7月です。相変わらず泥縄のような生活を送るこのごろ。進歩がないですな。まあいいけど。
今月のキーワードは、UMPC(Ultra Mobile PC)、Atom、EeePC、HP、MSI、工人舎、D4です。こう書くとこのページのヒット率が上ります(たぶん)。
今年1月、台湾ASUSが日本でも仕掛けた格安のUMPC(もともと世界戦略モデルで、台湾→アジア→欧米と進み、日本投入が一番後になりました)が世間の話題に上って久しくなります。デスクトップ用ノートPC並みに格安(平均5万〜8万)だけど超小型、おもちゃではなく使い物になるという、新しいコンセプトの商品です。先ごろはHPの同コンセプトのPCが販売開始直後に売切れるなど、ブームは続いています。また、7月は新商品が続々投入される過渡期なので、注目が集まっています。そのわりに発売数量も少なく、話題先行/無責任な感想のみ/情報少ない…という困った状態。まあ、このコラムで当たり前の感想文を書いても面白くないので、ちょっと違った見方をしてみましょう。
さて、どうやって比較するか。統一的なスペックがなく、各社ともよく似ているけどちょっと違います。その点はスタンダードPCでも同じなので、基本的なスペック上の差だけを見ることにしましょう。
【相対寸法】
単純に大きさです。文庫本と比較した大きさで、トップはD4、文庫1冊より小さい。
【相対重量】
重さです。文庫何冊か。文庫5冊以上となると、小さなかばんじゃ無理でしょう。ここでもD4なら2冊分未満です。
【画面密度】
これは当コラムオリジナルの指標です。画面解像度÷実際のパネル面積を相対的に比較しています。数字が小さいほうが見やすい。参考のため選んだ10.2型XGAの標準PC
CF-R7(PanasonicのLet's Note)=75.6より数字が大きいと、文字を読むのに苦労するでしょう。眼の悪くなる40台以上のオッサン(俺のことだが)は注意。その点で、U100は画面が大きく見やすい。
【駆動時間】
簡単に言えば、CPUの性能云々よりもバッテリの容量に左右されます。SX3またはEeePC901が長い。
【Memory/Disk】
主記憶の大きさとハードディスクの大きさ。多いほうがいいに決まってますね。HP2133が大盤振る舞いでダントツです。
【相対性能】
AtomやC7プロセッサは、携帯機器用に作られたCPUなので、VistaのようなマルチCPU/マルチスレッドを前提としたPC用OSには向きません。というか、Vista自体が低性能のCPUを想定していないのですね。AtomはWindows2000/XP時代のPentium4と同じくらいの性能です。ここでの相対値は、データを元に評者が「普通にPCを使う」ことを考えた時の感覚的な値なので、参考程度に見てください。HPはLet's
Noteの3分の1の性能。その中ではU100とEeePC901がちょっと上。
【価格性能比】
これは相対性能÷標準価格です。性能が高くても価格が高いと下がります。払ったお金に対する満足度と言い換えてもいいかも。ここでの結論は相対性能と同じ、U100とEeePC901のみが標準PCよりも上になりました。
強引に結論。
まずHPはシルバーグレイの外観/キーボードなどがポイント。とにかく所有してモバイルOKな感覚を味わいたい、性能や本当の持ち運び安さは気にしない人に最適。皮肉で書いてるみたいですが、仕事で使わない人の実態はそうです。評者も毎日持ち歩く仕事ノートPCと、家庭の机の上で寝ている個人ノートPCとは、全然使い方が異なるので良く分かります。
大きさならD4、次点はSC3、でも性能は低く価格が高い。U100はスタンダードPCと変わらないくらい大きい。価格性能比では元祖UMPCのEeePCです。ただし、性能を欲張ったところで最新PCには勝てないので、その点に拘るのは本末転倒でしょう。
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