みだれめも・出納日記 14年5月

水鏡子


 4月の日記を落として5月の日記も遅らせたのは、仕事に行き始めて生活リズムが狂ったことより「ランス9」に依る処が大きい。
 いや仕事にからむところもなくはなくて、読むことも書くこともスローペースでだらだらやっていたので、仕事で時間をとられると、株と「ランス9」をやってるだけで時間がほとんど残らない。読書量も激減して、4月時点でゆうゆうクリヤの自信のあった年間500冊読破の目標にも黄信号がついている。その少なくなった読書時間もSFマガジン700号で潰れたりして。

 エロゲー史上類を見ない異世界大河歴史ロマン〈ランス〉シリーズも次回の「ランス10」で完結だという。一介の冒険者だったランスが世界の諸勢力を代表する女の子たちを次々籠絡し、結果的に世界に君臨することになる物語で、大雑把な見取り図は外伝「鬼畜王ランス」で既に示されている。1989年以来4半世紀作り継がれてきた大長編は回を重ねるごとに、シナリオと描写に深みと奥行きを増し、ユーザーフレンドリーを重んじ、物語、エロ、ゲーム性をともに重視する伝統を磨きつつ現在に至る。とりわけ戦国時代のジャパンに渡ってランスが六天魔王と戦う「戦国ランス」から「ランス・クエスト」「ランス9」と続くここ数年は鬼畜王の名が泣く純愛や親ばかぶりの炸裂するハートウォームに拍車がかかる。ゲーム的にどんどんつまんなくなってきて、年に数点程度しか嗜まなくなったエロゲーのなかで、同じアリスソフトの「大悪司」「大番長」「大帝国」とともにお勧めできる数少ない作品である。

○5月の結果
支出計:168,505円。前年4月366,903円。198,398円減。
入手書籍:(→本の雑誌)

 前年から半減。といってもこれまで半年分払い込んでいた健康保険料が給与天引きになって支出対象から抜けたためである。あと消費税対策による3月末の回数券買い込みで交通費が3カ月抑えられている。飲食糧費は予想通り昨年から大幅アップ。昼食弁当の定価買いより、過去3年間ほとんど買うことがなくなっていたペットボトル(コーヒー、お茶)を昼食休憩用に買うようになった出費が大きい。逆が書籍購入費で、ぶらつく時間が激減し、冊数、金額ともに急減。20,161円。3年ぶりの低い額。次回6月は、あるいは45カ月ぶりに100冊を割り込むかもしれない。

5月1日(木)〜6月1日(日)
【トピック】

【読んだ本】本9冊、漫38冊 計47冊 累計349冊 本のみ229冊

(漫)
 『はじめの一歩(21)〜(50)』、石森章太郎選集『くらやみの天使』、『三つの珠』、高橋しん『雪につばさ(1)』、ほか38冊。

 『薔薇のマリア』が2カ月連続刊行の20・21巻で完結した。人類が地獄へと侵攻し、地獄の裏にいるラスボスを倒す話である。正直、型どおりという印象。『ANGEL+DIVE』と繋がることを期待していたので、単体の、SFっぽい世界の秘密の解明に少し失望している。世界はかなり矮小化した。もっとも、この作者の場合、設定面は大枠的な意味あいが強く、激しい戦闘シーンを登場人物多数が等身大の視点で愚痴りまくりながらあがき続ける密度の高い描写を続けるところに本領がある。今回の場合も、とくに第20巻においては、ほぼ全編で多数の登場人物たちが、内心を吐露しながら戦う様を、きっちり1ページ1段落で綴るというほとんど形式実験を思わせる技法を用いている。全体として傑作の範疇にいれていい話。

 『銀の竜騎士団 (12)』は逆に予想外の完結篇。肩透かしの感はあるけど、考えてみるとこの前の大戦争でも同じことをやったのだった。強大国家の大戦争的設定は大好きだけど、正面切って仕上げるだけの力量はないと自ら封じる見極めとみればこれはこれで悪くはない。

 前回で物語の決着をつけ、新展開となった『はたらく魔王様 (11)』『はぐれ勇者の鬼畜美学 (11)』だが、『デュラララsh』に見られたような仕切り直しのテンションの高さが感じられない。

 『うちの居候が世界を掌握している! (1)』は先月読んだ『ヒーローから転職した俺の使い魔な生活』なんかと同じツボを押さえた心温まる人情系ラブコメSF(&ファンタジイ)。作りは甘々でこころざしはあまり高くないけど、このレベルを維持してくれれば続きも読みたい。100円になるまで買わないけど。

 『忍者文芸研究読本』は現実系忍者を重視し、山田風太郎への言及があまりないというだけでも値打ちのある研究書。製本が安っぽかったり、論述がつまらなかったりするけれど、盛り込まれた資料には十分1800円の値打ちがある。とくに20頁に及ぶ「忍者関連主要作品年表」がいい。

【買った本・拾った本】主な本20点内

 ラヴィ・ティドハー『終末のグレイトゲーム』頂き本(小川隆様多謝)
 J・ヒル『NOS4A2 上下』頂き本(白石朗様多謝)
 牧眞司編『柴野拓実SF評論集』3,996円※今月買った最高値本
 吉丸雄哉・他篇『忍者文芸研究読本』1,944円
 ピーター・ワッツ『神は全てをお見通しである』(ファンジン)1,200円
 『宇宙気流2014年4月号』(ファンジン)500円
 北方謙三『岳飛伝(9)』1,729円
 牧野修『呪禁官 百怪ト夜行す』1,620円
 十文字青『薔薇のマリア (21)』648円
 和ヶ原聡司『はたらく魔王様 (11)』616円
 鎌池和馬『新約 とある魔術の禁書目録(10)』680円
 九月文『銀の竜騎士団 (12)』583円
 幸森軍也『マンガ大戦争』100円
 瀬名秀明『奇石博物館』100円
 水野良『ブレイドライン(1)(2)(3)』ツガワトモタカ『白銀竜王のクレイドル(2)』香月せりか『お師匠様と雛の魔女』I・ピーターソン『ニュートンの時計』リテレール別冊『1994年単行本・文庫本ベスト3』樋野まつり『ヴァンパイア騎士 (12)(13)』各36円。※今月買った最安値本

 総額が2万円というのに、今月も4月に引き続き新刊本が1万円を越えている。一応全部書き出してみる。10冊で13,516円。残り100冊で7,000円というわけか。西尾維新など半額で買い集めた本が今月はない。

【株式成績・等】5月30日まで

 ゲーム株の下落が激しく、5月半ばには2年分の収益を溶かす含み損。一応そのあたりが底だったようで後半はゆるやかに改善している。ブロッコリーが大幅反発、売り抜けたけど、売った後もどんどん上がり続ける。とはいえ資金面ですこしゆとりが戻る。ただ一方で売りたい株は戻り切れず、買いたい株は下がり切れずで動けない状態が続く。


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