ヴぁりす君危機一髪 

第5回 ver.1.00
きくちまこと

 ついに幻の秘密ファンジンTHATTAが電脳上に姿を現わしてしまったんである。本来なら、1999年の7の月にあんころもちがどうこうして京フェスの代表が空から降ってくるはずだったのだが、まだ1年半もあるというのに、なぜ今。ううむ、恐ろしいことだ。

 それはそれとして、せっかくだから原稿でも書こうかと、参考までに紙 THATTAのバックナンバーを読みかえしてみたところ、おやおや、私はずいぶん長いこと普通の原稿を書いていないぞ。最後の2回だけは「表紙の科学」なるものを書いてるようだけど、これは企画ものだからな。身辺雑記原稿は地震以降一度も書いてなかったのかもしれん。それはそれで幸せかもしれないとは思うものの、電脳THATTAが発動してしまった以上、そうもいってはいられないんであるよ。

 さて、試みに手許にあるバックナンバーの中から一番端のやつを取り出してみよう。えー、これはTHATTA第4号か。83年発行。私がまだ仙台にいて、 THATTAなんて名前も聞いたことがなかった頃のものだな。で、目次を眺めてみるとだ、なんとなんと、翻訳5編に創作2編、レビュー原稿なし。おお、 THATTAは創作と翻訳の雑誌だったのか。初めて知った驚愕の事実。これは目からうろこが落ちるね。次は、と。同じ年の第8号があるな。やや、こちらはさらに激しく、創作3編に翻訳はなんと8編を数えるではないか。しかも、創作の中には水鏡子の手になるあの幻の・・・。それに対して、レヴュー記事はようやく一本なんである。ううむ、時代は変わる、 The times they are a-changin' なのだった。ちなみに大野万紀編集長訳の”内輪”は第4号で第3回となっているからには、第2号から連載されていたのだろうか。連載開始から15年とは驚くべき大河連載なんである。

 ここはひとつ私も初心に帰って、”ヴぁりす君危機一髪”の連載を再開しようかと思う。87年に第一回を書いたから、この連載も丸10年続いたことになる。立派な大河連載なんである。10年続くってえのは、並大抵のことじゃあないよ。まだ第5回だけど。

 しかし、「名探偵てらさんの冒険」シリーズも中途半端のままであるな。伝記作者としては、せめて、あの京フェスの夜、名探偵てらさんと怪人オオモリアーティが箕面の滝の上で死闘を繰り広げた禍々しくも恐ろしい事件の顛末くらいは書き残しておかねば、とは思っているのだが。てらさんの活躍を読みたい諸君は、ここにリクエストのメールを送ってくれたまえ。待っているぞ。では、諸君さらばぢゃ。

 えー、それはそれとして、"Nudo"(Banco de Mutuo Soccorso)は傑作なので、プログレな人はぜひ聴くように。国内盤は昨年の来日記念盤だけど、イタリア盤はその来日公演のライブを含む2枚組という、ひどく反則なものではある。そうこうしているうちに、もうすぐバンコの大阪公演なのだ。もしかすると、もう2度と来日しないかもしれないバンコだ。プログレな人はチケット屋に急げ。

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