赤い星☆冬のはなし・WEB版
「第1回 ぼくはこんなにも広島の秋を」
たこい きおし
いやはやどうも。ものすごく久しぶりの「赤い星☆冬のはなし」です(笑)。
今回はWEB版ということで、THATTA友の会のメンバー以外の人の目にも触れるかもしれない、ということで、若干の自己紹介など。
著者のたこいは東北大学SF研究会のOBで、平成元年より某業界3位ビールメーカーで研究職をしてます。ここ5年くらいは、ビールの泡の研究という大変浮き世ばなれした仕事をしていたんですが(笑)、この9月の人事異動で、麦屋さんに社内転職(笑)させられました。今は毎日大麦を育てて麦芽など作ってます(笑)。
そんな訳で、コラムタイトルは、一目瞭然「赤い星 冬の軌道」のもじりなんですが、一応、某業界3位メーカーのシンボルマークである赤い星と、当該メーカーの季節商品である「冬物語」にひっかけてあります(笑)。
さて、久しぶりの復活原稿(笑)は、今回の電脳THATTAの「旅行記特集」にあわせて、2年ほど前に広島に旅行した際の日記をアレンジしてみました。
1997年11月28日(金)
午後から半日休暇の予定だが、やること山積状態。最近昼休みはとっていない。
昼休みの時間までばたばた働くが、確認事項などが多くてなかなか帰宅できない。
3時半近くまでぎりぎり粘って仕事。すぐに職場を出て郵便局へ。振替とか為替とかの必要な用事を一気にすませる。速攻で帰宅してとりあえず五十嵐家に電話を入れる。
身支度をしてタクシーで出発。静岡に着いてから速攻でJTBへ。年末に予定している家族旅行のホノルルマラソンツアーにオプションをつけようとするが、ツアーの扱いが違うとかでちょっと難行。新幹線の時間ぎりぎりまで粘って、なんとか手配を付けてもらえそうになる。静岡駅まで駆け足で新幹線にすべり込む。出発してからJTBに電話を入れて確認。まだ予約が空いているかどうかは予断を許さないものの、日本からの申込は手配してもらえたので一安心。
午後10時近くに広島着。久し振りに五十嵐夫妻と再会。とりあえず五十嵐家の官舎にいって、ちょっと飲む。その晩はみんなおとなしく就寝。
11月29日(土)
朝は五十嵐家自家製の唐辛子とベーコンを使ったペペロンチーノとサラダ。唐辛子は官舎の前の小菜園で昨年大豊作だったとの由。ベーコンは、噂に高い五十嵐家自家燻製の逸品。チップの香りがほどよく、よいお味である。
原爆ドーム。平和の象徴、鳩がドームの縁にとまっている |
五十嵐家のマーチで出発。まずは基本ということで、平和記念公園と原爆資料館と原爆ドーム。原爆ドームのすぐ道向かいに広島球場があるということを初めて知ってひとしきり感銘を受ける。
東北大学SF研と因縁浅からぬ東北大鉄研OBの某氏がやはり五十嵐夫妻を訪ねて広島に着た時、「原爆ドームのすぐ近くで市民が野球を楽しむ。これが平和ですよ」(記憶ちょっとあやふや)と感想を述べていたとこ話を聞き、なんだかさらに感銘を受ける。
それから、ラーメン屋「吾郎」でチャーシュー麺とおでんを食べて昼食。とんこつベースのスープをカツオだしで割っているというスープは今まで味わったことのないもの。ラーメン不毛の地(笑)、静岡県に暮らす人間としては、食べ歩きに値するラーメン屋がたくさんある土地というのは本当にうらやましい。
昼食後、マーチで宮島に向かう。
宮島行きの船着き場にあった「ぷよまん本舗」の店を見て、思わずひっくり返る(笑)。これは、予備知識なしでいきなり見るとインパクトが凄い(笑)。
