岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。


 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、
それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

 今月は中華iPadのサーベイです。アップルのiPadが発売されて2か月、すでにお使いの皆様も多いのではないかと思います。このiPadを追いかけて日系、米国など大手メーカ多数が、同様のタブレット/スレート端末を発売しようとしている件も、ニュースでご存知の方がいらっしゃるでしょう。そして、中国でシミュラクラ=にせものiPadが多数発売され、色モノ的に話題になったのも記憶に新しい。それが今どうなっているのかです。

 同じようなことが2年前に起こりました。いわゆるネットブックの始まりで、インテルAtom CPUを用いた統一仕様のため、(世界的には)コスト競争力に優れた台湾メーカが圧勝して終幕しました。パソコンは、今やノートPCを含めても台湾/韓国に勝てません。わずか2年後、主役は台湾から中国に移っています。技術開発のスピードという点では、製造でも決断でも世界で最も早いのが中国です。…もっとも、今から2年後はインドかも。

 かつて(30〜40年前?)は、【1日目】アメリカが新技術を発表、【2日目】ソ連(冷戦時代のロシア)が10年前に発明していたと発表、【3日目】日本がパクリ製品を安く作って輸出する、と言われていました(成り上がった国に対するパッシング/妬みは、いつの世も同じパターンですね)。今は1日目が終わる前に中国メーカが持ってきます。何といってもファブレス(ファブ=製造工場を自国に持たない)時代なので、ファブがある中国が一番早いのです。

中華iPad

注0)ARMとは英国のシステムLSI設計会社。工場を持たず、世界のメーカーにCPUのライセンス(IP)のみを販売する。ARMは携帯電話用でヒットし、PC以外の大多数の組み込み機器などを含め、100億台規模の搭載実績がある。下記の各種CPUをはじめ、アップルのA4にも使われている(A4は韓国の三星電子製)。
注1)ロックチップ社は中国のシステムLSIメーカー。アンドロイド向けに開発された2808はARM+DSP(信号処理用専用LSI)をベースとしたマルチメディア用LSI(ASIC)である。ところで、アンドロイドとは人型ロボットのことではなく、グーグルが開発した携帯機器用OSの名称。節操なくバージョンアップされるため、メーカーはみんな困っている。無料(ライセンス料なし)なんだから仕方ない。
注2)テレチップス社は韓国のシステムLSIメーカー。8902は上記2808と同様のシステムLSIである。
注3)VIAの子会社である台湾ワンダーメディア社のシステムLSI。VIAというとインテルx86系のCPUを思い浮かべるが、8505はARMを用いたシステムASICであり、中身がまったく異なるものだ。MW/VTという表記は正しくなく、WM85xxが正しいと思われる。
注4)米国テキサスインスツルメント社のシステムLSI。携帯電話のマルチメディア機能をワンチップで実現という、アプリケーションプロセッサOMAPシリーズの3世代目。これも中身はARM+DSPなので他社と大きくは変わらない(ただし、この組み合わせを最初に考案したのはTIだ)。
注5)明記されていないため、どのシステムLSIかは不明。ただし、ARM+DSPのデュアルコアという意味なら上記何れかと思われる。
注6)米国クァルコム社のシステムLSI。携帯電話機能(モデム)が内蔵されているのが特徴。他は上記と同様、CPUコアもARM。ソニーエリクソンのXperiaにも使われている。
注7)ここだけ表記が違うが、Cortex-A8は省電力ARM複合コアCortexシリーズの1つ。最新の携帯機器などでは、ピュアなARMではなくこれが使われている。TIのOMAPや三星のA4でもARM部分はこれ。次世代Cotex-A9を搭載した製品は年末から出てくる模様。

 さて、上記は日本で入手可能と思われる一部の端末を表にしたものです(中国では、この数倍の製品が出回っているはず)。具体的な大きさなどが分かり難いと思いますので、次に動作例を引用します(7型タブレット)。



Android2.2端末の操作デモ(MIDNite)

 iOSはアップル独自のコードなので、これをバイナリコピーしても開発できません。したがって、OSにはオープンソースであるアンドロイドが使われています。バージョンがでたらめなのはグーグル(提供元)の責任もあります。PCと違って、組み込み機器のOSはハードと密接に関係するため、チューニングに大変な労力がかかります。どんどんバージョンが上がっても、開発がついていきませんよね。ということで、バージョンに関わらず、ソフトの出来/アプリのレスポンス(タッチパネルの反応の良さなど)は、製品によって大きくばらつきます。

 CPUは(アップルを含めても)大同小異なので大差なし。ではなぜこれほど多岐にわたるのかというと、入手性の問題だと思われます。Huawei(ファーアウェイ)は、日本のイーモバイルやソフトバンクに製品を供給するくらいの大手なのでクアルコム(米国AT&Tから分離した携帯電話用ICメーカ)からチップを買えますが、他は名も知れぬベンチャーばかり。簡単にCPUを売ってもらえません。世界的なIC不足の影響もあり、とにかく手に入ったもので作るしかないのでしょう。

 同様のことはタッチパネルにも言えて、この中でマルチタッチができる製品は1つだけです。7型以上で使える大型の静電容量方式タッチパネル(量産品では、このタイプのみマルチタッチが検知できる)は製造できるメーカが限られ、アップルなどの大手以外たぶんどこも買えません。ちなみに、大型PC用には安価な光学式が使われています。

 肝心の価格ですが、元祖アップルの3分の1前後(1000元=15000円未満)。Huaweiのみ3Gに対応していて(他はWifiのみ)2分の1くらいです。SIMフリーなので日本でも使えるかもしれません。チューニングの出来のいいものは、iPad並みの操作性があるようです。アプリはアンドロイドということで、(アップルストアと同じように)アンドロイド・マーケットから入手できます。ただし、日本で使う場合、ハードのサポートは期待できません。

 何が良いかは、カタログデータ調査では判断が難しい。次のようにおおざっぱな基準で考えました。様子を見るだけならば1万円以下、そこそこ使えるものは2万円前後、3万以上はiPad代替(この値段になるとデル、モトローラなど欧米メジャーも出してきます)。ノーリスクでアンドロイド端末が欲しいだけなら、ドコモのXperiaや、auのIS01もありますが、(バージョンは1.6で)タブレットでもありません。第1、画面が小さい。なので、やっぱり買うとすると、2万円までの7型クラスでしょうね。


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