』を買う気がないので、ちょっと中途半端。
手島史詞『影執事マルクの恋歌』を読む。
鮎川はぎの『横柄巫女と宰相陛下@〜K』を読む。
法事の日が決まる。
リフォームの日が再度決まる。