岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。


 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

 今回は、2010年4月23日(金)から6月29日(火)まで神戸文学館で開催される企画展「SF幼年期と神戸」のうち、筆者が提供した資料について解説します(写真は同館サイトより引用)。

神戸文学館
企画展ポスター 企画展入り口
ガラスケース展示(神戸大学・SHINCON) ガラスケース展示2

 今回の文学館の企画は、神戸のミステリサークルである畸人郷の野村恒彦さんが、ミステリの企画展に続いて、SFの企画展を行いたいという呼びかけに基づいたものです。小松左京や矢野徹がもともと神戸出身だったこと、筒井康隆が在住であることなども理由でしょう。

「神戸という土地は、SFの開拓者である海野十三、SFを大きく発展させた小松左京がともに県立神戸一中の出身であり、アメリカのファンに招かれて渡米し帰国後にSF普及の基盤づくりを行った矢野徹は県立神戸二中出身です。また、筒井康隆も神戸に居を構えておられました。他にも賀川豊彦が『空中征服』を書いており、SFの歴史に大きく関係しています。手塚治虫「鉄腕アトム」、横山光輝「鉄人28号」の誕生も神戸のその土壌と深い関連がありそうです」

というのがパンフレットの書かれた説明文。さてしかし、神戸に関連するものでは、1回だけ開催された日本SF大会SHINCONや、翻訳家へのインパクトの大きかった神戸大学SF研究会も必要でしょう、とかいう提案がそのま通ったのが現状の企画です(直接話し合いもせず、認めて頂いた関係者の皆様には感謝いたします)。

 筆者の提供した展示物は以下になります。

1)SHINCONポスター:筒井康隆デザインによるSF大会ポスター現物
2)SHINCON当日写真(複数):当時の「週刊小説」(現在休刊)カメラマンが撮影したものです。
 写真の一部は同誌に掲載され、また一部が「ネオNULL」にも掲載されましたが、大半は未公開です。
3)NULL合本:献呈用に作成された限定番号入り合本です。
 100冊のみ販売され、それ以外は非売品でした。これはサイン入り非売品。
4)SHINCON公式プログラムブック/会員証:当日使用したもの。
5)月刊神戸っ子(1975年8月号):タウン雑誌(現在休刊)。SHINCONを詳しく特集してくれました。

6)れべる烏賊/れべる烏賊再び/最後のれべる烏賊:謄写版印刷の神戸大学SF研伝説のファンジンです。
 限定したわけではないが100部しか作れなかったもの。翻訳を掲載したファンジンとしては当時最大のもの。
7)ヒューゴー賞完全リスト:関西海外SF研究会がSHINCON当日に発売したタイプ印刷のファンジン。
 当時未訳だったものも含めヒューゴー賞全作品を紹介したという、これも伝説のファンジンです。
8)オービット(創刊号から6号までコンプリート):安田均、水鏡子によるこれも伝説の翻訳・評論誌。
 6)〜8)は現在活躍中の大森望をはじめとした翻訳家に大きな影響を与えたものとされています。
9)LEVEL33(33周年記念出版):神戸大学SF研究会の歴史を示した参考資料
 (上記写真左下の、右側ガラスケースに展示、9以外は1974年から79年にかけての出版物)

 その他の展示は、星雲や宇宙塵(創刊)、各社のジュヴナイルSF全集など、いわゆる歴史的価値が確定した内容です。その中で、神戸大学/関西海外SF研究会(KSFA)関係はまだ未確定なものでしたが、今回これらをオフィシャルな企画展に含めることで、位置づけを明らかにすることができたと思います(善し悪しはともかく)。

 文学館を訪れる人はあまり若い層がいないそうです。60台前後が多く、本を読む世代の老朽化が進んでいることが分かります。SFなら若い人が来るかというと、しかし、もうSFの世代こそ60台前後になってきています。アニメ、コミケ、ゲーム、携帯世代の手前に(小説)SFがあり、浸透と拡散を経た以降の世代にとっては(SFが当たり前であるから)、SFだけを切り取って論じる意味が理解できないと思います。

 まあ、そういうわけで、めでたく「アイ・アム・レジェンド」ですね。


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