岡本家記録とは別の話(ファン考ふたたび篇)

岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。2月は『 真空ダイヤグラム』、『睡魔のいる夏』、『カメロイド文部省』、『ジャングルの国のアリス』、『SFマガジン3月号』を収録。

 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

ファン考ふたたび

 昨年柴野さんがゲストのときに参加した「SFファン交流を考える会」に、今度はゲスト参加させていただきました(2月16日)。


SCOOPで撮影(普通の蛍光灯なのに、昼光色風に写ってますね)

  元ダイコンスタッフな人ということで、小浜章子(三村美衣)と出演。会場は、原宿とも思えぬ古びた市民会館。雨なのに、だいたい20名くらいの参加者がありましたね。そのうち、議長を含めて7名くらいが元スタッフになります。もう17年も前の大会です。当時の一般参加者も、もう40代以降の世代。未だに関心を引くのは、やはり“伝説”(ゼネプロのDAICON3/4だけでなく、5も都市伝説と化している)に近い大会だったからかもしれません。海外ゲスト+海外参加者数では、この大会は未だに空前絶後です。過去と現在のメディアの違い、通信インフラやパソコンの違いでも、大会の在りようは今と様相が異なっていました。まあしかし、元スタッフとはいえ、17年前のことなどちゃんと覚えてはいない。定量的記憶は失われ、定性的な雰囲気だけが残っている。たとえば、章子さんの「とにかくたいへんだった」という印象の記憶。でもまあ当時のスタッフはみんな若かった(20代中心)。時間を持て余しているので、短期間に膨大な作業がこなせました。牧紀子議長を含め元スタッフの(符牒に近い)会話は、時に一般参加者を無視する私語になって、ほかの人に分かり難かったでしょう。それでも、何らかの参考にはなったのでは(と思いたい)。

 ということもあり、筆者の記録が、当面の“史実”として残っていきます。その点、DAICON3/4の真相が『のーてんき通信』になるのと似たようなものかも。書いたが勝ちなので、文句ある人は書かなくてはいけません。

 まあ、そこでも聞かれたのは、

 「なぜあなたはSF大会をしたのか」

 という根源的疑問ですね。ちゃんと答えられなかったのですが、まず、SF大会を主催するのが好き、という人がいます。武田康廣は、たぶんそういう分類に入る。これはこれでよい。でも、SF大会は嫌いだけど、SFのイベントはやりたい人もいる。DAICON5は、セミナー的なものをSF大会でやろうとして、渦の中にさまざまな異種のイベントやスタッフを巻き込み、最終的にまとまった“奇跡”のような大会です。寄り合い所帯で金もない、手間は大変、終わるまで、失敗の不安が常に付きまとっていました。ということで、最初の問いの答えは、

 「SF大会なんてやりたくなかった」

 その証拠に「もう2度と大会はやらんぞ」と思いましたからね。でもまあ、同じ感想だった章子さんは、SFセミナーのスタッフを手伝ったり、大会関係の企画を引き受けたりしているので、SFイベント症候群は完治していない。小浜徹也もそう。ちょっと距離を置きながらもファンダムから離れない。かくいう私も、今頃DAICON記録をまとめたり、大会に関しての意見を書いたりする。SF大会の“魔性”なのでしょうか。DAICONが生んだ“宿業”かもしれません。
 

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