岡本家記録とは別の話(SFオールタイムベスト2006篇)

 岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。2月は 『星のカギ、魔法の小箱』、『プロセス・アイ』、『銀齢の果て』、『地球帝国秘密諜報員』、『デス博士の島その他の物語』などを収録。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。

 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

SFオールタイムベスト2006

 SFマガジンが600号を迎え、1998年以来8年ぶりのベストが更新されました。今回は、201名(プロ対読者比でほぼ1対1、男女比9対1)のアンケートをもとにベスト20までが選ばれています。結果はSFマガジンの2006年4月号を見ていただくとして、ここでは年代別のベストをグラフ化してまとめ直してみました(この数値データ自体は同誌に収録されています)。

 ここで示したのは、オールタイムベスト10に選出された作品が、各年代でどういう評価を受けているかです。年代別に分解して分かるのは、特定の年代への偏りでしょう。たとえば日本SF長編では、ベスト10に入った作品に対する50代以上(THATTA世代以上でもある)の得点割合(ベスト10の年代別得点÷総得点)が34%もあって、全体の傾向を決定付けています。40代後半と合わせると過半数ですね。こうして見ると、一番投票しているのがこの世代で、ここが死に絶えるまで(30年後?)アンケート結果に変化は見られそうにありません。困った連中です(って自分のことだが)。また、30代を境に変化が現われているようですね。


日本長編(トータルベスト10順)
横軸:年代、縦軸:得点(ベスト10に含まれていない作品は0とカウント、以下同様)

 『マイナス・ゼロ』、『産霊山秘録』などは若い世代では評価が低く、逆に『戦闘妖精・雪風<改>』は若い世代の支持が高く現われています。


海外長編(トータルベスト10順)

 <ハイペリオン>は投票の方法を考えるべきだったかも。『火星年代記』は35〜44世代に人気薄です。『万物理論』は45〜50以上の評価が低い。読んでいないのでは?


日本作家(トータルベスト10順)

 光瀬龍、半村良に極端な傾向が出ています。やがて忘れられる作家なのかもしれません。

海外作家(トータルベスト10順)

 海外作家は一番ばらついています(45歳以上併せても41%にしかなりません)。中ではクラーク、バラードが高齢世代寄り。イーガンは若手に強く支持されています。

 その他、短編もありますがさらにばらつくため、グラフ化はしていません。本は常に読めるとは(買えるとは)いえないため、年代による偏差を受けやすいものです。また、SF(特にSFマガジン)という趣味自体、ある年代以上に読者層が偏る傾向が当然出てきます。そういった偏差を補正すると、また違ったベストが見えてくるかもしれません。いやまあ、偏差を含めてSFの嗜好なのだといえば、それもそうかもしれませんがね。

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