みだれめも・出納日記 14年6月

水鏡子


 血糖値は順調に下落している。
 昨年の今頃、薬の服用下で基準値を少し上回る血糖値130(基準・60―109)、HbAlc7.7(基準・4.6−6.2)、といったところで落ちついていた値が、秋から冬場にかけてぐんぐん上昇して、今年の2月に血糖214、HbAlc8.9 まで達した。投薬量を倍にしての結果であるので医者にめちゃくちゃ怒られた。それが4月5月6月と劇的に改善する。最新結果は血糖128、HbAlc7.0の好成績。まだ投薬と合わせた結果であるので万全とはいえないものの目を見張る成果である。さすがの就職効果というわけだが、それよりこの3年いかに体を動かしてこなかったかという証左だろう。人間ごろごろしてると牛ではなくて糖尿になる。みなさん心するように。

 「化物語」がパチンコになった。これはやってみなければならない。原作のコンセプトをよく押さえた凝りに凝った秀作である。凝った分だけ、アニメを見てない、小説を読んでいない人間にはたぶんなんだかわからない。寿命が短そうなのでなんとか早めに制覇してしまいたいのだが、相性はとことん悪い。もう*万円つぎ込んでいるのにまだ一度もあたりがきていない。

○6月の結果
支出計:223,482円。前年6月217,544円。5,938円増。
入手書籍:(→本の雑誌)

 総額が前年と変わらないのがふしぎなくらい細目は異動が激しい。飲食料費は1,5倍、本代は半減。交通費+交際費は昨年26,000円だったものが90,000円になった。

6月2日(月)〜6月30日(月)
【トピック】

【読んだ本】本11冊、漫9冊 計20冊 累計369冊 本のみ240冊

(漫)
樹なつみ『花咲ける青少年 特別篇5』和田愼二『スケバン刑事(9)〜(12)』、『超少女明日香(1)(2)』(文庫版での再読)、せがわまさき『十 (1)(2)』

 『図書室の魔法』に喜んで積み上げていたジョー・ウォルトンのまとめ読み。久しぶりに翻訳ものをたくさん読むと、なかなか冊数が伸びない。7月には再読ながら10冊近く翻訳ものを読む予定なので、不安が萌す。そうか、きざすというのは萌の字を使うのか。初めて知った。
 ジョー・ウォルトンとは10歳の年の開きがある。けれども『図書室の魔法』の舞台となった1979年というのは、ぼくが社会人になって4年目で、たぶんやっと資金的に自由に本を買えるようになったちょうどそのころの時代に思える。ジョー・ウォルトンの方も最新のSFを自由に入手できない状況だったようなので、英米SFへの接し方と熱意は年齢差よりもっと近しい。作品中でティプトリーが女性だったと知って驚くシーンがあるが、あれは77年のこと。ぼくらより2年近いタイムラグがある。
 伊藤浅倉両師に教導された海外SFマニア世代にとって必読書。ただし、こんなものにヒューゴー賞はともかくネビュラ賞をあげてはいけません。

 〈ファージング〉三部作は、世界設定の造り込みに余念のない評判通りの秀作。当初から三作全てのアウトラインはできていたように思える。『図書室の魔法』のモリと第1部『英雄たちの朝』のルーシーの、母親父親との関係はほとんど一緒。著者と母親との確執の根深さを窺わせる。第三部『バッキンガムの光芒』はある意味型通りのクライマックスではあるが思いっきりのカタルシスがある。それにしても第1作のあの女の子がこうなるとは。

 個人的に一番楽しんだのは『アゴールニンズ』。意味がわからないということでか、文庫化されたときに『ドラゴンがいっぱい』という安っぽいタイトルに改題されたが、ドラゴンの国を舞台にした遺産相続とロマンスを交えた居心地のいいブラックコメディという形容矛盾の小説である。貴族や牧師や公務員のドラゴンとか、裁判や都市開発計画や新教旧教の軋轢とか、著者が嬉々として精力的に熱意をもって背景設定を造り込んでいく様子が目に浮かぶ。本書を読むと、〈ファージング〉における小説作法というものもなんとなく納得できてくる。この造り込み方からみえてくるのは、著者がファンタジイでもミステリでもなくSF作家であるということ。お勧め。

 西尾維新『少女不十分』は、交通事故の現場で遭遇した少女の不審行動に気づいたために、彼女に誘拐拉致された大学生の話。曽野綾子「長い暗い冬」に通じる怖い話であるけれど、著者に期待されている奇矯さに欠けるせいか、かなり早い時期から100円棚に出回っていた気がする。

 前田珠子『鬱金の暁闇20』はゴールが見えてきて、やっと鞭が入った感じ。

【買った本・拾った本】主な本20点内

 西尾維新『悲痛伝』、『悲惨伝』、『悲報伝』各528円、『終物語 下』648円、『JOJO』72円
 ロアルド・ダール『すばらしき父さん狐』、『おばけ桃が行く』、『オ・ヤサシ巨人BFG』、『こわいい動物』各72円
 至道流星『羽月荊音の帝国 (5)〜(8)』各86円
 かじいたかし『僕の妹は漢字が読める(3)〜(5)』各86円
 浦賀和宏『八木剛士 史上最大の事件』、『地球人類最後の事件』、『生まれ来る子供のために』各72円
 川上稔『境界線上のホライズンIII(下)、IV(上)(下)』各108円
 チャールズ・ユウ『柴SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』1,728円※今月買った最高値本
 有栖川有栖編『小説の湯』108円
 結城光流『少年陰陽師 道敷編(1)』604円
 樋野まつり『ヴァンパイア騎士(11)』、杉山小弥花『明治失業忍法帖(2)』各36円。※今月買った最安値本。

 今月は新刊書の合計が五千円を切り、総額も2万円を割り込む。

【株式成績・等】6月30日まで

 ブロッコリーがプラスに転じる。730円平均で購入したものが630円前後で低迷していたものが一気に上昇。830円になって喜んで放出したらそのあとあれよあれよと1,500円に。その後事故って1,000円にまで急落する。この高株価を受けて株主優待品は昨年のものより格段にレベルアップする。
 その他の保有株もそこそこ戻って含み損も半減したが、DENAとコロプラの傷口は深く大きい。この2銘柄がなんとかならないと、今年のマイナスは揺るがない。


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