新・気分はリングサイド (第2回)
青井 美香
わたしがもっぱら観戦しているのは、全日本プロレス。でもって、ここは6月の興行はなし。もちろん、W杯対策のため。これって、最初知ったときは、そこまでするかと思ったけど、実際、W杯の日本での盛り上がりようといったら……ま、そうしてよかったかもと思えてくる。
なので、6月の土日は珍しくもプロレス観戦なしとなってしまいました。(^^;)これじゃ、ここの原稿も書けない。でも、ひとつだけ、わたしにとって大きな出来事が……そう、デビューして以来ずっと応援してきた大森くん(NOAHの大森隆男選手のことね)がアメリカに行ってしまったのです。
思えば、大森くんがブレイクしたのは、高山選手と組んだノーフィアーというタッグチームから。でも、それと相前後して、全日本プロレスからNOAHに移ってしまったので、彼の試合を生観戦しなくなってしまったのでした。
ノーフィアーのときの大森くんは、正直言って、なんか作っているという感じが鼻につき、「試合観なくてもいっか」と思っていたけど、週刊ゴング(7月4日号)の33ページの写真を見て、「あちゃー!」と叫びましたね。大森くん、ノーフィアーから前の大森くんに戻ってるって。表情がね、ぜんぜん違うんです。素のままの顔っていうのかな。まだデビューしたてで、前座で、やられてばかりいたけれど、一所懸命相手に向かっていって、それでもやっぱりやられていたころの大森くんの顔がふと頭をよぎりました。
アメリカ行く前の、同期の秋山選手との壮行試合。ノンストップ10分間の戦い……生で観たかったなぁ。
脚本家の内館牧子氏による週刊プロレスの連載(文藝春秋から単行本が出るそうです)「プロレスラー美男子烈伝」の記念すべき第一回は、大森くんでした。そのとき、内館さんはたしか(わたしの記憶ちがいかもしれないけど)大森選手はリック・フレアーに似たゴージャス感が似合うレスラーだと書かれていたけど、同感。ノーフィアーというぶっこわれたキャラクターもいいけれど、ほんとは、「これぞゴージャス!(松野にあらず(^^;))といったところを見せてほしい。リングインするだけで、観客がわくわくドキドキ、日常から異世界へと誘うスターになってほしい。でもそのどこかに、大森くんが本来持っている、恥ずかしがり屋でシャイな、少年っぽいまなざし、微笑みが残っているとさらにいい。
なぁんて、ファンなんて、ないものねだり。
とにかくアメリカ行ってひと暴れしてくるという大森くんの決意、こちらとしては暖かく見守るしかありません。
早く帰ってきてねぇと書いたら、NOAHも怪我したり引退したりで、選手のやりくりが大変だから、そんなに長くは行ってられないお家の事情がありそうで、案外さっさと戻ってくるかもしれないけど。
この画像は、去年の10月16日、久々にNOAHを観戦したときに映した大森くんの後姿です。