岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。4月は
『脳髄工場』、『地球の静止する日』、『ロックンロール七部作』、『コラプシウム』、『銀の弦』、『やみなべの陰謀』、『忘れないと誓ったぼくがいた』などを収録。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。
ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。
|
||
4月17日に発売された、ネスレと角川書店のコラボレーション企画。クリスピーというのは、キットカットのチョコレートに包まれているウェハース部分を独立させたお菓子。その関係から、本書のテーマは「殻を破って生まれ変わる」である。とはいえ、角川ホラー系作家を中心としたテーマ・アンソロジー(ショートショートよりやや長い6短編で、100ページ弱)なので、宣伝を意識した“爽やかな”お話ばかりではない。 鈴木光司「クロスロード」:地方を出て銀座のクラブに勤める女と、初恋の男との人生の軌跡 大石圭「魚になったミジンコ」:何の取柄もない少年が、ある日発揮できた才能 牧野修「押し入れ」:押し入れに隠れて成長する卵の意味 森山東「チョウになる日」:同棲生活を送る主人公が、喫茶店で望みをかなえる瓶をもらう 小林泰三「少女、あるいは自動人形」:自動人形の館には、無数の人形に囲まれた少女がいた 北野勇作「妻の誕生」:ある日、妻が生まれ変わりたいと言い出し、卵に包まれてしまう さて、この中でテーマをまともに扱っているのは大石圭、お菓子を意識してかわいい話を書いたのが森山東、普通の小説になっているのが鈴木光司だろう(鈴木光司だけ、先行して携帯配信された)。 牧野修の場合、押入れで成長した卵から孵ってくるものは、凝集された罪悪感だし、小林泰三は、なぜか「人形と人間との見分け」を論議する(既成概念の殻を破るということ)。一見テーマどおりの北野勇作に至っては、生まれ変わったのか、そうでないかが(例によって)まったく分からない。とはいえ、ひねくれた作品が含まれたせいで、本書にはそれなりの読みでが出た。 ところでこの本は書店では扱っていない(まあ食玩の一種、食本です)。一部のコンビニと、唯一楽天ブックスのみが受け付けている。限定本なのでいつまであるかは分からない。クリスピーだと思うと高いが、チョコつきの本と思えば安い。
|