岡本家記録とは別の話(電波系地震と阪神タイガース篇)

岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。9月は『アマチャ・ズルチャ』、『第六大陸』、『黒娘』、『まぼろし綺』などを収録。

 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

電波系地震

 世間を騒がせた関東地震騒動は、結局震度4(マグニチュード5.5)の結果で、予知されたのかされなかったのかはまだ不詳です。千葉にいても感じなかった人が多数。テレビの俄か地震情報番組を見て、あわてた人もいるでしょう。ただし、阪神並みの直下型地震が起こってから、机の下とかに逃げようとしても無駄です。震度7クラスでは、そもそもまったく歩くことができません。防災グッズをそろえるより、崩れてくるものの近くで寝ないことが肝心。特に本棚は注意。下敷きになるかどうか、その時どこにいるかが運命の分かれ目でしょう。首都圏地震の規模から考えて、公的機関(自衛隊や消防)の救出なんてありえません。自助努力あるのみ。生き残りさえすれば、後はなんとかなります。

阪神タイガース

 もう旧聞です、まあ記録のため。トップページにもあるように、前回阪神が日本シリーズで優勝した1985年11月2日(土)は、ちょうど京都SFフェスティバルが開催されていて、合宿のさわや大広間(今でも同じ会場ですね)で喜多哲士が選手の応援歌を延々と歌っていた記憶があります(今年は日本シリーズとスケジュールが合わない)。たしか、阪神グッズ(だったか?)をかかえた金子のぶお(扶桑社)が、「大阪に行けばいろいろ面白いことがあると思ったけど、やっぱり面白かった」とか言っていたような。うーむ。でもあまりに古いので、その日のプログラムが何だったのかはさっぱり(ネット上の記録も乏しい)。小浜徹也(当時現役学生)、大森望(すでにOB)が仕切っていた時代ですね(今でも大差ないが)。
 SF大会は新潟のGATACON(第24回大会)、神戸ではUNICON(SFフェスティバル)、ユニバーシアード神戸大会があった年です。ついでに映画では『バック・トゥ・ザ・フューチャー』/『未来世紀ブラジル』が公開され、SF小説の話題作は小松左京『首都消失』、翻訳はちょっと小粒でマーヴィン・ピークの『タイタス・グローン』とか、トム・リーミイ『サンディエゴ・ライット・フット・スー』とか。スティーブ・ジャクスンのゲームブックが流行った年でもあります。ギブスン『ニューロマンサー』は翌年の紹介。まあサイバーパンク以前の世界ですね。
 湾岸戦争のときもそうですが、時代が20年近くも違うと、世界の様相が全く異なって見えてしまいます。でも、それはある切り口についてそうであっても、別の面では変化がないように感じられます。たとえば、北朝鮮問題なんて、おそらく30年前から何も変わっていない(冷戦下戦時体制の北朝鮮と、対する石原慎太郎的日本の姿勢。違ったように見せているのは、北朝鮮叩きのマスコミだけで、何も解決していないのは同じ)。49歳の幹事長で若いと騒いでいる政治も、たぶんさほど変わってはいない。一方、情報伝達のスピードは300bpsの音響カプラから1,000,000bpsの光ファイバへと3,333倍速くなっているのですが、でも人間、それほど急激な変化についていけているとはどうも思えません。対数変換して、3.5倍というのが実感でしょうか。しかし、情報インフラが3000倍になっているのは事実なので、感覚と実態との不一致が、社会的な不安感をよけいに誘うのかもしれません。

人生の物語

 イーガン『しあわせの理由』とか、テッド・チャン『あなたの人生の物語』とか、どこの人生相談かと思う題名ですね。これを読んで幸せになれるかどうかは別ですが。最近のSFは、しかし、人間そのものへの問いかけを多くはらんだものが出されるようになってきたように思います。スタージョンが今見直されているのも、たぶんそういった傾向を反映しているのでしょう。われわれが持っている感情や、生きていることの達成感の裏側に潜むものを、SFから読み取るとするなら、やはりこういった作品に行き着くのではないか。という意味で、ここにきてアウタースペース派(野尻抱介や小川一水)とインナースペース派(イーガン、チャン)の並立という60年代の再来が起こっていると考えているのは…まあ私だけかも。

THATTA 185号へ戻る
トップページへ戻る