いや、ホントに全然知らなかったもので(笑)、たいそう驚いた(笑)。知らない人のために一応説明すると、落ち物ゲームのヒットシリーズ「ぷよぷよ」をリリースしているコンパイルという会社が地元の広島を中心にキャラクターグッズの店舗展開をしていて、その目玉商品が「ぷよぷよ」型の饅頭「ぷよまん」(笑)。お店の名前が「ぷよまん本舗」(笑)。最近では紅葉饅頭と並ぶ広島名物となっているらしい(笑)。
店内で配布されているパンフレットによれば、ぷよまん以外にもキャラクターグッズを大量に販売している。そればかりか、オートバイのレーシングチームにまで出資している(!)。この不景気のご時世に、ほとんど『ぷよぷよ』しかヒットソフトがないにも関わらずどんどん社員を採用して、広島市内では「でっち」と呼ばれる下っぱ社員が独特の服装で走り回っているとか(笑)。このコンパイルのいささか強引な勢力拡大を五十嵐さんは称して「ぷよぷよバブル」と呼んでいたが、この旅行の数カ月後、案の定そのバブルははじけて(笑)、コンパイルは和議を申請することとなるのだが、それはまた別の物語(笑)。
船から望んだ宮島。雨が降ったりやんだりの天気だったので、ちょっとけぶっている | 潮が引いているので、この通り、大鳥居に手を触れることもできる |
宮島の狛犬。このあたりは先日の台風で大変な被害を受けたらしい |
宮島を一通り観光して回る。ちょうど引き潮だったので、大鳥居まで歩いていけたのは運がよかったかも。観光地としては非常に見応えがあるのに感銘を受ける。日本三景の中では松島はいちばん格下であることを確認する(因みに、五十嵐家は天の橋立にも最近行って、一応日本三景を制覇したとの由)。紅葉の季節が終わっていたのがいささか残念。ぷよまん本舗宮島店では、プリクラのぷよヴァージョン「ぷよショット」があったので、五十嵐夫妻と3人で撮影に及んでしまう(笑)。それから、焼き立ての紅葉饅頭を賞味する。
宮島から帰り、広島市内で広島風お好み焼きを食べる。ちょうど旬の牡蛎のホイル焼きと初体験のネギ焼きがおいしかった。
五十嵐家に戻り、みんなで『ダイナ』の録画をチェックしてから就寝。『ダイナ』は人間の街を盗む怪盗宇宙人(笑)なんて代物が出てくる、なんかヘンな話だった(笑)。まあ、今にして思えば、『ダイナ』の作品のノリを非常によく表したエピソードだったのだが。この時期はまだスタッフも『ダイナ』の路線を決めかねているような雰囲気があったからねえ。
11月30日(日)
朝、五十嵐家をマーチで出発。途中、高速のパークエリアで食事。広島ではメジャーらしいアンデルセンというパン屋さんが食堂を出していて、3種類の変わり種オープンサンドが楽しめる朝食セットがとってもナイス。
『時かけ』の通学路から竹原の街を見下ろすとこんな感じ | 堀川醸造所の看板。工事のためのビニールシートで表からは隠れてしまっていた |
やっぱり『時かけ』中心に、との僕の希望で、まずは竹原に入る。通学シーンで見覚えのある風景が展開する。
「ゴロちゃんち」の堀川醸造所はなにやらちょうど工事中で、全体に青いビニールをかぶってしまっていたのが残念。入口を入ると、古ぼけた戸棚の中に古ぼけた写真が飾ってあって、よく見ると『時かけ』撮影当時の原田知世のスナップだったりするのがなんともいえない(しかしその戸棚のすぐ傍の部屋では醸造所の人たちがこたつにあたってくつろいでいたりするのだが(笑))。道に面した酒屋に入ってみると、ちゃんと堀川のお醤油が売られていたので、五十嵐さんともども、思わず1本所望してしまう(笑)。
これがその真鍋博の原画が飾られているところなのだが、写真では絵の内容まではよくわかりませんね(笑) | 薩谷和夫氏のお墓の前にはこんな石碑が設置されている |
