岡本家記録とは別の話(サンリオ文庫の相場)

ありがちな春の写真3(紫蘭の花)
(絵をクリックしてみてください)

 岡本家記録(Web版)(6月の読書日記)もご参照ください。

 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

オークション・サンリオ編
 前回は古書オークションについて少し書きましたが、サンリオ文庫のダブリ本を出品したときのことを書いてみましょう。事前に相場は調べず、市場価格に任せる形で出品。オークションによって異なりますが、プロ系の出品者の場合、あらかじめ結構高めの希望価格を入れて、入札=落札となるように設定していることが多いようです。筆者の場合は、一律100円で出品したため、基本的に市場原理(競り上げ)で値がつけられました。簡単な表を下記に付けます(作者別・出版順)。落札価格は、初版時の定価の何倍になったかで表記しています。

 書   名

落札価格/定価比

稀少度*

ビッグ・タイム(ライバー)

3.6

☆☆☆
レベル・セブン(ロシュワルト) 売れず ☆☆

杜松の時(ウィルヘルム)

4.6 ☆☆☆
大地への下降(シルヴァーバーグ) 2.1 ☆☆☆
失われた部屋(オブライエン) 3.4 ☆☆☆
クローン(カウパー) 売れず ☆☆☆
大洪水伝説(カウパー) 2.6 ☆☆☆
フェンリス・デストロイヤー(ステイブルフォード) 売れず
新しいSF(R・ジョーンズ編) 3.8 ☆☆☆☆
レンズの眼(R・ジョーンズ) 5.5 ☆☆☆☆
熱い太陽、深海魚(ジュリ) 15.7 ☆☆☆☆☆☆
愛しき人類(キュルヴァル) 2.1 ☆☆☆
伝授者(プリースト) 3.2 ☆☆☆☆
アンティシペイション(プリースト編) 1.6 ☆☆☆
冬の子供たち(コニイ) 5.9 ☆☆☆☆
パステル都市(M・J・ハリスン) 売れず ☆☆☆
二重の影(フレデリック・ターナー) 2.8 ☆☆☆☆
愛の渇き(アンナ・カヴァン) 6.4 ☆☆☆☆

 ジュリの『熱い太陽…』は、かつて大森望が「発行部数数千部で、在庫も断裁処分された究めつけの珍品」(別冊宝島79号:1988)などと書いたために、市場にほとんど出回らない稀少本となってしまったもの。よく読むと、何も『熱い太陽…』に限定した記述ではないのに、そのように解釈されてしまっています。とはいえ、世評(風評?)の根っこはこの大森発言なのでしょう。

 もっとも、サンリオSF文庫197冊のうち約1割はそのように分類されるレア本です。他では、ディキンスンの『キングとジョーカー』、『生ける屍』(落札者から教えてもらいましたが、15,000円まで上がったこともあるらしい)、老舎の『猫城記』あたりが希少種に相当するようです。また、それに準じる稀少本として、フランス作家ピエール・プロ、ボンフィリオリ、アメリカではバロウズの一部、スラデック、セント・クレア、ラファティ、SFではないロザリンド・アッシュ、コッツィンクルらの本があります。初版時に売れず、絶対部数が少ない本。逆にディキンスンは需要(ファン)が多いための品薄のようです。

 上記を落札した人は、オークションのベテランが大半(累計数百冊の購入履歴がある人もいる)。世評に比例した値がついているようで、情報収集は十分のようです。中の1人は名古屋のWさんでしたがね。

*稀少度の値はHP「銀の知識人たち」から引用した参考値(絶対的な値ではありません)です。

サンリオ文庫関係の収集HP「銀の知識人たち」
(リスト、全表紙写真、書誌的なデータも収められている)

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