岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。3月は『小指の先の天使』、『モンスター・ドライヴイン』、『ドリームキャッチャー』、『ハグルマ』などを収録。
ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。
戦争ふたたび
12年も前の戦争がまたよみがえります。当時の日記があったので、再録してみますが、これは上記にも含まれていないペーパー版THATTA掲載の記録(1991年1月)です。Macでは
一部の文字が化けるかもしれません。
ハンディ98(NECのA5サイズMS-DOSマシン、ディスクレスで1.1kg。ちょっと重かった)
バスは揺れるし暗い。
さて、今回はVZで入力しています。もちろん、ハンディ98です。入力にも慣れて、特に問題なし。まあ、フルキーボードより悪いのは、しょーがない。各誌で文句が出ているほどではない。UNIXライクのコマンド(awk、grepなど)+関数電卓と、PDS各種ツール類、および過去3年間のSF関係出版リスト(2090冊分)なども設定済み。まだ、RAMディスクは500Kほど余っています。これだけあれば、じゅうぶん。
1990年の月別注目作は、以下のようになります。(選定案、ベスト10☆)
一月
●時の果てのフェブラリー,山本弘
●時空と大河のほとり(In Alien Flesh 1986),グレゴリイ・ベンフォード
●文学部唯野教授,筒井康隆
二月
●ウォッチャー −見張り−,草上仁
●帝王の殻,神林長平☆
●ジュークボックス,山田正紀
●不定期エスパー8(完結),眉村卓
●ヤミナベ・ポリスのミイラ男《怪傑ミイラ男》,梶尾真治
●波が風を消す(Волны гасят ветер 1986),A&B・ストルガツキー
三月
●アド・バード,椎名誠
●ラスト・テスタメント P・K・ディックの最後の聖訓(Philip K. Dick : The Last Testament 1985),グレッグ・リックマン編著
●ロマンとの遭遇 小松崎茂の世界,小松崎茂
四月
●夜のコント・冬のコント,筒井康隆
●スロー・バード(Slow Birds and other stories),イアン・ワトスン☆
五月
●電気頭,唐十郎
●完璧な涙,神林長平
●ハイブリッド・チャイルド《未来史》,大原まり子☆
●治療塔,大江健三郎
●スターメイカー(Star Maker 1935),オラフ・ステープルドン☆
●スニーカー(Night Visions 5 1988)《ナイトヴィジョン》,スティーヴン・キング他
六月
●つかのまの間奏曲《ミルキーピア物語2》,東野司
●炎の眠り(Sleeping in Flame 1988),ジョナサン・キャロル☆
●〈柊の僧兵〉記,菅浩江
七月
●ロココ町,島田雅彦
●SFハンドブック,早川書房編集部編
●幻綺行《中村春吉秘境探険記》,横田順彌
●うち捨てられし心の都(Deserted Cities of the Heart 1988),ルイス・シャイナー
●月のしづく100%ジュース,岡崎弘明
●妖魔の戯れ(Night's Sorceries 1987),タニス・リー
●心の社会(The Society of Mind 1985),マーヴィン・ミンスキー☆
八月
●歌の降る惑星《センチメンタル・センシティヴ1》,菅浩江
●宇宙論が楽しくなる本《別冊宝島116》,別冊宝島編集部編
●ジュリエット作戦《ミルキーピア物語3》,東野司
●ラッキー・カード,草上仁
●死者の代弁者(Speaker for the Dead 1986),オースン・スコット・カード
九月
●ビジネスマン(The Businessman ; A Tale of Terror 1984),トマス・M・ディッシュ☆
●水域,椎名誠☆
●ロートレック荘事件,筒井康隆
●メタマジック・ゲーム(Metamagical Themas 1985),D・R・ホフスタッター
十月
●サラマンダー殲滅,梶尾真治
●星売り,草上仁
●黒い時計の旅(Tours of the Black Clock 1989),スティーヴ・エリクソン
十一月
●フィーヴァードリーム(Fever Dream 1982),ジョージ・R・R・マーティン☆
●8ビットの魔術師《ミルキーピア物語4》,東野司
●ネットの中の島々(Islands in the Net 1988),ブルース・スターリング
●機神兵団1 満州黎明篇,山田正紀
●落ちゆく女(The Falling Woman 1986),パット・マーフィー☆
十二月
●ドクター・アダー(Dr. Adder 1984),K・W・ジーター
●英雄ラファシ伝,岡崎弘明
●楽園,鈴木光司,新潮社
●武装島田倉庫,椎名誠
●ゑびす殺し,荒俣宏
●エンジン・サマー(Engine Summer 1979),ジョン・クロウリー☆
●ミステリー・ウォーク(Mystery Walk 1983),ロバート・R・マキャモン
清水義範などは割愛。椎名誠や神林長平、筒井康隆(SFではない)と作家が偏ってしまう。東野司、草上仁などは、どの作品もほぼ均質。とはいえ、たとえば、尾之上俊彦なんかが推薦する日本作家が、聞いたこともないヤングアダルトではなくて、結局自分が読んでいる範囲にとどまってしまうところが悲しい。たとえば、山田正紀の『機神兵団』は、鉄人28号かガンダムかで、とても昨今の影響を受けたとは、いえないんじゃない。この世代って、もう三十以上なんだから。へたすると四十代か。
今年三十になる、またはなったザッタの人たち(名簿参照)、特に誰とはいわないが、おめでとうございます。
そーいえば、去年かおととしにも、同じようなことを、書いた気がする。記憶が失われている。もう歳だ。老いが忍び寄っている。京フェスで会った章子(注:三村美衣)さんは太っていたし、芳子さんは白髪が増えていた。老いだ。いやいや、この現実自体が仮想ディックなのかも知れぬ。恐ろしいことである。
と、書いている間に、戦争がはじまった。
というような時代だったわけで、12年の歳月が長かったのか短かったのか。親父ブッシュから頭の悪そうな子ブッシュへ、ヤクザの組長風フセイン(軍事大国イラク)から頑迷な老人フセイン(老朽兵器小国イラク)へ時代は流れています。パソコンといえば、そもそもWindows3.1(1992)登場以前からWindowsXP、386/486からPentium4なので、性能的には256倍向上(ムーアの法則換算)。ミサイルの命中精度が上がった云々は、技術的にむしろ当たり前なわけです。人間が退化し、兵器が進歩したわけで、これは非常に不幸なことと言わねばなりません。
でも、上記に登場する作家/作品は、現役/リバイバルが多く含まれます。成熟した後の人生から見れば、12年が長いとはいえません。人の一生が犬並(ドッグイヤー)なら、もっと進歩がはやくなるのかも。あくまで、SFのリストからの見方ですが。