みだれめも
第271回
水鏡子
トランプ関税で株価が乱高下。かなりの大損を生じるが、下落が急過ぎて処分のいとまもなく塩漬けとなる。乱高下が続いたが結果的にそれが幸いしたかたちで4月末にはほぼ現状に回復する。大山鳴動して鼠一匹状態に終わる。ただ、この先なにが起こるか予測不可能な状態なので、利益の出ているものから少しづつ現金化していくほうが無難に思える。ただ、株主優待が株式1年間の保有が条件のものが増えているので現金化が難しい実情である。
外食産業と古本屋クーポン、それに書店で使えるクオカードが中心だが、サムティの優待廃止でホテル株を集める必要に迫られている。グリーンズ、、リソル、ポラリス、ウェルスに加えて3月末にTKPを取得して、これで来年からは東京でも交通費だけで回れそう。ゴールデンウィークは早割りでも二泊三日で四万円(内一万はクーポン)である。交通費もJRの値上げで東京まで初めて3万円の大台に乗った。購入直後にJR東海の昨年1年間の運輸収入が過去最高になったと報じられる。値上げすんなよ。
伊藤さんの本がほんとに出た。『伊藤典夫評論集成』。税込22,000円は無茶苦茶な値段と思ったけれど、届いた現物を見て、更にはスティーブン・キング『フェアリー・テール上下』税込9,350円とかと引き比べると、もしかすると、いや、これは安いお買い得本だろうと意見が変わった。高くて買えない人は地元の図書館にリクエストしよう。万引きするには重量2㎏はリスクが大きすぎる。
表紙のデザインが真鍋博そっくりで、イラストレーターを確認するとほんとに真鍋博だった。あれまだ生きていたんだと調べてみたらやっぱりずっと前にお亡くなりになっている。なんでも愛媛県美術館に収蔵されていたSFスキャナーの原画で、スキャナーのこれ以外のものは現存していなかったとのこと。五読六読熟読玩味を繰り返し血肉を形作ってくれた内容だけど、本というまとまった形と半世紀の時を経て、当時は気づかなかったいろいろが感得できた気もするけれど、まだ半分しか読めていない。なにぶん重くて手に持って読むことができなくて、地べたに置いて一枚一枚めくり読みしかできないので、紹介は次回か次々回までお待ちください。
4月29日。生まれて初めての交通事故に遭う。自転車での古本屋巡りの帰路、横断歩道を横断中に右折してきた軽乗用車にぶつけられる。あ、浮くんだ、というのが、まず思ったことで、体が投げ出されたことがよかったようで、車もスピードを緩めていたのと、真横から、車から見れば真正面からぶつかったかたちで、衝撃は自転車がすべて引き受け、体の方は浮き上がって投げ出されたことで衝撃が殺され、地面でこすった程度、20冊弱の古本が道路に散らばったくらいの被害で済んだ。
軽い打ち身と擦り傷程度で終わったわけで、これは終わりよければすべてよしの得難い体験だったと楽しんだ。まあ、こんなことは過失割合10ゼロの被害者だからこそ言えることで、加害者側とかこちらにも過失があったりしたら不謹慎のそしりを免れない台詞であったりする。結果的にこちらは安堵感もありけっこう面白がっていたのだけれど、運転手(年輩の女性)はパニック状態で精神的に大変そうでした。
4月26日四天王寺の古本市。段ボールひと箱23㎏を託送し入りきれなかったかなりの量を担いで帰る。
50冊弱の購入だが、高い本でも200円なのでトータルで8,000円ほど。託送のゆうパックが1,700円でずいぶん割高になってきた。
SFマガジン、ミステリマガジンが200円均一で大量にある。なかに20番台角表紙になった最初のころまであるので全部持っているけど5冊を購入。4冊500円のコーナーにSFシリーズが10冊ほど。HFマークの『クリスマスイブ』『鋼鉄都市』を購入。ロレンス・ダレルの『トウインク』『ヌンクアム』、ジョン・アーヴィング『未亡人の一年上下』『サーカスの息子上下』などを1冊100円ならと。ダレルは3セットめである。その他の主なところとしては、ヴォルフガング・カイザー『グロテスクなもの』、朝日新聞社編『新聞広告昨日今日明日』、『泉鏡花小説戯曲選①~④』、モーリス・ブランショ『文學空間』、アジア仏教史『インド編④密教』、宗教改革著作集『イングランド宗教改革①』、フォスター・リース・ダレス『さむらいとヤンキー』、人生読本『マンガ』、『滝平二郎切り絵画集③~⑥』、『全集現代文学の発見⑩⑬⑭⑮⑯』など。帰路日本橋のまんだらけによって2000円クーポンでマリア・M・タタール『魔の眼に魅されて』、小栗虫太郎『成吉思汗の後宮』、国枝史郎『妖異全集』、丸山圭三郎『生命』を買う。
