SFを少し離れて

第2回

菊池誠


こないだ書いたばかりだと思ってたのに、もう締め切り過ぎちゃった。時間が経つのがはやすぎるというか、その間になんの本を読んだかなあと考えてみて、どうも一冊も読んでいないらしいことに気づいて、さすがに危機感を持っている。SF読んでないとか、そんなレベルの話じゃないじゃん。 映画も見てないし。これはいかんです。さすがに「白熱光」くらいはさっさと読もう。

「書く書く詐欺」を大量に積み上げていて、ずーっと以前にユーストリームの番組で決めたはずの交通渋滞のSFを書くっていう約束もいっこうに果たしていない。でも、SFじゃなくて、交通渋滞の論文は去年出た。ナゴヤドームを借り切って、中に直径100メートルの円を描いて、そこにほんものの自動車を走らせて渋滞を再現するっていう実験の論文。2008年に出した渋滞実験の論文はNew Scientist誌のウェブニュースで紹介されて、実験映像はこれまでで185万回再生されるちょっとしたヒット作になってる( http://m.youtube.com/watch?v=Suugn-p5C1M )。テレビで見たっていう人もいるかもしれない。このときは、渋滞ができたよっていうだけの論文だったんだけど、今度のナゴヤドームのはもうちょっといろいろやってて、渋滞したりしなかったりするのは車の密度で変わるよっていうのをやってみせた。車も全部トヨタのヴィッツで揃えて、映像で見るとかなり楽しい。もっとも、今回のその映像は公開してません。これはNatureのニュースに取り上げられた。論文がNatureに出たのじゃなくて、あくまでもニュースで取り上げられただけというところがミソね。

僕はこれまでビートルズをあんまりきちんと聴いてなかった。アルバムはそれなりに持ってたんだけど。で、ある人のツイッターでのコメントを読んで、モノラル・ミックスをまじめに聴いてみたくなって、アマゾンのマーケットプレイスでボックスセットを注文した。これ、たしかしばらく前に限定盤で出たのじゃなかったかと思う。でも、輸入品の新品がマーケットプレイスに出てて、しかも安かったから、それを注文した。でも、届いたのが、なんだかおかしいんだよね。紙ジャケが妙にずさんだし、マジカルミステリーツアーなんか、ふたつ折のジャケットの折りがずれてる。しかも、かけてみたら、うちのCDプレイヤーではまともに再生できないのが何枚かある。CDプレイヤーももう古いしなあ、とか思っていろいろやった結果は、やっぱりどう考えても盤がおかしい。輸入盤のCDにはときどきひどいのがあるよなあと思いつつ、調べてみると、ビートルズのモノラルボックスは輸入盤もすべて日本でプレスされてるってわかった。まあ、とにかく返品・返金の手続きをして、マーケットプレイスの別の店から中古を買った。これは中古といいつつ、ほぼ未開封の状態で、ジャケットも盤も程度がいい。折りがずれたりしてないし、CDの内袋の材質も前のと違ってしっかりしてる。もちろん、全部の盤がきちんとかかる。それでようやく思い当たったのだけど、前のやつは噂に聞く海賊版だったのだと思う。ビートルズのモノラルボックスには海賊版のコピーがあるという話は聞いてた。たぶん、それ。だって、あまりにも違うのだもの。そういえば、高校生の頃、友人が「青い影」の輸入盤LPを買ったところ、あまりにもひどいノイズで泣いてたことがあった。あのときも、版を重ねた輸入盤はだめだなあっていう話をしたんだけど、あれも海賊コピー盤だったのかもね。ま、そんなわけで、モノラルボックスはちゃんとしたものが手にはいり、どういうわけか、うちのCDプレイヤーが新しくなった。やっぱり、初期のアルバムは僕にはあんまり面白くなかったんだけど、ラバーソウルあたりから俄然面白くなって、実は今、マジカルミステリーツアーにかなりはまっているところ。いまさら何をっておもわれるだろうけど、いや、これはすごいなあ。こんなすごいとはしらなかった。ごめんなさい。ビートルズはモノラルミックスで聴けというのは、たしかにそうなんだと、いまさら思っています。

さて、andmo'が先日、難波ベアーズで演奏した「絵の展覧会」っていう、それってどうよなタイトルの18分半にわたる「どプログレ」をサウンドクラウドで公開してるので、よかったら、聴いてみてください( http://soundcloud.com/kikumaco/an-exhibition-of-pictures-1 )

じゃあ、またね。

(2014/01/29)


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