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ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。



 年が明けて1月です。サラリマンを辞めて7年目ともなると、毎日が日曜日というか、火曜日か水曜日の感覚(要するに毎日が平日)。何にも追われない理想的な生活です(日本人的には望ましくない生活)。親も亡くなり(コロナ禍もあって)里帰りしなくなったので、盆も正月もなくただただシームレスに季節が過ぎていきます。もう滝になって流れ落ちている時間の渦中なのかも。

 さて、年末はディスクの容量が足りなくなって(MSFSのせいですが)、1テラから2テラバイトに換装しました。ハードディスクの時代はとうに過ぎ去り、フラッシュメモリを使うSSD(シリアルATAではなくパラレルリンクのNVMe)の時代です。ランダムアクセスのスピードは、ハードディスクの200倍にもなります。円安なのですが半導体不足はほぼ解消していて、特に生産過剰のメモリは買い時でもある。しかし、ディスクのフルコピー(専用ツールがある)で終わるつもりだったのに、なぜか正常終了せずに難航、1日半のロスです。結局OSから再インストール。WindowsやOffice、大半のアプリはダウンロードでインストールができますが、中にはDVDで読む必要があるレガシーも。そのときになって、DVDドライブが壊れていることも判明。使用頻度は少ないと思ったのですが、すでに購入後10年がたっていました。メカ部品の経年劣化はやむをえません。プラス1日半をロス。進歩が止まっているのか、10年前と同じ値段で買えましたけどね。

 さて、第8次のただなかです。去年は正月休み後に感染拡大が始まりました。年を跨いでピークが来るのは初めてです。全人口12522万人で、感染した人=陽性者(症状を問わない検出者数)は2022年末に2879万人に達しました。感染者累計は年初で200万人未満だったのですが、行動制限をやめ、オミクロン株が蔓延した夏以降に激増したことになります。死者も増え、2年で1.8万人未満だったものが1年で+3.5万人と、これも年間換算で4倍増しています。

 それでも、全人口に対する死亡率を計算すると、5.4万人÷122522万=0.043%、陽性者の死亡率は同様に5.4万人÷2879万人=0.18%と、さほどでもないように思えます。ただ、死亡者の内訳は高齢者に大きく偏っていることが分っています。 (以下国内について述べた部分には、何れも厚生労働省の2020年9月から2022年末までの累計データを用いました)。


 ここで上図が男性の年齢別死者、下図が同じく女性です。紺色の部分が60歳代でここを境に高齢者とそれ以外に分かれます。これを見ると男性死者の93.7%が60歳以上、同じく女性の場合は97.2%です。大半を高齢者が占めています。65歳以上の高齢者は全人口の29.1%(男の26%、女の32%)です。男女には違いがあり、陽性者に対する死亡率は、90歳代(男6.65% 女3.73%)、80歳代(男3.86% 女2.07%)、70歳代(男1.28% 女0.53%)、60歳代(男0.32% 女0.10%)と、どの年代でも男性の死亡率は高い。円グラフでは90代女性の占める割合が大きく見えますが、女性の生存者が3倍多いためです。男は寿命的にそこまで生きられません。死亡率で見るなら女性は男性の半分です。高齢者人口全体の死亡率は0.14%(男0.18%、女0.11%)、同じく陽性者比死亡率は1.28%(男1.54%、女1.06%)に達します。罹ると100人に1~1.5人は確実に死ぬのです。

 中国が突然感染対策をハードランディング(ゼロコロナから集団免疫)に転換し、世界が動揺しています。では、制限を撤廃した先行国の状況はどうなのか。たとえばアメリカでは、統計上の人口が3.4億人に対し陽性者数1億、死者111万とされています。だいぶペースは落ちましたが、行動を自由化した2022年も年間26万人が亡くなりました。日本に換算すると年間8万人くらいでしょうか。(死者等は、こちらのデータを使用しています)。人口比の死亡率は0.33%、陽性者の死亡率は1.09%です。

 ワクチンは有効に処方されたのか。まず、アメリカ全土のワクチン完全接種率は68%(日本では83%)です。ここで「完全接種」とは少なくとも2回接種を受けている率です。地域によるバラツキがあり、旧南部連合6州を含む下位10州と旧北部8州を含む上位10州では、ワクチン接種率が5割対7割で差があります。予想されるのは死亡率の差です。倍以上の差があるとする論文もありますからね。しかし、10州平均の死亡率では、人口比死亡率で下位10州0.39% 対 上位10州0.34%、陽性者比死亡率も1.27% 対 1.11%の差なので、ワクチン接種の差が20%もある割に、死亡率ではそれほどの差はみられません。例えばアトランタのあるジョージア州では接種率56%、死者は人口比0.38%、陽性者比1.39%。人口が同じくらいのニューヨーク隣接のニュージャージー州では接種率78%なのに、人口比0.38%、陽性者比1.21%と0.2%未満の差異しかありません。初期のノーガード状態(ワクチンなしで行動制限が緩かった)での死者が多すぎて、統計上のバイアスとなっているのかもしれません。年間死者が半分になったのだから結果として効果はあった、パンデミックは終了だと(少なくとも政府は)判断しているわけですが。(アメリカのデータはニューヨーク・タイムズがまとめたものを使用しています)。

 どちらにしても、アメリカは平均寿命が下がるほどの人が死んでも崩壊はしませんでした。自然災害的なパンデミックは神の思し召し、とあきらめたからか。戦争だったらそうはいきませんよね。日本でも死者がリタイアした高齢者中心である限り、社会秩序に影響は及びません。暴動などは若年者の行動制限で起こったのであって、老人が数パーセント減っても起きないのです(起こしたいけど)。中国もそういう先例を研究しコスト計算した結果、経済優先にしたのだと思います。同じことをしている先行国が中国の旅行者を制限するのは、インバウンド分のお金を損するだけで意味がありません。

 最後に、今後1年間の間に、中国でどれぐらいコロナが広がるかを考えてみましょう。まず中国の65歳以上の高齢化率はは18.9%(2.7億人)です。日本ほど進んでいません。また、感染予防効果は薄いとされますが、従来型のワクチン(インフルのワクチンなどと同じ製造方法のもの。少なくとも重症化率は下げられる)完全接種率は89.3%あり、まあ日本並みといえます。なので、日本の2022年と同じ事態になると仮に想定すると、日本の年間死亡者数3.5万人×中国対日本の人口比10倍×高齢化率は日本の65%(65歳以上比)=34.5万人、陽性者は3億人に達するでしょう。ファイザーのコロナ治療薬などの準備を進めているらしいので、その効果も期待できるかもしれません。


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