それだけ買っても4月も200冊を割り込んだ。今年に入って一度も200冊を越えていない。購入数198冊。購入金額31,755円。クーポン使用6,400円。
なろう本54冊。コミック11冊、だぶりエラーと買い直し33冊。
新刊が『創5月号』『SFマガジン6月号』『星に届ける物語』『宇宙墓碑』『リビルドワールド⑦』で6,578円。クーポン1000円と残りはクオカード。
頂き本が『伊藤典夫評論集成』『フェアリー・テール上下』『非在の街』多謝。定価が今月の購入金額を越えている。
昔のCDをクーポンも使用して8,000円ほど購入する。メインは『懐かしのCMソング大全①②③』と『懐かしのラジオテレビ主題歌集』これにフランク永井や石原裕次郎、岸洋子その他を勢いで拾う。『懐かしのアニメソング大全①②③④』というのも並んでいたが内容がパッとしなくて無視する。
その他の主なところ。皆川博子岡田嘉夫『みだれ絵双紙金瓶梅』、日高敏隆『動物の生きる条件』、小田光雄『出版状況クロニクル④』、平野甲賀『文字の力』など。あと文庫本が結構収穫。旺文社文庫版内田百閒6冊、大森荘厳『知の構築とその呪縛』、柳原良平『アンクルトリス交遊録』、マーチン・ガードナー『奇妙な論理①②』、澤田隆治『上方芸能列伝』、尾崎秀樹『殺しの美学』、富永健一『近代化の理論』、エメエ・アンベール『絵で見る幕末日本』、ジャック・ブノア=メシャン『庭園の世界史』、佐貫亦男『進化の設計』など。
最終更新まで読んだなろう本から。
現代社会を舞台にダンジョンが出現している世界というのは、枚挙にいとまがないというか、サブジャンルの一大勢力といっていい。ダンジョンが突然発生して右往左往するものから社会の一部として制度化されている時代のものまで多岐に渡る。現代社会生活とどう兼ね合いをつけていくか工夫の付け方もいろいろで、秀作の多いサブジャンルである。
△岸若まみず『わらしべ長者と猫と姫 ~宇宙と地球の交易スキルで成り上がり!? 社長! 英雄? ……宇宙海賊!?~』(カドカワBOOKS)は、そんな現代ダンジョンもので、人々が唐突にスキルを手に入れる世界。主人公が手に入れたのは「交換」という謎スキルでアイテムボックスとして機能するだけでなく、ボックス内に置いた商品を何者かと等価交換できてしまうスキルだった。
等価交換される先が地球上や異世界でなく銀河系宇宙だったことから自体はファストコンタクトものへと遷移する。これがタイトルのわらしべ長者であり、猫も姫も異星人たちだったりする。ちょっとひねりを加えた時間ものでもあったりして小説としては甘さがあるが、アイデアの勝利といえる。
△『異世界で 上前はねて 生きていく~再生魔法使いのゆるふわ人材派遣生活~』 (Mノベルス)』が代表作で、『わらしべ長者』を読んだ後、まるっきり話を思い出せなくて、とりあえずこちらも読み返してみた。安い傷物奴隷を買い入れて、再生魔法と治癒魔法で快癒させてスローライフを目指すという斜に構えたまあ定番の物語。斜に構えるところに好感はあるが、ハーレム仕様に点が辛くなることもあり、まあ可もなく不可もなし。
〇じゃがバター『プライベートダンジョン~田舎暮らしとダンジョン素材の酒と飯~』(ツギクルブックス)もダンジョンが社会に根付いた時代が舞台。ダンジョンがらみのお役所の裏っぽい仕事からリタイアして、のんびり田舎生活を楽しもうとした主人公だったか、ダンジョンの運営サイドと思しき黒猫からダンジョンの不正利用をする輩を懲らしめるため、被害者であった少年少女に助成することを依頼される。報酬にプライベートダンジョンを貰えるとのことでドロップアイテムを飲食系にすることを条件に仕事を引き受ける。緩急を心得た長い物語づくりに長けた人で、代表作『異世界に転移したら山の中だった。反動で強さよりも快適さを選びました。』(ツギクルブックス)も、えんえんだらだらいつまでも終わらなく、ときどきこちらがだれてくるが、まあ読み継いでいる。気に入っている上位30人くらいの中の一人。岸若まみず同様斜に構えたスタンスがいい。