それから、竹鶴酒造を見学。ニッカの創業者と同じ名前だと思ったら、ご当人の生家であるとの由(でも分家の出だとか)。その観光客向けの展示部屋の奥に、非常に精緻なタッチの絵が飾られていて、これがなんと真鍋博の原画(!)。なんでも、今年(1997年)の3月に雑誌の特集のために竹原の絵をイラストに描いて、原画を竹鶴酒造に寄贈していったらしい。五十嵐夫妻と3人で思いっきり感動するが、説明してくれた竹鶴のおばさんは3人の感動の理由をきっと誤解していたと思う(笑)。
それから、おもむろに尾道へ向かうが、「さびしんぼう」のお寺への道がわからずしばらく迷う。なんでも、何回来ても一発ではたどり着けないらしい(笑)。実際やっとこさたどり着いて、その理由を納得する(笑)。
このお寺には、大林組の名美術監督、薩谷和夫氏のお墓があるので、みんなでお墓参りをする。
それから、尾道の街に入る。ちょうどお昼になっていたので、薩谷和夫氏の行きつけだったというラーメン屋「つたふじ」で昼食。豚の背油の浮いたすっきり系の醤油味のスープがおいしい。
因みに、このすぐ後に放映されたTVオリジナル作品『マヌケ先生』にはこれとほとんど同じ構図で見下ろした瀬戸内海が登場する | まあ、お約束(笑)、ということで(笑) |
徒歩で本格的に尾道めぐり。丑寅神社を見て、神社の入り口の売店で広島でしか売ってないというガイドブック『A
MOVIE BOOK 尾道』を1冊購入(因みに五十嵐家の同書は度重なるガイドの実用に使い込まれてボロボロなのであった)。ロープウェイで山の上にのぼり、展望台から瀬戸内を一望する。
山の上から、文学の小道をつたって下りる。この辺のルートは主として『転校生』。文学記念館の中には噂に聞く「等身大さびしんぼう」が座っていたので、お約束(笑)で、一緒に写真に写る(笑)。その記念館の人が大林宣彦の生家の場所を教えてくれたので、山を下り切ってから探索する。意外と簡単にみつかる。
大林宣彦の生家の前にて。あたり前の話だが表札にはちゃんと「大林」の文字が | 同じく大林家を坂のちょっと下から見上げてみた |
それから、かの有名なタイル小路へ向かう。これが、実になんでもない普通の家の間の通路なのだが、今では観光客が記念に置いていったタイルで溢れかえり、かなり異様な様相を呈している(笑)。前述のガイドブックに載っている原田知世と同じ構図の写真を1枚撮る(笑)。
これがかの有名な階段落ちの階段 | 階段落ちの階段に腰掛けてみる |
タイル小路のすぐ側に、『転校生』の階段落ちの御袖天満宮がある。階段を上ってみると、なんだかお祭りの準備か何かで、境内でおみこしの練習をしている。
一通り徒歩の探索コースを終え、マーチで『転校生』のラストシーンの道路を走り、一夫ちゃんちをクルマの中から見学。まあ、いわれてみないと気がつかない普通の民家である。
それから、マーチのまま連絡船に乗る。この連絡船が、錨とかなんにも降ろさず、陸地に向かって推進力を発揮し続けて停泊しているというのは、初めて見るとけっこうカルチャーショックである(笑)。しかも、客が乗り切ったら即出発という非常に柔軟な運行をしているらしい(笑)。渡った先は『あした』のロケをした島で、『あした』で使われた架空の看板、待合室などがそのままある。ちょっと前までは船もあったらしいのだが、どうもこれは撤去されてしまったようであった。
連絡船で本土に戻り、マーチで新尾道駅まで送ってもらう。
新尾道駅からひかりで静岡へ。たまたま静岡まで乗り換えなしで直行できたので、非常にらくちん。車中、思う存分尾道の余韻にひたる。
と、まあ、そんな訳ですが、次回以降のネタは何も考えてません(笑)。まあ、「赤い星の会社の本当に冬のはなし(笑)」とか、ビール業界の裏話とかだったらいくらでもあるんですが、インターネットに載せるのはちょっと(かなり)やばいかも(笑)。
ということで、また。